『のぞみ』運転開始から30年 1992年運行開始当時の状況とは

新幹線
スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

『のぞみ』誕生から30年 1992年ダイヤ改正時の『のぞみ』とは

2022年3月は、東海道新幹線に『のぞみ』が誕生して30年となります。

『のぞみ』が運転を開始したのは、1992年3月14日で、開業以来『ひかり』『こだま』のみとなっていた東海道新幹線に、初めて新しい列車名称が誕生しました。

1990年代初めは、在来線の新設特急には『スーパー○○」と名付けられることが多く、仮称段階では『スーパーひかり』という名称も使われていましたが、新幹線としてはふさわしくないことなどから、最終的には『のぞみ』に落ち着きました。

新たに製造された300系を使用した『のぞみ』は最高速度が270㎞/hで、それまでの220㎞/hから大きく向上。東京―新大阪の所要時間も、2時間49分から2時間30分へと大幅に短縮されました。

1992年改正での『のぞみ』のダイヤは、1日2往復ながら航空機を強く意識したダイヤ設定で、午前は東京、大阪それぞれに9時のビジネスタイムまでに到着するよう、また夜は航空機の最終便が出発した後に東京、大阪を出発するダイヤとされました。また、既存のダイヤパターンを乱さないよう、早朝深夜にのみ以下の4本が設定されました。

  • のぞみ301号 東京6:00→新大阪8:30
  • のぞみ303号 東京21:18→新大阪23:48
  • のぞみ302号 新大阪6:12→東京8:42
  • のぞみ304号 新大阪21:18→東京23:48

停車駅は、『のぞみ』301号が新横浜のみで、残る列車は名古屋、京都に停車しました。

1992年の東海道新幹線 品川駅は未開業、新横浜駅は『ひかり』の半数が通過、『のぞみ』の「地元飛ばし」が話題に

ところで、『のぞみ』が運転を開始した1992年の東海道新幹線は、どういう状況だったのでしょうか。

この当時、品川には新幹線の駅は未開業で、まだありませんでした。現在は全列車が停車する新横浜も、1992年時点では停車する『ひかり』は少数派で、速達タイプの『ひかり』は大半が通過していました。

『のぞみ』登場直前の東海道新幹線は7-4ダイヤと呼ばれ、1時間に最大で『ひかり』7本、『こだま』4本のダイヤが組まれていました。主力の100系に交じってまだ0系も使われていた時代で、車両性能から1時間当たり11本の運転が限界でした。

『のぞみ』が誕生した1992年改正では、利用率の低かった『こだま』を犠牲にする形で、一部時間帯で8‐3ダイヤ(1時間当たり『ひかり』8本、『こだま』3本)が導入されました。

新たに設定された『のぞみ』のうち、東京発午前の『のぞみ』301号は新横浜に停車することとなりましたが、保線時間確保による徐行運転の影響もあり、300系の車両性能では、新横浜、名古屋、京都に停車して東京―新大阪を2時間半で走行することは不可能でした。

このため、『のぞみ』301号に限っては、新横浜に停車する代わりに名古屋、京都を通過とすることで、東京―新大阪2時間半を維持することとなりましたが、これには名古屋を中心とした東海地方から「名古屋飛ばし」「地元飛ばし」と大きな反響を呼ぶこととなりました。一方、観光客に便利な時間帯を外れていたこともあり、京都周辺では反対の声はあまり聞かれませんでした。

1992年改正時の東京駅発車標 『のぞみ』登場時は全列車とも全車指定席だった 上段の『のぞみ』301号の停車駅は新横浜のみで、それまで全列車が停車していた名古屋、京都は停車駅から外された JR東海のお膝元を通過する列車の設定が明るみに出るとに、名古屋では「地元飛ばし」や「名古屋飛ばし」と話題になり、愛知県知事や名古屋市長、国会議員やなどを巻き込んでの騒動ととなった 早朝の1本だけということもあり、騒動は1か月ほどで収束、保線の見直しにより新横浜に停車しても2時間半が維持できる見込みとなったため、1997年改正で名古屋通過列車自体がなくなった 反転プラップ式の発車標もなつかしい Wikipeidaより

300系を使用した、『のぞみ』間合い運用の通称『黒ひかり』も設定された

『のぞみ』として製造された300系でしたが、早朝と夜間しか『のぞみ』が設定されなかったこともあり、日中に『ひかり』として1往復運転されていました。

先行試作車として1990年に製造された300系J1編成 登場時はJ0編成と呼ばれ、のちに量産化改造を受けJ1編成となり1993年から営業運転に投入された 1992年の運転開始時に第一次車として投入されたのはJ2~J5の4編成で、1日2往復に対して余裕があったため、日中の『ひかり』1往復として使用された 300系は高速化と軽量化のため乗り心地が悪くなったという評判が多く、故障やトラブル続きで当初はあまり芳しい評価ではなかった 一方で最高速度を抑えた『ひかり』での運用は好評だったという Wikipediaより

該当する列車は『ひかり』238号と『ひかり』243号で、当時市販の時刻表では青地に白抜きで印刷されていた通常の『 ひかり』に対し、黒地に白抜きで『 ひかり』と記入されていたため、通称「黒ひかり」とも呼ばれていました。

トラブルが絶えなかった 運行開始直後の『のぞみ』

最高速度を従来から50㎞/hも向上し、所要時間も大幅に短縮した300系『のぞみ』でしたが、運行開始当初は様々なトラブルに悩まされ、連日マスコミにも取り上げられる始末でした。

高速化のため車両の軽量化が思い切って行われた結果、車内の騒音や振動がひどくなったほか、居住性の悪さも目立っていました。

技術面でのトラブルも相次ぎ、営業開始から1カ月余りの4月25日の時点で168点もの不具合が発生していました。5月6日には、先の『黒ひかり』として三河安城―名古屋を走行していた車両で、モーターを支えるボルトが外れて部品の一部が落下。これがブレーキ管を破損させたため緊急ブレーキがかかり、4時間以上にわたって立往生する事故が発生しました。最悪の場合モーター本体が脱落して車体に重大な損傷を与えかねない事案で、新幹線の安全を揺るがす大事故となってしまいました。

これらの経験を踏まえ、のちの新型車両の導入に当たっては、長期にわたり入念な試運転が行われることとなり、大きなトラブルは起こっていません。

『ひかり』から主役の座を奪った『のぞみ』の今後は? 

1992年改正では1日4本という少数だった『のぞみ』ですが、翌1993年改正では毎時1本へと増発。最大で1時間当たり『のぞみ』1本、『ひかり』7本、『こだま』3本の1-7-3ダイヤが導入され、山陽新幹線区間への乗り入れも始まりました。

しばらくは『ひかり』を中心としたダイヤが組まれていましたが、これが大きく変化したのが2003年10月改正で、東海道新幹線から100系の引退により、『のぞみ』を中心とした7-2-3ダイヤへと転換、以降は『ひかり』は短距離輸送へその主軸を移し、長距離輸送は『のぞみ』が担うこととなりました。

2027年には、東京ー名古屋にリニア新幹線の開業が予定されています。リニア新幹線は同区間を40分台で結ぶ予定で、長距離輸送のほとんどはリニア新幹線へとシフトする見込みです。

このため、東京ー名古屋の新幹線は短距離の区間輸送中心へと変わり、『のぞみ』の役割は名古屋から西への接続列車へと変化することになるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました