東海道新幹線の周波数変換装置が新型に 新幹線と周波数って、なんの関係があるの?

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JR東海、東海道新幹線の周波数変換装置をすべて新型へ置き換え

JR東海は、東海道新幹線で使用している周波数変換装置について、2037年度までにすべてを新しい静止式へと置き換えることを発表しています。

この周波数変換装置は、東海道新幹線の開業した1964年(昭和39年)にまず旧式となる回転型の2台が運用を開始、その後増発に伴って順次増強され、2024年現在は4か所ある周波数変換変電所に合計9基が設置されています。また、そのうち1か所の西相模変電所では、開業時に設置された回転型周波数変換器が現在も使用されています(2027年度までに新型へと置き換えられる予定)。

しかし、回転型の周波数変換器は、その名の通り大型の発電機とモーターを回転させる仕組みで、半導体を用いて回転部分のない静止型と比べるとエネルギー効率や変換効率が低く、また部品点数も多いことからメンテナンスにも手間とコストが必要でした。このため、JR東海は2004年より回転式の周波数変換器を静止型に更新してきましたが、トラブルが発生した際に自動的に停止する静止型に対し、回転式はそのまま運転を継続できることから、万一に備えて回転型が必要とされていました。

しかし、この問題が解決できたことから、残された回転型も順次運用を終了することとなり、2037年度にはすべて新型の静止型へと置き換えられます。JR東海によると、これにより年間4,000万kwh(おおむね12,000世帯の使用電力に相当)の使用電力を削減できるほか、省メンテナンス化により年間9.8億円の削減になるということです。

「周波数」がある交流電源 東日本と西日本で違いがある  

さて、この周波数変換装置ですが、いったい何をする装置でどういう役に立っているのでしょうか?あまり耳にしたり意識したりすることのない装置ですが、実は東海道新幹線を開業以来裏で支えてきた重要な装置なのです。

鉄道に限らず、電源方式に交流と直流があることはみなさんご存じだと思います。

一般的に発電所や変電所から送られてくる電力は、家庭用や鉄道など産業用を含めて交流ですが、電車では19世紀に誕生した時から速度制御が簡単な直流モーターを採用したため、必然的に電化方式も当初は直流となりました。これに加え、かつては大電圧の直流を制御することには問題があったため、鉄道の電化は比較的低圧の直流が主流となっていました。

一方で、電力は高い電圧で送ったほうが無駄なく送電でき、発電所からの電力を変換することなく使用できて地上設備も割安ですむため、高圧の交流電化の道の模索されました。当初は試験的なものにとどまっていましたが、20世紀後半には実用化され、日本でも1955年(昭和30年)に仙山線が試験的に交流電化されました。こうした結果を踏まえ、東海道新幹線の建設については、高速運転で常時力行という特殊な条件を考慮に入れ、大電圧による交流電化で行うことに決定しました。

東海道新幹線 東日本と西日本の周波数問題を解決する「周波数変換装置」

しかし、日本には交流電力における独特の問題がありました。それは、静岡県の富士川~新潟県の糸魚川付近を境に、東日本は交流50hz、西日本は交流60hzと、世界でも極めてまれな同じ国内で2つの周波数が存在するという問題です。

インバーターが普及し、両方の周波数で使用できる機器が増えた現在では気にすることも少なくなくなりましたが、少し年配の方なら蛍光灯に切り替えスイッチがついていたことを覚えている方も多いと思います。また、洗濯機や電子レンジなど、回転を制御する機器を中心に現在でも「50hz専用」「西日本専用」などと記載されている例があります。

鉄道においても例外ではなく、従来の交流電化がそれぞれ50hz地域、60hz地域のみに収まっていたために問題にはなりませんでしたが、富士川をまたいで東西に延びる東海道新幹線では、両区間を直接つなぐことはできないため大きな問題として立ちはだかることとなりました。

