イタリア高速鉄道脱線 原因はポイント切替ミス? 数時間で運行再開できた理由とは

海外
スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

原因はポイントか 当局が調査中

2月6日現地時間の早朝、イタリア北部ミラノ近郊で高速列車「フレッチェロッサ」が脱線、死者2名を出した事故で、原因はポイントの切り替えミスである可能性が報じられています。

当日は現場で保線工事が行われていたこと、該当列車が作業後通過した1番列車であることから、早くからその関連性が指摘され、現地の報道によると、作業員から事情聴取も行われていました。

また、事故後の調査ではポイントが側線側に切り替わっていたことが確認されてました。ただ、これが事故を招いたのか、あるいは事故の衝撃で切り替わったのかはわかっておらず、現在も調査が続いているようです。

事故後数時間で運転再開した「フレッチェロッサ」

さて、これだけの大事故にもかかわらず、フレッチェロッサは事故後数時間後には運行を再開しました。事故が起きた場所は、ミラノ-ボローニャ-フィレンツェ-ローマ-ナポリと、イタリアの主要都市を結ぶ高速新線の一角、イタリアの大動脈です。影響を最小限に食い止めるためにも、一刻も早く運行再開にこぎつけたいのは当然でしょう。何につけてものんびりなイタリアらしからぬこの迅速な運行再開は、実は迅速な処理の結果ではなく、日本とイタリアの新幹線の仕組みの違いにあります。

最初に断っておきますが、もちろん運行再開=通常ダイヤではもちろんありません。通常ダイヤに戻るまではかなりの時間を要する見込みです。

公式サイトによれば、2月13日午前6時(現地時間)の情報では、ミラノ-ボローニャ高速線は法的調査のため2月6日より従来線を使用しており、ミラノ-ピアチェンツァで40分所要時間が伸びて運行となっている他、高速列車フレッチェロッサ約20便程度が運休、10便程度の準高速列車、特急列車が該当区間を中心に部分運休となっています。また、高速列車が従来線を走行することにより、ミラノ-トリノを結ぶ地域列車の始発駅が変更となっています。

ヨーロッパでは高速鉄道=新幹線方式ではない

さて、気になるのはこの従来線という表記です。ちなみにイタリア語サイトの原文では、ミラノ-ボローニャ高速線はLinea AV (Alta Velocità)、従来線はLinea Convenzionaleと表現されています。

ミラノ―ボローニャ高速線
wikipediaより

1964年(昭和39年)、日本で東海道新幹線が開業します。輸送力のひっ迫した東海道本線の線増という名目でしたが、線路幅1435㎜、電源は交流25kv、車体長25mという規格は、在来線とは全く互換性のない、その名の通り「新」幹線の登場でした。以後日本の新幹線計画は、在来線とは別規格の新線を建設するこのスタイルが基本となります。

一方、ヨーロッパの高速鉄道は、あくまで在来線の発展型として建設が進められてきました。もともとヨーロッパでは線路幅1435㎜が標準で、車体規格も日本の在来線より大きく、使用電圧も日本より高いものが採用されていたので、高速運行には支障ありませんでした。新たに建設する高速路線では200~300㎞/hかあるいはそれ以上の高速走行を行いますが、市街地など新たに用地取得が困難な区間は在来線と施設を供用しています。また、高速路線は要所要所で在来線との渡り線、連絡線が存在します。例えば行先にバリエーションを持たせたり、高速路線にはない駅に停車させたりすることができます。また、高速路線を在来線の特急列車が走行することも可能で、周辺地域での所要時間短縮にも効果を発揮します。

スイス バーゼル中央駅
高速列車からローカル列車まで 様々な列車が集うヨーロッパの駅(スイス・バーゼル中央駅)
撮影:鉄道模型モール制作室

イタリアでは高速路線のことを「ディレッティシマ」と呼び、古く1970年代から建設が進められ、2009年までにミラノ-ナポリが全線開業しました。しかし、他のヨーロッパ諸国同様、高速路線は主に市街地を外れた郊外に建設され、市街地へは在来線を経由して乗り入れを行います。

イタリア・ボローニャ付近の高速路線から在来線への渡り線。画面左右に伸びるのが高速線「ディレッティシマ」で、上下に伸びるのが在来線。例えば画面左方向からやってきたミラノ発の高速列車は、分岐点でディレッティシマから外れ画面下のボローニャへ向かう
googlemapより

この方式では、在来線区間の存在が全体の所要時間の増加につながったり、在来線のダイヤの乱れが高速路線までに広がることがある反面、市街地での建設費が抑えられるほか、利用者としても発着駅が集約され便利になります。特に今回のように大きな事故が発生した場合、渡線を利用して在来線を使用することで、あたかも高速道路の事故区間を一般道に迂回するかのような柔軟な対応が可能となったものです。

日本式、ヨーロッパ式どちらがいいのかという議論に関しては、それぞれ一長一短であり優劣をつけるものではないと思います。しかし、一口に新幹線と言っても世界に様々なパターンがあり、その路線が置かれている状況や環境も様々です。それらはまたいつかご紹介したいと思いますが、日本式だけが唯一の方法ではないということは、常に考えていてもいいかもしれませんね。

タイトルとURLをコピーしました