特急『大雪』をコスト削減で快速化 2025年改正で石北本線の優等列車見直しへ

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特急『大雪』 快速化を検討 2025年3月改正で

JR北海道が、旭川―網走を石北本線経由で結ぶ特急『大雪』の快速化を検討していることが、2024年6月7日に明らかになりました。

同日付の各種報道が伝えたもので、それらによると6月6日までに、JR北海道から沿線自治体や関係者らに検討方針が伝えられたということです。

快速化は2025年3月改正と伝えられており、石北本線を走る4往復の優等列車のうち、2往復が姿を消すこととなり、優等列車の見直しが行われることとなります。

なぜ『大雪』の快速化? 利用不振の続く石北本線

快速化の理由としてJR北海道が挙げているのが、コストの削減です。

石北本線は、JR北海道発足直後には2,500人ほどあった輸送密度が、2022年度には525人まで減少、JR北海道は「当社単独では維持することが困難」な路線としています。JR北海道の発表によれば、2022年度の収入8億円余りに対し、営業費用は56億円となっており、将来投資や設備維持はおろか、直接列車の運行に必要な経費すら賄えていないのが現状です。

この一方で石北本線は特急列車や貨物列車も走る、道央と道東を結ぶ主要幹線となっていますが、JR北海道によると、『大雪』は自家用車の利用増加や都市間バスとの競合によって乗客数が低迷しているということです。

キハ283系 オホーツク
『オホーツク』に使用されるキハ283系 振り子式機能を搭載した高性能車で、当初の最高速度は130㎞/hだったが、のちの事故により110㎞/hに抑えられ、石北本線では振り子機能を停止しているなど、その性能は宝の持ち腐れ状態 初期ロットの製造から26年と、そろそろ置き換えが検討される次期だが、すでに半数以上は廃車となっている Wikipedia(オホーツク (列車))より @NORECH

またSNSなどでは、2024年3月改正以降、特急列車の全席指定化や割引切符の廃止などにより、北海道内の特急列車で閑古鳥が鳴いている様が投稿されており、乗客減少は深刻なものとなっていることも考えられます。

JR北海道では、こうした事態を受け、『大雪』を快速化することでワンマン運転を可能として人件費を削減し、経費の削減を目指すということです。また、キハ283系が車齢20~25年を迎えており、近い将来置き換えとなることから、車両更新費用の削減や一般車両と共用することで維持費を抑える目的もあるようです。

『大雪』の快速化 ダイヤや使用車両は?

『大雪』は、もともとは札幌―網走を結んでいた特急『オホーツク』のうち、2017年改正で2往復を旭川―網走に短縮した際に誕生しました。

2024年3月改正時点では、旭川―網走を3時間40分~50分程度で結び、札幌から直通する『オホーツク』と合わせて4往復体制となっています。

キハ110系 急行陸中
かつて日本中をくまなくネットワークした急行列車は、増収のため特急化されたものも多いが、一般車両の性能やサービス水準が上がって差がなくなったため、快速化されたものも数多くある しかし、特急列車のいきなり快速化はあまり聞かない 常識的に考えれば、単価の高い特急は維持するほうが経営的には有利なはずだが、もはやそれに対する投資も立ち行かないほどJR北海道の経営は危ういのだろうか Wikipedia(はまゆり_(列車))より @まも(Mamo)

報道によると、快速化の対象となるのは『大雪』2往復で、札幌―網走を結ぶ『オホーツク』は特急列車のまま維持される見込みです。

使用車両については言及がありませんが、2両編成でのワンマン運転が行われる予定であること、使用車両の維持費を削減することが目的とされていることから、特急用車両ではなくその他の列車との共通運用である可能性が高そうです。

石北本線の快速と言えば、旭川―北見を結ぶ快速『きたみ』が存在し、同区間の所要時間は特急より20分程度長い3時間20分程度となっています。

H100形
快速『きたみ』にも使用されるH100形 『きたみ』を含む石北本線の普通列車は2024年改正でH100形に統一された 同じ車両を共通運用すれば、車両の維持費は抑えられるため、格下げ快速列車も一般車両で運転される可能性が高い キハ183系の廃車発生品である簡易リクライニングシートのキハ54に比べ、H100形の内装は貧弱であると言わざるを得ず、長距離輸送に適するのかどうかは問題がある Wikipedia(国鉄キハ54形気動車)より @MaedaAkihiko

運行ダイヤや所要時間についてもまだ発表はありませんが、停車駅の数によっては特急より伸びることも予想され、性格としては『きたみ』に極めて近い列車となることが予想されます。

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