EF81-113が廃車回送 移籍の噂も解体されてJR西日本のEF81が消滅

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EF81‐113号機が廃車のため自力回送で松任へ JR西日本からEF81が全廃

EF81のうち、JR西日本に所属する最後の1両となっていたEF81-113が、2023年3月10日に松任工場へ自力回送されました。

EF81-113は、金沢総合運転所敦賀支所に所属するトワイライトカラーの車両で、冬季間は湖西線でのカッター運用(霜取り運転)のため網干総合車両所宮原支所に常駐していました。例年なら敦賀支所へ返却されるところですが、そのまま松任工場へ入場した模様です。

はっきりとした情報はありませんが、松任駅からはパンタグラフを降ろしDE10にけん引され入場している姿から、どうやら廃車となるようです。

JR西日本では、2022年4月にはEF81-44、113、114の3両(いずれもトワイライトカラー)が健在でしたが、10月に44、114が相次いで廃車解体となっており、113号機は最後の1両となってその去就が注目されていました。

EF81-113 越後トキめき鉄道へ移籍のうわさも解体される

さて、このEF81‐113号機ですが、今後について廃車解体なのか、あるいは譲渡に向けての整備なのか、ある噂に注目が集まっています。

その噂とは、「EF81‐113号機はえちごトキめき鉄道に譲渡されるのではないか」というものです。

JR西日本からえちごトキめき鉄道への譲渡車両としては、2022年に建築限界測定車「オヤ31-31」の譲渡が発表され、2023年3月に直江津駅へ回送、4月より直江津レールパークで展示されることが決まっています。

このオヤ31の展示計画に関連し、えちごトキめき鉄道の鳥塚社長談として「施設内をときどき走行」というものがあり、「新たな譲渡車両として、牽引機が欲しい」という発言があったことから、廃車時期や展示開始時期などからこのEF81が譲渡されるのではないか、とネット上で話題となっています。

なお、JR西日本から鳥塚社長への車両譲渡の付き合いは多く、前職であるいすみ鉄道社長時代にキハ58+キハ52の譲渡が行われたほか、2021年には413系3両+クハ455が越後トキめき鉄道へ移籍した実績があります。

2023年3月13日現在、JR西日本や越後トキめき鉄道からの公式発表はなく、今後の続報が待たれます。

このように移籍のうわさはありましたが、残念ながら2023年4月上旬から解体線に移動、4月13日ごろまでに解体されてしまったようです。

EF81とは? 三電源対応の交直両用電気機関車

EF81は、1968年(昭和43年)から製造された、直流、交流50hz/60hzの三電源に対応した交直両用の電気機関車です。1979年(昭和54年)までに156両が製造され、主に日本海縦貫線や常磐線、本州~九州など電源方式の切り替わる区間を中心に投入されたのを始め、1989年~1991年にかけては輸送力増強用として8両が製造されました。

EF81+日本海
寝台特急『日本海』の運用につくEF81 電源方式を問わず走行できるEF81は、後年になり重宝された 実際には、『日本海』や『トワイライトエクスプレス』牽引時には敦賀駅で機関車交換が行われる例も多かった Wikipediaより

1960年代には地方幹線の電化が進められていましたが、その際には地上設備が安価で済む交流方式での電化が採用されることも多く、従来進められていた直流電化区間との境界があちこちで発生することとなりました。

直流区間―交流区間の直通は、当初は地上側で送電を切り替えて機関車を交換する地上切り替えから始まり、常磐線の取手以北が交流電化されることをきっかけに、接続区間を走行中に車両側で直流・交流を切り替える車両切り替えが採用され、交直流電車として401系が投入されています。

401系
1961年(昭和36年)の常磐線取手ー勝田の交流電化に合わせて製造された、交直両用としては日本初の営業車両となる401系 153系をベースに近郊型スタイルにしたもので、窓配置やドア配置、ドア付近のみロングシートのセミクロス仕様など、後の国鉄近郊型車両の基礎ともなった Wikipediaより

電気機関車においても、当初は切り替え区間のみディーゼル機関車や蒸気機関車で牽引するという手法が取られたこともありましたが、交直両用機として試作されたED30、ED46を経て、初の量産機となる関門トンネル用のEF30(交流は60hz専用)、常磐線用のEF80(交流は50hz専用)が製造されていました。

ED30
1962年(昭和37年)に試作された、交直両用電気機関車のED30 廃車となったEF55の車体を流用したもので、当時デッドセクションのあった北陸本線坂田―田村の中継輸送用として製造された デッドセクションの橋渡し的な役割を期待され、DD51のような凸型ボディが特徴 本線用の交直両用機に目途がついたため、1両のみの試作で終わった Wikipediaより