仮に車両に50hz/60hzの切り替えスイッチを搭載したとしても、200㎞/hで走る運転台から切り替え区間を正確に認識することは困難で、さらに切り替えるための無電区間も相当な距離が必要となります。さらに当時の技術的な問題から、周波数に関係なく作動させる機器を車両に搭載するよりも、東海道新幹線全線で周波数を統一したほうがよいということになりました。

常磐線のデッドセクション
常磐線取手―藤代に設けられた、交流20000V/50hzと直流1500Vの接続部分 異なる電源、電圧、周波数はどれも直接つなぐと大事故につながる恐れがあるため、在来線ではデッドセクションと呼ばれる無電区間が設けられ、この区間を通過中に車両側でスイッチの切り替えを行う この他、直流・交流を問わず発電所の境界などでも、事故防止のため無電区間が設けられ、電車は惰行運転が求められるが、高速運転の新幹線ではこの方式は難しいとされ、走行しながら自動的に切り替わる仕組みが開発された なお、この仕組みは日本独特のもので、海外では高速鉄道でも無電区間走行中に手動で切り替える例が多い Wikipedia(デッドセクション)より @toshinori baba

東海道新幹線は、後に博多まで延伸することが予想され、ほとんどが60hz地域となるため、静岡県より東の地域では発電所から供給される50hzの交流電源を60hzに変換することとなり、このために周波数変換装置が必要となったのでした。

交流電源の周波数問題 他の新幹線ではどうなっている?

こうして東海道新幹線は、50hzの交流電源が供給される地域でもそれを60hzに変換して運行することとなったのですが、その後の新幹線建設では、周波数はしばらくの間問題になりませんでした。というのも、その後建設された東北・上越新幹線は沿線がすべて50hz地域のため、変換する必要がなかったのです。ただ、国鉄時代には東海道新幹線と東北新幹線が直通運転する構想があり、その際は王子付近に切り替え区間を建設するという計画もあったようですが、陽の目を見ることはありませんでした。

新幹線の周波数問題が再び話題となるのは、2015年の北陸新幹線金沢延伸時でした。

北陸新幹線の沿線は、おおむね東京都・埼玉県・群馬県・新潟県(東京電力・東北電力管内)が50hzなのに対し、長野県・富山県・石川県・福井県(中部電力・関西電力管内)が60hzとなっているため、軽井沢―佐久平、上越妙高―糸魚川、糸魚川―黒部宇奈月温泉で周波数が切り替えとなります。東京―敦賀を走破する場合、途中で3回の切り替えが行われることとなりますが、技術の向上が進んだ現在では、その切り替えはほぼ自動で行われ、運転上も旅客サービス上もほとんど意識することはなくなりました。

北陸新幹線 軽井沢~佐久平 交流50Hz-60Hz 異周波数接続セクション 新軽井沢き電区分所 2018年12月
軽井沢駅付近のセクションを通過する北陸新幹線 これらのセクションの存在により、北陸新幹線で運用できるのはE2系のうち0番台と、E7系、W7系に限られる 技術の進展により、切り替えを意識することはほとんどなくなった

この異周波数の接続は、実は特別なものではなく、新幹線では変電所の境界として広く利用されている「エアセクション」と呼ばれるもので、列車が切り替え区間に入ったら電源供給元を自動的に切り替える仕組みになっています。在来線の接続区間のように無電区間はなく、切り替えに必要な時間は1秒未満で、走行には支障はありません。ただ、実際には惰行で通過することも多いようで、さらに照明はバックアップから供給されるものの、大電力を必要とする空調は一時停止します。

また、北陸新幹線に使用されるE7系、W7系は、架線から集電した電力の周波数を自動的に判別して回路を切り替えることができ、いったん直流に変換して各種制御装置の電源とし、さらにインバーター装置で任意の周波数の交流を取り出してモーターを回転させる構造のため、供給元の周波数は問わない構造になっています。

この他、北陸新幹線では、新潟県内で東北電力からの50hz電力供給に異常が生じた場合に備え、隣接する60hzの変電所から給電できるよう、両方に対応する設備が整えられています。

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