『しなの』に新型車両385系を投入へ 2026年度にも量産先行車が登場

車両のはなし
スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

『しなの』に新型車両385系を投入 383系を置き換えへ

JR東海は2023年7月20日、中央本線で運行する『しなの』に新型車両385系を投入することを明らかにしました。

『しなの』では、1995年から383系の投入が始まり、1996年以降は臨時列車を除きそれまでの381系を置き換えましたが、初期車の製造から約30年が経過。一足先に投入されていたキハ85系が2023年6月で定期運用を離れたこともあり、その去就が注目されていました。

385系は「次世代振子制御技術」を搭載 乗り心地指数が15%向上

JR東海の発表によれば、385系のテーマは「アルプスを翔ける爽風」で、アルプスのやまなみを颯爽と駆け抜けていく様を表現したデザインとなっています。

また、現行の383系では、分割併合に備えて先頭車はパノラマ型と貫通型の2種類がありますが、385系では編成両端を展望形式とし、「四季を彩る自然の景観に恵まれた中央本線を味わう旅を演出」するということです。

また、カーブの多い中央本線で381系以来となっている車体傾斜装置は引き続き搭載し、乗り心地を改善した「次世代振子制御技術」が採用されます。

これは、383系では車体の傾斜を開始、終了するタイミングを、地上の端子とそこからの車輪の回転数により距離を計算して判別していましたが、雨天などで車輪が滑走すると誤差が生じ、これが乗り心地の悪化を招いていました。

385系では、車体傾斜装置が作動する判別点を、車輪の回転数ではなくより正確なジャイロセンサーで行うことにより、車両とカーブの位置関係を常時監視し、カーブ開始位置を正確に検知することで、振子傾斜をより正確な位置で行うことができるということです。JR東海が実施した実験によれば、乗り心地評価指標について、次世代振子制御は現行振子制御に比べて約15%改善したということです。

この他、扉の位置を中央本線で運行されている315系と揃えることにより、ホームドアの設置が容易になるよう設計されています。

表示されない場合: 新型特急車両「385系」量産先行車の新製について

カーブとの戦いだった『しなの』の歴代車両

中央本線に『しなの』の列車名が登場するのは1953年(昭和28年)のことで、名古屋―長野の準急列車として設定されたのが始まりでした。準急時代は客車列車による運行で、所要時間は6時間近くを要していました。1959年改正で『しなの』は急行列車に格上げされ、同時にキハ55系による運行に変更。この時点では中央本線にいくつか設定された急行列車のうちの一つでした。

しかし、急行列車の設定で所要時間短縮が望まれたものの、中央本線の西半分は急カーブ、急勾配が続く難所で、サンロクトオ改正(昭和36年10月改正)時点での急行しなのは下記の時刻で運転されていました。

長野行き名古屋行き
9:00名古屋13:00
10:32中津川11:35
11:35木曽福島10:30
12:19塩尻9:41
12:44松本9:21
13:50長野8:11
1961年(昭和36年)10月改正 急行『しなの』時刻表

使用車両は、準急用のキハ55系に代わってこの改正から最新型のキハ58系に置き換えらましたが、所要時間は4時間50分で、現在よりも2時間近く長いものでした。

『しなの』は同系統の列車の統合を繰り返して1967年(昭和42年)までに4往復体制となり、さらに所要時間短縮を狙って大出力気動車の試作車両として製造されたキハ91系が投入されました。

非力だったキハ58系の反省点から、大出力気動車の試作車両として1966年(昭和41年)に製造されたキハ90系 キハ58系に酷似しているが、屋上に設置されたラジエーターが、キハ181系と重なって見えなくもない 全部で11両が製造され、大出力を活かして1等車は動力を持たない付随車だった 実際に営業運転の結果、キハ65系とキハ181系の製造に活かされることとなり、1976年(昭和51年)には全車両が運用を外れている 後に全車がキハ91形を名乗ったことから、キハ91系という表記も見られる Wikipedia(国鉄キハ90系気動車)より @Toshiya Hori

この結果をもとに翌1968年(昭和43年)10月のヨンサントオ改正では、『しなの』は特急に格上げされるとともに、キハ91系の試験結果を踏まえて製造されたキハ181系による運行を開始。所要時間は3時間50分へと短縮しました。

1973年(昭和48年)改正では、中央本線名古屋―塩尻の電化完成により、『しなの』も電車化されることとなりましたが、カーブの多い中央本線での速度向上と所要時間短縮を目指し、振り子機能を搭載した車両を新たに開発することとなり、381系による運行が始まりました。

381系は、試作車両である591系の実績をもとに、カーブに差し掛かると遠心力で車体を内側へ傾ける自然振り子方式を採用し、カーブを通過する際に発生する遠心力を抑えることで、カーブの通過速度を最大で20㎞/h向上させることに成功しました。これにより、名古屋―長野の所要時間は3時間20分程度にまで短縮しました。

381系は国鉄時代には唯一の振り子式車両として、同様に曲線の多い『くろしお』や『やくも』にも投入されましたが、振り子の作動原理として車両がカーブに差し掛かった遠心力を利用しているため、カーブ区間に差し掛かった途端に振り子機能が働き、直線に戻ると直ちに機能が停止するというものだったため、乗り心地はあまり良いものではありませんでした。「ご気分が悪いときにご利用ください」と書かれたエチケット袋が、洗面所に設置されていたのも有名な話です。

このため、1995年から投入された『しなの』では381系の後継となる383系では、自然振り子方式ながら現在位置を地上端子などで把握し、遠心力で振り子が作動する前やカーブを通過した後もコンピューター制御によって車体を傾斜させる仕組みで、乗り心地の改善に大きく貢献しました。また、2形式続けて振り子式を採用したことにより、『しなの』といえば振り子式、というイメージを強く植え付けました。

JR東海によれば、量産先行車となる8両編成は2026年度にも登場し、約1年間の試験走行が行われる予定で、その結果をもとに2029年度の量産車投入が予定されています。


タイトルとURLをコピーしました