ブルーリボン賞とローレル賞とは? 誰がどうやって決める? 何が違うの?

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2023年 ブルーリボン賞はHC85系、ローレル賞は京都市交20系に決定

2023年のブルーリボン賞、ローレル賞の受賞車両が決定しました。

ブルーリボン賞に選ばれたのはJR東海のHC85系で、発電装置と蓄電池の組み合わせで国内最速となる120㎞/h運転を実現、機器類の小型化や低騒音化とともに、低燃費や環境負荷など省エネルギー性に優れた点や、グリーン車、普通車ともに全席にコンセントが備わり、車内Wi-Fiサービス、大型荷物対応荷物スペースと現代の旅を支える装備も充実している点、安全性が大きく向上している点などが評価されました。

HC85系
2023年のブルーリボン賞に選ばれたHC85系 発電装置と蓄電池の組み合わせによる省エネルギー化や、先進的な接客設備が評価され得票数は圧倒的だったという 2023年7月からは『南紀』にも投入される Wikipedia(JR東海HC85系気動車)より @Rsa

また、ローレル賞には京都市交通局の20系が選定されました。

外観や内装に京都の伝統産業の素材やデザインを採用し「京都らしさ」が演出され、公営交通事業者の通勤車の制約の中で、市民参加によるデザイン策定、多目的スペースの設置、バリアフリー、多言語案内表示等のインバウンド対応、車両内外デザインでの伝統産業品との協創など、完成度が高く最新技術と京都らしさを併せ持つ優れた車両であることが評価されました。

京都市交通局20系
2023年のローレル賞受賞車となった京都市交通局20系 デザインの選定は市民参加で、京都らしい内装やおもいやりエリアなどバリアフリーな設計が評価された 現行の初期車両はすでに40年が経過しており、更新時期としては妥当だが、財政難の折新車投入は批判も多い なお、この車両は2022年度グッドデザイン賞も受賞している Wikipedia(京都市交通局20系電車)より @ATTESA-R

このブルーリボン賞とローレル賞、毎年必ず聞くタイトルですが、いったい誰がどうやって決めているのでしょうか。また、2つの賞の違いは何なのでしょうか。

ブルーリボン賞、ローレル賞とは? 誰が決めてどう違う?

ブルーリボン賞とローレル賞は、その前年に営業運転を開始した車両の中から鉄道友の会によって行われる表彰です。このうち、ブルーリボン賞は主に会員の投票によって、ローレル賞は投票によらず選考委員会によって選ばれる違いがあります。

ちなみに鉄道友の会とは、1953年に発足した全国規模の鉄道愛好者団体で、公式サイトによれば、2022年3月末現在3000人を超える会員があり、鉄道趣味団体では日本最大の規模を誇ります。また、「広く鉄道知識を普及し,鉄道趣味を通じて会員相互の親睦を深め,鉄道を愛護し,その発展に寄与すること」を目的とし、機関誌の配布や、見学会・撮影会・講演会・模型運転会等の開催、鉄道に関する資料収集や研究発表などを行っており、ブルーリボン賞やローレル賞の選定もこの鉄道友の会の活動の一つとなっています。

ブルーリボン賞が誕生したきっかけは、1952年の初代ロマンスカーとなった小田急3000形SE車の登場で、その画期的な設計から鉄道友の会から何か記念することはないか、との意見でした。

小田急3000形SE
第1回目のブルーリボン賞受賞車となった小田急3000形SE 新宿―小田原を60分で結ぶという計画のもと、線路設備への投資を抑えるため軽量化によってスピードアップを実現、流線形、連接車体など、後のロマンスカーの基礎を作り上げた 国鉄線上での試運転では、当時の狭軌線で最速となる145㎞/hを記録 国鉄にも貴重なデータを提供し、後の東海道新幹線にもつながることとなった  Wikipedia(小田急3000形電車 (初代))より @Lover of Romance

このため、翌1953年には第一回のブルーリボン賞として、無投票で小田急3000形に決定されましたが、翌年からは会員の投票へと移行しました。

しかし、投票方式では特急型など目立つ存在の車両が選ばれる傾向が強くなることから、ブルーリボン賞とは別に主に通勤型などで技術的に優れた車両が選考委員会で選ばれることとなり、これがローレル賞となりました。ちなみに第一回目は1961年で、阪急電鉄の2000系・2300系が選ばれました。

阪急2300系
1961年の第1回ローレル賞受賞車となった阪急2300系 2000系が神戸・宝塚線用で、2300系が京都線用となる その後半世紀にわたる阪急の標準スタイルを確立した車両で、車速を一定に保つ定速制御機能と回生ブレーキをを装備している点が技術的に評価された Wikipedia(阪急2300系電車)より @Rs1421

ただし、後年には特急型や通勤型の区別があいまいになる例も増えてきたことから、第15回となる1975年からはこうした区別が撤廃され、ブルーリボン賞にノミネートされた車両から選考委員会によって選ばれることとなりました。

さらに、ブルーリボン賞の受賞は毎年1形式に限られますが、ローレル賞にその制限はなく、最多となった2006年には4形式が選ばれた例もあります。

いずれの賞でも、製造日や鉄道会社への引き渡し日ではなく、旅客運行を開始した日を基準としているのが特徴で、選定が製造年の数年後となることもしばしばです。また、必ずしも新型車両である必要はなく、在来車からの改造車が選定されることもあります。また、営業運転をしていることが条件なため、事業用車両は対象となりません。

ブルーリボン賞対象車両は、新製車両だけとは限らず、改造によって新しくなった車両も選考対象となる 1984年(第27回)には、14系座席車から改造された『サロンエクスプレス東京』が選ばれている Wikipedia(サロンエクスプレス東京)より @spaceaero2

ブルーリボン賞、ローレル賞 どうやって選ばれる?

では、ブルーリボン賞やローレル賞の受賞車は、どのようにして選ばれるのでしょうか。

年により制度が変更される場合もありましたが、近年は以下のようになっています。

まずは、鉄道友の会の会員から、その年の選考委員が選ばれます。

選考委員は選考委員会を組織し、その年のブルーリボン賞の対象候補車両を選定、これを鉄道友の会機関誌上で発表します。そして、鉄道友の会会員による各員2票の投票が行われ、原則として最多得票を獲得した車両がブルーリボン賞を獲得します。ただし、1位の得票率が低い場合や、1位と2位が僅差である場合には、2位の車両が受賞した例もあります。

また、選考委員は、その年のブルーリボン賞の候補のうち受賞しなかった車両を対象に、ローレル賞の車両を選定します。この際、投票結果はあまり重要視されず、選定委員会の意見が優先されます。

これらの選定作業の後、ブルーリボン賞、ローレル賞が鉄道友の会によって発表されます。

発表の後も鉄道会社による協力が見られることがほとんどで、各社において授賞式や記念式典、また記念列車の走行などが催される場合もあるほか、受賞を示すプレートなどが車内に掲示される例が多くなっています。

阪神5700系 ブルーリボン賞プレート
2016年(第59回)受賞車である、阪神5700系車内に取り付けられた、ブルーリボン賞受賞のプレート なお、この年の投票1位はJR東日本HB-E210系で、有効投票2936票のうち434票を獲得していたが、選考委員による審議の結果、394票で2位の阪神5700系となった HB-E210系は四日市あすなろう鉄道の新260系とともにローレル賞受賞車となった Wikipedia(阪神5700系電車)より @小倉商事

なお、ブルーリボン賞やローレル賞は毎年選定が行われますが、ブルーリボン賞は過去には「該当なし」となった年もありました。

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