どうなる肥薩線の復旧 流出の球磨川第一橋梁 現行基準では再建困難

社会
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球磨川第一橋梁 肥薩線のハイライトであり、構造的にも貴重な橋梁だった

2020年7月豪雨で流出した肥薩線の球磨川第一橋梁について、現在の政令を基準とするとそのままでは再建出来ないことがわかりました。橋脚の間隔が狭く、川面からの高さが不足するなどしているということです。肥薩線の復旧には橋梁の再建が不可欠ですが、方法によっては費用が大幅に膨らむ可能性もあり、肥薩線の存続に関わる事態となりそうです。

建設中の球磨川第一橋梁
Wikipediaより

球磨川第一橋梁は、肥薩線鎌瀬-瀬戸石にある全長205mの橋梁です。肥薩線のうち、人吉本線として八代―人吉が開業した1906年(明治41年)に竣工しました。全長の2/3ほどにに2連のトラスがある構造で、複雑で美しい姿が特徴でした。人吉本線の建設に当たってはアメリカの技術が多用されたことから、球磨川第一橋梁もアメリカ人技師によって設計され、ニューヨークで製造されました。トラスの骨組みの結節にピンを用いるピン結合方式と呼ばれる構造で、今でも開設当初のピンが使われています。このピン結合方式構造の鉄橋は、後に鉄道の高速化、重量化により摩耗によって損傷する例が多く、リベットや溶接に置き換えられたため、球磨川第二橋梁とともに数少ない現存例として貴重な存在でした。

建設から110年以上が経過した2010年代後半でも、球磨川第一橋梁はほぼ建設された時の姿のまま健在で、肥薩線の車窓風景のハイライトとなっていました。また、肥薩線きっての撮影名所としても有名で、特に『SL人吉』運転時などは大勢の撮影者で賑わっていました。

現行の河川構造令では再建は困難か 線路付け替えの必要も

球磨川第一橋梁は、2020年7月豪雨により球磨川が氾濫、上流にある球磨川第二橋梁とともに流出しました。また2020年8月29日現在、肥薩線は八代―吉松で不通となっています。肥薩線の復旧には橋梁の再建が欠かせませんが、現在の法律の基準では、少なくとも球磨川第一橋梁についてそのままでは再建が困難なことがわかりました。

1976年(昭和51年)、河川法に基づき堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる安全確保のための基準値を定めた河川構造令が制定されました。この政令はすでに出来上がっていたものにさかのぼって適用はされませんので、こうした基準のなかった明治時代に建設された球磨川第一橋梁が影響を受けることはありませんでした。

しかし新たに再建する際には、この政令の基準を満たす必要があります。球磨川第一橋梁がこの基準を満たすためには、橋梁を現行より約2mかさ上げする必要があるということです。また、橋脚の間隔も狭すぎて現行基準を満たさないため、本数を減らしたうえで新たに作り直す必要があるということです。

しかし、人吉側にはすぐにトンネルとなっており、現在のまま2mのかさ上げは困難な状態です。今後はトンネルの拡張が可能かどうかや、線路の付け替えを含めた検討が必要と見られます。

JR九州は、鉄道による復旧と前提として復旧費用を算出するとしており、路線の存続については今のところ言及を避けています。しかし、このまま復旧費用が高額になると、廃線も現実味を帯びてくることと思われます。

復旧に当たっては、JR九州単独の判断ではなく、国や熊本県の治水事業とも大きくかかわってくることから、路線存続には沿線自治体の協力も欠かせません。熊本地震で大きな被害を受けた豊肥本線は、地域一丸となって4年がかりで復旧しました。時間やお金がかかるかもしれませんが、再び鉄路が繋がることを祈ってやみません。

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