北海道新幹線 青函トンネル区間を210km/hへスピードアップ 北海道全区間で320km/h運転も目指す そもそも新幹線が260km/h運転の謎とは?

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北海道新幹線 青函トンネル区間でスピードアップへ

読売新聞の報道によると、JR北海道は北海道新幹線のうち、最高時速が160km/hとなっている青函トンネル区間について、2020年内に最高速度を210km/hとすることを決めました。システム改修には夏ごろまでかかる予定で、実際に営業運転が始まるのは年末頃になる見込みです。

東北・北海道新幹線のうち、盛岡以北の青函トンネルを除く区間は最高速度260㎞/h、 青函トンネルの設計最高速度は250km/hで、函館以北の未開業区間も最高速度260㎞/hで計画されています。しかしトンネル内では、すれ違いの風圧で貨物列車が荷崩れを起こす恐れがあるため、青函トンネル内は最高速度160km/hで運転されており、将来の札幌延伸時に東京-札幌の所要時間が5時間を越えると見られています。

JR北海道は、飛行機に対抗するため東京-札幌を4時間半での運行を目指し、青函トンネルにおいても2019年9月から高速化試験を行っており、その結果大きな問題が確認されなかったことから、スピードアップが実現することになりました。

ただし、これでは3分の短縮にしかなりません。そこでJR北海道は、現在最高速度260km/hで事業中の北海道内区間について、320km/h運転が可能な設計とするよう、国交省に要請しています。また、JR東日本も、現在最高速度260km/hとなっている盛岡-新青森についても、320km/h運転が可能かどうかの検討を行っています。これらがすべて実現すれば、東京-札幌は4時間33分で結ばれる見込みです。

なぜ、新開業の新幹線は最高速度が260㎞/hなのか?

最高速度260㎞/hの九州新幹線
wikipdiaより

ところで、なぜ北海道新幹線や東北新幹線の盛岡以北は、最高速度が260km/hなのでしょうか? 東北新幹線は、宇都宮-盛岡で最高速度320km/h運転を行っていますし、東北新幹線よりずっと古い山陽新幹線でも300km/h、一番古い東海道新幹線でさえ最高速度は285km/hです。ところが、2000年代以降に開業した九州新幹線や北陸新幹線も、すべて最高速度は260km/hにとどまっています。

この答えは、1970年(昭和45年)に制定された「全国新幹線整備法」にまで遡ります。この法律は、東海道新幹線の成功を受けて、日本全国に新幹線の路線網を作るための法律で、制定当時すでに開業していた東海道新幹線、建設の決まっていた山陽新幹線を除き、東北・上越・北陸・九州の各新幹線は、この法律に基づき計画が進められました(正確には、東海道・山陽新幹線もこの法律に基づくものと見なされています)。また、新幹線とは何かという疑問に対しても、「主たる区間を最高速度200km/h以上で走る鉄道」と定義されました。この法律に基づき、1971年(昭和46年)1月に上越新幹線と東北新幹線の東京-盛岡の基本計画が決定、同年中には工事が始まります。

やや遅れて1972年(昭和47年)6月、東北新幹線の盛岡以北と北海道・北陸・九州新幹線の基本計画が決定、翌1973年(昭和48年)11月に以下の路線の整備計画の決定と建設の指示が当時の運輸大臣より出されました。

  • 東北新幹線 盛岡-青森
  • 北海道新幹線 青森-札幌
  • 北陸新幹線 東京-大阪
  • 九州新幹線 博多-鹿児島
  • 九州新幹線 博多-長崎

これらは俗に「整備新幹線」と言われ、現在の新幹線整備の根拠となっています。

この新幹線整備法が制定された当時、営業している新幹線は東海道新幹線のみで、その最高速度は210km/hでした。今後の新幹線計画を立てるにあたり、将来の技術向上を期待して最高速度は250km/hとすることとし、さらに+10km/hを余裕として見込んで、最高速度は260km/hと決められました。実は、45年前のこの取り決めが、現在の「最高速度260km/h」の根拠となっているのです。

しかし、オイルショックによる景気の悪化、国鉄の財政悪化を受け、実際に建設の始まった東北新幹線東京-盛岡、上越新幹線を最後に新幹線の新規着工は見送られることになりました。再び計画が動き出したのは主に1990年代に入ってからで、それも建設財源や新たに発生した並行在来線問題など、不安要素を抱えたままの再出発で、本当に建設できるかどうかという大問題に直面していました。このため、まずは建設計画をいかに維持するかが最優先となり、建設内容の検討にまでは手が回らなかったのです。この間、この法律に縛られない既存の開業区間はもちろん、海外では大幅な技術向上で、260km/hという数値はすっかり時代遅れになりましたが、45年前の決定を律儀に守っているため、新開業区間の新幹線は、すべて最高速度が260km/hとなっているのです。

先にも述べたとおり、JR東日本と北海道は、 2030年の北海道新幹線札幌延伸時に向けて、整備新幹線区間での320km/h運転を目指して準備を進めています。またJR東日本では、世界最速の360km/h運転を目指し、E956形『アルファX』が試験走行を行っています。ただ、その他の新幹線でも高速化が進むのかは微妙なところ(スピードアップを狙う新幹線試作車アルファXが一般公開 高速鉄道は何㎞/hまで速くなる? すでに欧州では高速化から汎用性へもご覧ください)です。

いずれにしても、45年以上も前の決まりごとを、現状に照らし合わせることもなく淡々と事を進める、お役所仕事にはまったくあきれるばかりですね。

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