JR九州「肥薩線の復旧には1年以上」  路線存続を前提に検討へ 

社会

※この記事は2020年7月29日に公開したものです。その後JR九州からは肥薩線の復旧に向け新たな認識が示されています。「肥薩線の復旧「単独では断念せざるを得ない」 JR九州が言及」も併せてご覧ください。

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肥薩線の復旧には1年以上 鉄道での復旧を前提で費用算出へ

大雨で大きな被害を受けた肥薩線について、JR九州は鉄道での復旧を前提に今後の検討に入ることを明らかにしました。復旧方法や費用の算出はこれからということですが、JR九州が肥薩線の復旧について触れたのはこれが初めてです。

肥薩線は、2020年7月豪雨によって沿線の球磨川が氾濫し、鉄橋、路盤や線路、ホームの流出など、7月20日現在の発表で450か所が被災しました。この影響により、7月29日現在も八代―吉松が不通となっており、代行輸送のめども立たない状態です。運行再開までには相当の時間がかかることが当初から予想されていたほか、路線そのものの存在も危ぶまれてる状況にありました。

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JR九州 「令和 2 年 7 月豪雨」による当社の被災状況について

JR九州の発表によれば、ひとまずは廃止やBRTの議論はおこなわず、今後鉄道で復旧することを前提とした復旧方法の検討や費用の算出に入るとしています。同時に、2鉄橋が流されるなど「厳しい状況」とし、1年以上の時間が必要であることも明らかにしています。

また、明治期に建設された沿線のハイライトである球磨川第一橋梁、第二橋梁はいずれも流出しましたが、明治時代と現代では安全基準など建設にかかわる基準がまるで変っていることから、河川管理者の国と協議しながら復旧方法を検討した上で復旧費を算出するとしています。

廃線の可能性は? 肥薩線の存続は安泰なのか

報道にもあった通り、ひとまずは鉄道としての復旧の道筋が示された肥薩線ですが、本当に復旧できるのか、まだ予断を許さない状況です。

肥薩線は2017年度の輸送密度が507人、八代―人吉に限っても603人という、JR九州による「維持困難路線」の一つです。近年は九州新幹線の開業により観光路線としても大きく注目されるようになり、利用客も若干増加していましたが、それでも分割民営化された1987年(昭和62年)度と比べると実に1/3という数字で、かねてから廃線もささやかれていました。

今回JR九州は、鉄道での復旧に言及すると同時に、BRT化が決まった日田彦山線の例を挙げ、「最終的にどういう形で復旧するかは地元と決めたい」と述べています。復旧費用次第では、地元の負担が前提となるか、あるいはBRT化が適当という結論へ落ち着く可能性もあります。

近年は大災害の発生が多く、ローカル線が被害を受けることも増えてきました。もちろん復旧には多額の費用が掛かることは承知していますが、災害のたびにどこかで鉄路が切り刻まれていくのはとても残念です。

肥薩線の存続を、心から祈っています。

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