Nゲージレイアウトに踏切を導入しよう
高架線や地下線を除き、線路があるところには必ずと言っていいほどある踏切。街中風景であれ、ローカル風景であれ、実物にある以上Nゲージレイアウトでも再現しない手はありません。
かつてNゲージの踏切といえば、KATOやTOMIXから発売されていた自動制御のものか、パーツメーカーのアクセサリーぐらいで、前者はお座敷レイアウトに使用できるものの非常に高価、後者は固定式レイアウトでの使用が前提で、気軽に利用できる商品ではありませんでした。しかし、現在は各メーカーからお手軽設置のものまで発売されていますので、ぜひあなたのレイアウトにも導入を考えてみてはいかがでしょうか。
踏切って何? まずは正しく理解しよう
踏切は、法律上正しくは「踏切道」といい、線路と道路が平面交差する箇所のことを指します。鉄道事業法では、実は第39条によって線路と道路が平面交差することを原則禁止しており、踏切はあくまで「やむを得ない場合」の例外とされています。
また、踏切道を設置する場合には、列車の接近を知らせ、やむを得ない場合を除き道路交通を遮断できる装置を設置しなければならない(同62条)、必要に応じて踏切道の支障を感知する装置を設置すること(同63条)とされています。
2020年現在、交通渋滞や事故防止の観点から踏切の新設は厳しく制限されており、また大都市においては高架化や地下化で踏切の撤去が進んでいることから、1960年(昭和35年)に日本全国で約70000か所あった踏切は、2017年には約33000か所まで減少しています。
なお、路面電車の場合は、法律上ほとんどが「鉄道」ではなく「軌道」として扱われ、先の鉄道事業法ではなく「軌道法」が適用されます。軌道法では、軌道(線路)は道路上に敷設すること(併用軌道)、やむを得ない場合にのみ道路外に設置してもよい(一般に専用軌道と呼ばれていますが、法律上正しくは新設軌道と言います)とされ、鉄道とは逆の決まりとなっています。
踏切は法律上4種類に分類される
踏切は、法律上以下の4種類の分けることができます。
- 第一種踏切
- 自動警報機、自動遮断機を備えるか、踏切警手が列車の通過の際道路交通を遮断するもの
- 第二種踏切
- 時間を限って踏切警手が道路交通を遮断するもの 時間外は第四種踏切となる 1980年代を最後に日本には現存せず
- 第三種踏切
- 警報機だけ設置されている踏切
- 第四種踏切
- 警報機も遮断機もない踏切 都市部にある、踏切信号機による踏切も含まれる
先にも述べましたが、現在新設される踏切はわずかで、その総数は年々減っていっています。戦後の踏切数の推移を簡単に見てみると、以下のようなものになります。
第一種 | 第二種 | 第三種 | 第四種 | |
1960年 | 約5000 | 少数 | 約5000 | 約60000 |
1990年 | 約30000 | 0 | 約2000 | 約8000 |
2017年 | 29801 | 0 | 723 | 2726 |
現在、踏切と言えば警報機、遮断機付きの第一種踏切が一般的で、安全上の問題からも積極的に第三種、第四種からの改良が進められてきました。一方で昭和30年代には警報機、遮断機付きの踏切のほうが珍しく、大都市内でも大通りとの交差を除くと、第四種踏切が一般的でした。
Nゲージの踏切ラインナップはこちら
さて、そんな踏切ですが、レイアウトで再現するため各メーカーから様々な商品が発売されています。
まず、最もポピュラーなのがKATOのユニトラック、TOMIXのファイントラックから発売されている自動踏切です。
いずれの商品も、線路に取り付けられたセンサーが列車の接近を感知、踏切を作動させます。特に、TOMIX製品は遮断機の開閉速度の調整、接近方向の表示など細かな動作が特徴です。
また、KATO製品は本体が124㎜、センサーレールが62㎜の固定サイズで、設置に当たってはレイアウトの線路配置の見直しが必要となりますが、TOMIX製品は既存の線路に置くだけの構造で、センサーも線路に既設のDCフィーダーを使用するタイプもあるため、今ある線路配置を変える必要がありません。一部を除くカーブレールにも設置が可能です。拡張ユニットを買い足すことで、どちらも最大3線まで対応可能です。また、TOMIX製品はセンサーが別売りとなっています。
ただし、これらの商品は非常に高価ですので、おいそれと導入したり、複数設置することは非常に困難です。動作にこだわらず、設置さえすればいいというユーザーのために、ダミー商品も発売されています。少し前までは、パーツメーカーの専門分野でしたが、TOMIX、KATOからも発売されてます。
KATOからは、長さ124㎜、ユニトラックの踏切付線路が発売されています。自動で動作はしませんが、遮断機の開・閉は手動で動かすことができます。定価も1000円台で、動作しない分リーズナブルです。リレーラー線路を兼ねており、リレーラー線路を買い足すことで複線以上化にも対応しています。
TOMIXからは、ジオコレの情景コレクションとして発売されています。動作もせず、置くだけの製品です。道路の幅に合わせ、2種類の展開です。4月にリニューアルが予定されているようです。
グリーンマックスからは、塗装済み完成品が発売中です。置くだけの簡単設置です。複線分のセットとなっています。なお、自作にこだわる玄人ユーザー向きのキットが、2020年5月頃再発売予定です。
この他、固定式レイアウトに設置するパーツとして、津川洋行から発売されています。