時刻表完全復刻版 1988年3月号を見る どんな時代だった?

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購入してみました 時刻表完全復刻版1988年3月号

JTBパブリッシングから発行されている「時刻表完全復刻版」シリーズから、1988年3月号のご紹介です。

この時刻表完全復刻版は既に何点かが商品化され、特に戦前・戦中や終戦直後版など資料性の非常に高いものもありますが、値段が10,000円を超えるものもあり、なかなか手が出せるものではありません。しかし、戦後発行のものは1,000円台後半とリーズナブルで、東海道新幹線開業前後やヨンサントオ改正など国鉄全盛期のものや、混乱の極みにあった1980年代前半から後半頃までの時刻表復刻版が発売されています。今回はこのうち、2020年7月に発売になった「時刻表完全復刻版 1988年3月号」を購入してみました。当時私は小学生2年生、子供の頃の景色が思い出される懐かしい内容でした。

JTBパブリッシング発行 時刻表完全復刻版1988年3月号 内容は当時発行されたまま 後方の営業案内や列車編成表も1988年当時のものが掲載されている

なお、この時刻表完全復刻版は書籍の他に電子書籍版もあります。データ量は多めですが、多少安くなっています。

1988年3月、時刻表から見る鉄道を取り巻く時代背景とは

さっそくこの時刻表完全復刻版1988年3月号を、当時の時代背景や状況と重ねながらざっと眺めてみることにします。

この時刻表に収録されいる1988年3月13日改正は、国鉄が分割民営化され、JRとして初めて行われた全国規模のダイヤ改正でした。ダイヤ改正と同時に青函トンネルが開業、翌4月10日には瀬戸大橋も開業し、全国のJRの路線がついに繋がった時で、「一本列島」という言葉も生まれました。日本はバブル経済に湧いていた頃で、寝台特急『 北斗星』が運転を開始した改正でもあります。

復刻版時刻表にも、新たに開業した津軽海峡線や瀬戸大橋線の時刻が記載されています。ただし、瀬戸大橋の開業は4月になったため、時刻表では宇野線と四国内について、瀬戸大橋開通前と開通後の2つのダイヤが掲載されています。また、青函連絡船と宇高連絡船が鉄道ページに掲載された最後の時刻表でもあり、復刻版でも確認することができます。

新幹線は東海道・山陽新幹線と東北新幹線、上越新幹線の4路線しかありません。東海道・山陽新幹線では100系が投入されたばかりで、当時最新の100系G編成(JR東海所有で、東海道新幹線区間専用編成)を除き『ひかり』には食堂車が健在でした。『のぞみ』が誕生するのはこの4年後のことです。東北・上越新幹線は上野発着で、北は盛岡が終点です。列車体系も東北新幹線が『やまびこ』『あおば』、上越新幹線が『とき』『あさひ』と単純でした。いまでは第三セクター化された並行在来線である東北本線や信越本線、北陸本線では、たくさんの特急列車が設定されています。地方における高速道路の整備も不十分で、今では地方都市間の主力である高速バスは路線も少なく時刻表のページもわずかで、代わってローカル線でも急行列車の記載を見ることができます。

夜行列車も多数が健在で、首都圏や関西と地方を結ぶ列車はもちろん、北海道内や九州内で完結する列車も運転されていました。例えば首都圏から北を目指す夜行列車は、GWの最盛期には寝台特急だけでも『あけぼの』3往復、『ゆうづる』2往復、『北斗星』3往復、『はくつる』『出羽』、これに急行『八甲田』2往復、『おが』2往復、『津軽』2往復、『十和田』、下りのみの『いわて』、下り夜行上り昼行の『ざおう』『ばんだい』が運転されていました。時刻表巻頭には「寝台特急」だけの時刻が記載されたページがあります。また、日を跨いで走る列車が多いことから、ダイヤ改正前日から当日にかけての夜行列車の時刻が掲載されているなど、まさに隔世の感があります。

国鉄からJRへの変化を利用者にわかりやすく訴えるため、「地域密着」という言葉も使われました。この改正でも全国で東海道新幹線の5駅を含め33駅が開業、5駅が駅名変更しています。

一方で、国鉄改革の一つであった特定地方交通線(いわゆる赤字ローカル線)の廃止は終盤に差し掛かっていました。1988年3月中で木原線(→いすみ鉄道)、能登線(→のと鉄道)、松浦線(→松浦鉄道)、中村線(→土佐くろしお鉄道)が廃線となり、新たに誕生した第三セクター鉄道へと引き継がれました。これら4路線に関しては、転換前と転換後両方の時刻が掲載されています。また、長大ローカル線と言われた北海道の天北線、名寄本線、池北線、標津線はまだ健在で、最後の活躍が復刻版時刻表からも確認できます。

JR発足 しかしまだまだ国鉄時代を色濃く感じる 時刻表1988年3月号

1988年3月は、ちょうどJR発足から1年がたった頃です。各地では新車の投入、列車の増発、新駅の設置が行われ、民営化の成果のアピールが盛んにおこなわれていました。好景気でもあり、青函トンネルや瀬戸大橋の開通で大いに沸いた当時が、時刻表からも見て取れます。

ただ、列車の運行形態としては国鉄時代のものを引き継いだものもほとんどでした。

都市間輸送では、特急列車を補完するため急行列車が残っている線区も多くありました。キハ181やキハ82、キハ58が使用されている例がほとんどで、所要時間も今よりずっと長いものでした。

首都圏では京葉線の大半が未開業で、湘南新宿ラインや上野東京ラインは影も形もありません。京阪神では、平日の新快速は日中以降の運転で、中京圏ではまだまだ電車本数自体が今の半分程度と、都市圏輸送などの改善もまだ始まったばかりでした。

地方都市に目を移すと、さすがに旧型客車は姿を消したものの、ローカル列車として50系や12系の客車列車が使われていることも、時刻表からうかがえます。

時刻表好きにはたまらない時刻表完全復刻版、この1988年3月号の内容は、地域や路線を区切ってまた改めてご紹介したいと思います。

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