世界に誇る定時運転のはなし

 7月28日付のStudyWalkerで、過去のNHK番組が紹介されていました。

 その番組とは、「巨大鉄道網 秒刻みの闘い」というタイトルで、JR東日本の東京総合指令室を取材したものです。

 紹介記事によると、東京総合指令所では首都圏24路線を550人体制で管理し、不測の事態の際はここから指令を出してダイヤを回復させるそうです。しかし、東京都内だけでも1日の利用客は延べ4000万人にも上るそうで、対応に100点はないのだとか。

 首都圏の足を支えるネットワークの裏側の様子は、ネットでもちょっとした話題になっているそうです。

 

 ところで、日本の列車の定時運行率は世界でもトップクラスということはみなさんご存じだと思います。

 ヨーロッパでは、長距離列車の15分以内の遅れは誤差、なんて考える国もあるくらいですから、秒単位で運行が管理されている日本の鉄道は、外国からは特異な目で見られているのもよくわかります。

 福知山線の脱線事故の際も、海外のメディアがこぞって日本の定時運行について取り上げていました。

 一度イタリア在住の日本人のツアーガイドの方とお話したことがあるのですが、イタリア人を連れて日本を訪れていた時のこと。新幹線が東京駅を定時に発車し、定時に新大阪駅に到着した様子を見て、イタリア人は「人間やればできるんだね~」ととても感心していたそうです。

 

 いつからこの様な定時運行が当たり前の世の中になったのか、はっきりとはわかりませんでしたが、戦前には「定時運行」「単線での列車運行効率」というテーマで、当時のソ連の視察を受け入れていたという記録があるそうです。

 また、太平洋戦争中には、毎日夜になると日本軍の輸送船団がやってくる様子に、アメリカ軍はそれが1列につながっているので列車のようであること、急いできてすぐ引き返すこと、そして、日没日の出の関係から毎日同じ時間に来るということから、その輸送船団を「Tokyo Express」(東京急行)と名付けました。日本の急行列車が時間通り走るということは、当時のアメリカでもよく知られたことだったのです。

 

 明治、大正と、日本は貧しい設備と少ないお金で諸外国に追いつけ、追い越せと必死でした。列車の定時運行という技術も、少ない設備で最大限効率よく運行しよう、という努力の賜物だったのかもしれませんね。

 

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