地下鉄を英語で言うと? 日本では「subway」が一般的だが…
地下鉄を英語で言うと?
そんな質問をぶつけられたら、あなたなら何と答えますか?
日本では、地下鉄の英語訳としては「subway」が定着しており、駅の案内や乗り換え放送でも「subway」が一般的かと思います。しかし、世界の地下鉄を見てみると、「subway」を名乗るのは少数で、「underground」「metro」「tube」 など、様々な表現で紹介されています。
世界の都市では、地下鉄は何と呼ばれているのでしょうか?
アメリカでは「subway」がよく知られるが、ニューヨーク以外では「metro」とも
地下鉄を表す英語については、以下のような説明がよく見られます。
- 「subway」はアメリカ英語で、イギリスでは「underground」または「tube」
この表現はある意味正しく、また必ずしも正しくないようです。
アメリカの地下鉄と言えば真っ先に思い浮かぶのは、やはりニューヨークの地下鉄で、こちらは正式名称にも「New York City Subway」と、subwayの表記が入っています。
確かに、アメリカ英語で「underground」は直訳すると「地下道」という意味になり、「地下鉄」という意味では通じにくい場面もあるようです。
しかし、「subway」と表記されるのはニューヨークのみで、アメリカでもっとも古いボストンの地下鉄は、現地では「T」と呼ばれている他、ワシントンD.Cやロサンゼルスの地下鉄は「Metro」と呼ばれています。むしろ、「ニューヨークの」地下鉄のことを「subway」と呼ぶ、という認識がしっくりくるのかもしれません。なお、ワシントンD.Cやロサンゼルスの「Metro」は、地下鉄だけではなく、バスやトラムなど地域の公共交通一般をさす言葉としても使われています。
また、長らく自動車中心の社会だったアメリカでは、人口や規模の割には地下鉄が走っている都市は近年まで意外と少なく、ロサンゼルスでは1993年、シアトルでは2009年になって開業しました。
さらに、日本人がイメージする地下鉄が走っている都市はアメリカにはあまりなく、近年開業する路線はLRT方式によるものが大半で、地下鉄、路面電車、郊外電車といった区別も意味がないことから、〇〇ラインなどと呼ばれることも多いようです。
なお、余談ですが、サンドイッチを展開する「SUBWAY」は、「潜水艦型のサブマリンサンドイッチ(SUBMARINE SANDWICH)を客の好み(YOUR WAY)に作る」ことに由来し、地下鉄とは全く関係ないそうです。
イギリスでは、地下鉄は「the underground」または「the tube」
世界で最初の地下鉄は、イギリスのロンドンで1863年に開業しました。日本はまだ明治維新前、徳川幕府が国を治めていた時代です。この頃はまだ電気鉄道はなく、地下鉄と言えど蒸気機関車が使われていました。大方の読者が思った通り、換気設備はあったものの構内や乗客は煤だらけで、当初の評判はあまり芳しくはなかったようです。
ロンドンの地下鉄は、「the underground」または「the tube」と呼ばれています。前者は、開業時にはすでに地上にあった鉄道と区別するため、後者はトンネルの形に由来するといわれています。なお、イギリスでも例えばグラスゴーでは「subway」と表記されており、統一はされていません。
地下鉄の呼び名 世界的には「Metro」が標準
ロンドンに世界初の地下鉄を開業させたのは、メトロポリタン鉄道という会社で、にロンドンの交通機関が公的機関として再編された1933年まで存在してました。
このメトロポリタン鉄道は「MET」または「Metro」と略され、1900年にパリで地下鉄が開業した際、この「Metro」が地下鉄を表す言葉として導入されました。以来パリでは「Métro」として定着することとなります。
これ以降ヨーロッパでは各国で地下鉄の建設が相次ぎますが、主に「Metro」の名称が(あるいはその国の言語に置き換えて)使われたため、世界的には地下鉄の呼び方として「Metro」が一般的となりました。
例外としては、ドイツ語では地下鉄は「U-bahn(日本語発音ではウーバーン)」と呼ばれています。これは英語の「underground」と同じ地下線路を意味する「Untergrundbahn」を省略したのもので、ドイツを始めドイツ語圏で使用されています。
世界の地下鉄の呼び方 分類すると
世界的に見た場合、地下鉄の呼び方を分類すると、
- 世界の国・都市の圧倒的多数は「metro」またはそれに準ずる言葉
- 「subway」を使うのは、ニューヨークと日本など
- 「underground」「tube」を使うのはロンドン
- ドイツ語圏の「U-bahn」やアルゼンチンの「Subte」など独自の表現
に大部分を分けることができそうです。