EF66 27号機通称「ニーナ」がついに引退? 定期運用離脱を公表
EF66基本番台のうち、唯一の稼働機となっていた27号機、通称「ニーナ」の定期運用が終了した見込みであることが分かりました。
これは、2022年5月21日と5月22日に開催される、JR貨物吹田機関区の特別公開に関するお知らせの中で述べられているもので、展示する機関車の一つとして「国鉄時代より活躍し、このたび定期運用を終えたEF66 27号機」と紹介されています。
JR貨物の発表によれば、このほか展示されるのはEF210‐300番台が挙げられている他、「吹田機関区所属の機関車数台」として、EF66‐100番台もイメージ写真として掲載されています。
なお、特別公開は有料となり、事前の申し込みが必要です。受け付けは2022年5月11日14時からで、「JRF商事 公式オンラインショップ かもつマルシェ」での受付となります。詳しくはJR貨物の公式発表をご覧ください。
EF66とは? 国鉄最強の出力を誇った電気機関車
EF66は、1966年(昭和41年)に試作されたEF90をもとに、1968年(昭和43年)から製造された電気機関車です。国鉄時代の1963年から1974年(昭和49年)にかけて55両が製造された0番台と、試作機EF90から改造された900番台1両、そしてJR貨物発足後の1989年から1991年にかけて33両が製造された100番台が存在します。
EF66が製造された頃は、高度経済成長により貨物輸送量は大幅に増加していましたが、名神高速道路や東名高速道路が開通した頃でもあり、将来の自動車貨物輸送の増加に対抗するため、貨物列車の高速化が求められるようになりました。最高速度100㎞/hに対応したコンテナ車として1966年よりコキ10000系の製造が始まっており、これを牽引するための大出力機関車として試作されたのが、EF90でした。
1000tの貨物列車を最高速度100㎞/hで牽引できるよう、当時直流区間の標準機として製造が開始されたEF65の出力2250kwに対し、EF90は3900kwと1.5倍の出力となり、当時の狭軌機関車としては世界最大の出力を誇っていました。
外観は当時の電気機関車の標準だった箱形スタイルから、481系(後の485系)などに似た縦型のライト類や傾斜のついた前面形状、特急マークに酷似した形式プレートなど、特急電車を強く意識した前面形状となりました。
1961年より、EF90は鮮度が要求される鮮魚列車として運用を開始、100㎞/h対応の冷蔵車レサ10000系を使用した特急鮮魚貨物列車「ぎんりん」「とびうお」の牽引機として使用されました。
1963年からは、EF66に形式を改め量産が始まり、1974年までに55両が製造されました、EF90は、仕様をEF66と同様に量産化改造を受け、EF66‐901号機となりました。
長らく東海道・山陽本線で貨物列車専用として活躍していましたが、1985年(昭和60年)改正で寝台特急『はやぶさ』の15両化に伴い、EF65では牽引力不足となることから、初めて定期旅客列車の先頭に立つことなりました。この改正では、貨物列車の削減で運用に余裕ができていたこともあり、『はやぶさ』の他『富士』『さくら』『あさかぜ』『みずほ』の東京―下関の牽引機となりました。こうした経緯もあり、JR発足時には56両のうちJR貨物に40両が、JR西日本に16両が継承されています。
JR貨物では、発足直後の輸送力増強のため、EF66の増備が行われました。これが100番台で、基本的な性能は同じながら外観が大きく変わり、乗務員室には冷房が設置され、部品の省力化など時代に合わせた仕様変更がなされています。
JR西日本所属車は、1990年代後半以降寝台特急の削減により順次廃車となり、2009年の『富士・はやぶさ』廃止により定期運用が消滅、2010年までに全車両が廃車となりました。
JR貨物所属車では、延命工事を受けEF65の運用を置き換えるなど活動範囲が拡大した一方、EF210の増備と老朽化で2000年代以降は基本番台の廃車が進むようになります。2019年改正までは東海道・山陽本線系統でコンテナ列車の先頭に立つ姿が見られましたが、2020年に残っていた6両のうち5両が運用離脱、この時点で稼働機は27号機のみとなっていました。
今回の27号機の引退により、引退後の処遇についてはまだ明らかになっていませんが、EF66の0番台は全て定期運用を失うこととなりました。なお、100番台についても、EF210の増備により2020年に104号機に初の廃車が発生するなど、今後置き換えが進むものと見られます。