JR貨物の3月輸送量は昨年比94% コロナショックの中健闘
JR貨物は2020年3月の輸送実績が昨年比94.6%であったことを発表しました。旅客各社が軒並み大きく落ち込み、例えば東海道新幹線は昨年比41%となる中で、僅かに5%強の落ち込みにとどまったことは、社会のインフラとしての存在を大きく示すことになりました。
JR貨物の輸送には大きくわけて2つあり、1つはコンテナ1個単位で荷物を預かり、それらをまとめて輸送するコンテナ輸送と、貨車1両単位で貸し切る車扱貨物があります。
現在日本の貨物列車の主流はコンテナ輸送で、幹線で長大な編成を組んで行き交う姿はよく見られらる光景です。一方の車扱貨物列車の代表例は、タンク車を連ねた石油輸送で、車扱貨物の半分以上を占めています。かつては紙輸送や木材輸送、食料品輸送など実に多彩な貨車が活躍していましたが、トラック輸送の普及でしだいに姿を消しており、2020年現在その姿を見られるのは一部に限られています。
JR貨物の発表によると、コンテナ輸送については、北海道からの生鮮食料品の輸送が好調だったものの、それ以外の需要で落ち込みが見られ、前年比93.5%となりました。車扱貨物は主力の石油輸送が落ち込んだものの、セメントなど一部が好調に推移したため、前年比2.5%の減少となりました。これらを総合すると、輸送量全体としては前年比5.4%減の94.6%となります。
ゴールデンウィーク中も輸送力を確保 「物流支えるため」
JR貨物ではまた、ゴールデンウィーク期間中の4月25日から5月7日までの間、759本のコンテナ列車を運行することを発表しました。これは昨年と比べ15%の減少となります。しかし、旅客各社と比べれば減少幅は小さく、物流を支えるインフラとして頼もしく感じます。近年、人手不足などでトラック輸送から鉄道輸送に切り替える例が増えているとは聞きますが、少ない人手で多くの貨物を運べる鉄道は、このような事態の中でもその存在が強く発揮されるのではないかと思います。
JR貨物では、「新型コロナウイルスの影響などによる経済低迷が拡がりつつある中、生活必需品などの物流を支え、お客様や社会のニーズにおこたえする」との力強いコメントを出しており、今後もさらなる活躍が期待されます。