キハ85系が西舞鶴駅に回送 京都鉄道博物館の展示からJR東海に返却されず
HC85系の投入により余剰となったJR東海キハ85系のうち、2両が西舞鶴に回送されていると話題になっています。
回送されているのはキハ85-3とキハ85-12の2両で、いずれも非貫通タイプとなっています。キハ82『ひだ』を置き換えるため製造された初期型で、一貫して名古屋車両区に配置されていました。なお、この2両は2023年2月25日から3月5日まで、京都鉄道博物館で新旧顔合わせとしてHC85系とともに展示されていた車両です。
展示終了後は網干総合車両所宮原支所へ回送されていた模様ですが、そのままJR東海には返却されることなく3月6日~7日にかけ、福知山線・舞鶴線経由で西舞鶴駅まで回送されたようです。
西舞鶴駅では、さっそく留置中のKTR011編成、通称『タンゴエクスプローラー』と並ぶ姿も捉えられています。
キハ85系 京都丹後鉄道に4両を譲渡か 『タンゴエクスプローラー』置き換えとみられる
さて、この回送の目的ですが、キハ85系2両は京都タンゴ鉄道へ譲渡されたとみられています。
京都丹後鉄道では、2022年5月に公開された2021年度の安全報告書の中で、「車両更新」として2両1編成の中古車両を導入することを発表しており、これが置き換え予定のあるキハ85系ではないかという噂は、この当時からささやかれていました。
表示されない場合: 安全報告書 2021
両社からはっきりとした発表はありませんが、西舞鶴駅では京都丹後鉄道の職員が乗り込む姿が目撃されていたこと、同社の留置線へ収容されていることから、譲渡はほぼ間違いないと見られています。
また、一部の報道によれば、譲渡されるのは今回回送されたものを含めて4両で、残る2両も間もなく回送されるということです。
京都丹後鉄道では、北近畿タンゴ鉄道として発足した当初に製造されたKTR001形、通称『タンゴエクスプローラー』2編成を所有し、山陰本線や福知山線を経由して京都・大阪からの直通列車に使用されていました。その後、宮福線の電化など周辺環境の変化により特急列車ネットワークが変更され、2011年改正でJRとの乗り入れ運用からは引退。自社内完結の特急列車として使用されました。
しかし、自社内完結列車で3両編成は供給過剰であること、ハイデッカー構造が災いしてバリアフリー化が難しいこと、製造後20年を経過し老朽化が進んできたことなどから、2013年改正で定期運用を離れ、以降は予備車的な扱いとなっていました。
その後も時折定期列車の代走や団体列車として走行することもありましたが、稼働日は年々減少。2016年には先頭車両1両(KTR001形)が部品取りとして供出され、第一編成は走行不可能な状態のまま西舞鶴駅に留置されることとなりました。第二編成は2018年に全般検査を受け、定期列車の代走として足回り、塗装とも整備されましたが、2020年以降になると稼働はほとんどなく、2編成とも西舞鶴駅に留置されていました(2021年には、一時的に福知山へ疎開していた時期もありました)。さらに2022年9月下旬から第一編成の解体が始まり、残る第二編成は解体は免れたものの、塗装の剥がれの目立つ痛々しい姿で留置されています。
第一編成は、この会の2両の譲渡に合わせて留置場所を開けるように解体されたので、第二編成も残る2両の譲渡時には解体されてしまうのではないか…、との憶測も流れています。
京都丹後鉄道キハ85 今後の運行予定は?
京都丹後鉄道へ譲渡されたとみられるキハ85系ですが、今後については2023年3月8日現在JR東海、京都丹後鉄道からも発表はありません。
2023年3月18日のダイヤ改正でも、キハ85系の運行が確認できる点は今のところないので、運用開始は当分先ではないかと思われます。
ただ、先の報道等によれば早ければ2023年度中にも走行開始ということで、今後の正式発表が待たれるところです。
京都丹後鉄道では、いわゆる水戸岡デザインを採用している車両が存在しており、キハ85系がオリジナルのまま運用につくのか、あるいは水戸岡ナイズドされるのかは、今後注目されます。