こうした中、日本海縦貫線では1969年(昭和44年)に糸魚川―直江津の直流電化完成により、大阪側から直流―交流60hzー直流で信越本線の新津までが結ばれることとなり、さらにこの年にはこれに続く羽越本線のうち、村上までが直流、それ以北が交流50hzで電化されることが決定。日本海縦貫線では直流、交流50hz、交流60hzの区間が連続して発生することとなり、この区間を交換することなく走行できる機関車が製造されることとなり、1968年に試作車が登場しました。

EF81の設計に当たっては、九州に投入された交流型のED76をベースとした4軸駆動のD級とするか、すでに常磐線で実用化されていた同じ交直両用機のEF80をベースとするか、あるいは直流区間で安定した性能を発揮していたEF65をベースとする3案が検討され、このうちD級案では日本海縦貫線の長距離運用への不安や重量級の列車には重連運用が必要となることから早々と却下となりました。

残る2案のうち、EF80ベースではやはり長距離運用に難があること、北陸本線に存在する勾配での性能や耐寒・耐雪工事を施す余裕などから、モーターを3組搭載するEF80よりも、6組搭載するEF65をベースとすることとなり、軸配置や電動機、性能もほぼEF65と同等となっています。

ただし、交流機器を搭載するため車体はEF65より大型となり、重量も100tを超える重量級となったため、入線線区に制限ができることとなりました。また、使用想定線区である日本海縦貫線では海のそばや雪の多い区間を走行するため、雪害や塩害から機器を守るため精密回路を車内に配置する代わりに、EF65で車内にあった主抵抗器が屋上配置となりました。

EF81は1979年までに156両が製造され、主に日本海縦貫線や常磐線に投入され旅客列車や貨物列車の区別なく使用されました。本来は1両で広域運用をこなす目的で製造されたEF81でしたが、交直両用がゆえに高価で、車体の消耗を最小限にするためや、貨物列車の削減で直流区間、交流区間とも機関車が余剰となってきたことで、当初は交直切り替え区間を含んだ小規模な運用が中心となっていました。

EF81が広域運用でその性能を発揮するようになるのは1980年代以降で、機関車の整理により電化方式を問わず1両で運用できるEF81は重宝されるようになり、1986年(昭和61年)改正では大阪―青森の通し運用も登場しています。

また、1973年(昭和48年)から1974年(昭和49年)にかけて関門トンネル輸送力増強用として、300番台の4両が製造されています。300番台は高温多湿な環境と海水による塩害を防ぐためステンレス製の車体を採用、一般型とは見た目が大きく異なっています。1989年から1991年にかけては、日本海縦貫線の増発用として500番台3両、さらに関門トンネルの輸送力増強用とし450番台5両が製造されました。これらは貨物専用として使用されているため、旅客列車牽引の設備が省略されています。

EF81 300番台
関門トンネルのEF30置き換え用として製造されたEF81‐300番台 塩害から車体を守るため、ステンレス製となり趣が変わっている Wikipediaより

この他、関門トンネル専用のEF30の老朽化により、14両が関門トンネル用として改造を受け400番台となりました。関門トンネル用のEF81は、1200t貨物列車の運行に備え重連総括機能が追加されています。

EF81‐450番台
JR貨物化後に関門トンネル輸送力増強用として製造されたEF81‐450番台 5両が製造されたうち、451・452号機は灯火類の配置が異なっていたが、そののちの3両はオリジナルと同じ位置に戻された Wikipediaより

国鉄時代には1両の廃車もなく、国鉄分割民営化に際しては全車両がJRへと継承され、広域運用機として重宝されていましたが、旅客列車の電車化やディーゼル化、長距離列車の廃止、そして老朽化などにより1992年に初めて廃車が発生、貨物用後継機となるEF510の生産が始まったことからJR貨物所属車も2003年より廃車が始まりました。

2022年4月現在、JR東日本に10両、JR西日本に3両、JR貨物に14両が在籍。このうちJR西日本所属車は2023年度のうちに全車が廃車となりました。

JR東日本所属車は定期運用はなく、JR貨物所属車も、本来の活躍場所であった富山機関区からは2020年までに全車両が廃車。2023年3月現在は全14両が関門トンネルを管轄する門司機関区に配置されいています。このうち4両は長期にわたり運用がなく、2023年度以降は関門トンネルへ合計17両のEF510の投入が予定されていることから、近く置き換えられる可能性が高くなっています。

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