キマロキ編成って何? 除雪列車だけど、ラッセル車とはどう違う

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キマロキ編成って? 機関車+マックレー+ロータリーの除雪編成

2020年から2021年にかけても、各地でしばしば大雪となり、鉄道の長期運休も発生しました。

近年は運行トラブルを予防するために、荒天が予想されるような場合には、あらかじめ列車の運休を決めるケースも多くなっています。しかし積雪の場合は、気象条件が改善したからと言ってすぐに運転再開できるものではなく、線路に降り積もった雪を物理的に取り除く必要があります。

また、鉄道以外に安定した交通手段のなかった時代、鉄道の運休が生活や経済に与える影響は現在の比ではなく、悪天候でも運行を続ける努力は並大抵のものではありませんでした。このため、鉄道では古くから線路や施設の積雪を取り除くための装備や仕組みが整えられてきました。

近年は温暖化の影響で降雪量も昔ほどではなくなりましたが、かつては豪雪と闘うための様々な機械が導入され、タイトルのキマロキ編成もその1つでした。

キマロキ編成とは、線路の除雪を行う排雪列車の一種で、蒸気機関車が現役の時代に、特に雪の多い地方で使用される機会が多い列車でした。その特殊な編成とネーミングから、今なおファンの多い編成です。

キマロキとは、それぞれ機関車(キ)、マックレー車(マ)、ロータリー車(ロ)、機関車(キ)の頭文字をとったもので、通常はキマ編成、ロキ編成に分かれて作業を行いますが、豪雪時などはこの2編成を連結したキマロキ編成として運転されることもありました。

線路の除雪 まずはラッセル車

鉄道車両は、比較的雪に強い乗り物です。多少の積雪ならその重量とパワーで押しのけて走ることができます。また、雪の多い地域で使用される車両には、スノープロウと呼ばれる簡易の雪かきが装備されている例も多く、走るだけである程度の除雪が可能です。しかし、列車の運行間隔が広い場合や、雪の降り方が激しいような場合は、通常の車両では除雪能力を超えてしまうことがあります。こうなると、進行方向へ雪を押しのけることができなくなったり、スリップで坂を登れなくなったり、そして最悪の場合は雪に乗り上げ脱線してしまうことがあるため、除雪専門の車両の出番となります。

通常線路の除雪といえば真っ先に思い起こされるのは、ラッセル車でしょう。ちなみにラッセルとは、この雪かき方式を開発したアメリカのラッセル社に由来します。

先頭に雪かきを装備し、線路の上に積もった雪を跳ね飛ばします。通常、単線の場合は八の字型の雪かきで線路両側に、複線の場合は左へと傾いた雪掻きで線路左へと雪を寄せる仕組みです。

最もポピュラーな雪かき列車で、JR化後も新形式が登場しています。

2014年から製造された、JR西日本のキヤ143形 モーターカーなどを除く車両としては民営化後唯一新製された除雪車両 蒸気機関車の時代から、除雪車両は機関車の扱いだったが、機関車の減少により運転できる職員も減少したため、本形式は形式番号からもわかる通り気動車となった ブレードは単線・複線形態に可変式 除雪ヘッドを取り外して事業用車としても使用できる
Wikipediaより

ラッセル車が稼働できない? そんな時はキマロキ編成の出番

ラッセル車は、その構造上線路に積もった雪を線路外へ掻き出すことしかできません。そのため、何度も除雪していると線路の両側に雪の壁が出来上がってしまいます。

天候の良い日が続き、線路のそばの雪の壁が小さくなれば問題ありませんが、寒冷地ではそうそう雪も融けず、また降雪量の多い地域では長期間にわたって雪が降り続く場合もあります。ラッセル車を走らせても雪を掻きだす場所がなくなってしまうため、除雪することができなくなります。

そこで登場となるのが、このキマロキ編成です。

先にも述べた通り、キマロキ編成は、通常キマ編成とロキ編成に分かれ、2列車が続いて運転されます。

まず先行するキマ編成ですが、こちらは機関車とマックレー車から成り立っています。マックレー車は、車体両側に大きな羽を広げ、線路両側にできてしまった雪の壁を壊しながら、さらにそれらの雪を線路中央へとかき寄せます。

名寄市北国博物館前に展示されているキマロキ編成 先頭から59601+キ911(マックレー)+キ604(ロータリー)+D51 398+ヨ4456(緩急車) 編成単位で保存されているのは日本でもここだけ 緩急車には保線員が乗り込み、機械に頼れない部分の除雪や、場合によっては立ち往生したキマロキ編成の救出にもあたった 電気技師が同乗することもあり、投雪によって破損した電線や電気設備の復旧にあたったという
Wikipediaより

続くロキ編成は、機関車に後押しされた巨大な旋回羽根を車体に備えたロータリー車を先頭とし、これで線路上の雪をかきこんで、遠くへ投射していきます。

これらラッセル→マックレー→ロータリーの一連の作業により、線路上とその周囲の雪を完全に取り除くことができます。

ちなみに通常別れて作業となるキマ編成とロキ編成ですが、積雪状況によっては2編成を連結し、キマロキ編成として運転されるケースや、さらに豪雪時にはラッセル車を連結し、ララキマロキラ(ラッセル2両+キマロキ+ラッセル)編成として、積雪に対して強行突破しながら除雪作業を行った例や、ラッセル車すら運行不能となった豪雪に対して、まず先頭のロータリー車で列車通過スペース分の雪をかき飛ばし、さらに線路両側の雪の壁を切り崩して投雪するロキキマロキ編成が運行された記録もありました。

キマロキ
キマ編成+ロキ編成が冒頭に登場 マックレー車が雪を集める様子や、ロータリー車が雪をかきこんで投雪する様子がよくわかる
雪にいどむ 日映科学映画製作所製作
1961年(昭和36年)に制作された、国鉄企画の記録映画「雪にいどむ」 18:00頃からキマロキ編成が登場 その他にも、蒸気機関車時代の除雪列車が多数登場する

キマロキ編成 蒸気機関車とともに終焉

キマロキ編成は1960年代頃までは頻繁に運行されていましたが、以降は次第に運転される機会も減少していきました。

国鉄の無煙化計画により、蒸気機関車を使用する列車は次第に減少し、ディーゼル機関への置き換えが進められました。除雪列車についても、キマロキ編成に代わって、除雪ヘッド1両とディーゼル機関車1両でマックレーとロータリーの両方を備えたDD14が製造されるようになりました(実際には出力不足のため後に推進用機関車を連結するようになります)。このため、キマロキ編成を構成する車両の後継車は製造されず、最後まで残存したマックレー車キ620形が1975年(昭和50年)、ロータリー車キ900形が1976年(昭和51年)に廃車となり、蒸気機関車とともに終焉を迎えました。

モーターカーの普及と環境の変化 今後は登場しない可能性大

近年は、温暖化による積雪の減少に加え、沿線に人家が増加し、ロータリー車による投雪ができない区間が増えてきました。かつては投雪が人家に被害を与えても、鉄道の運行を維持するためにはやむを得ないと考えられてきましたが、道路の整備にともなってこうした考え方も通用しなくなりました。

2021年現在唯一車籍のあるロータリー車であるDD14 ウイングを広げて線路両側の雪を掻きよせ、ヘッドの内部のロータリーでかきこんだ後投雪する、マックレーとロータリーの1人二役をこなす機関車として1960年(昭和35年)から43両が製造された 2エンジン搭載で1エンジンを推進、1エンジンを除雪として使用する予定だったが、パワー不足で2エンジンとも除雪に使用し、別の機関車で推進するか写真のように背中合わせに2両を連結することが常態化した 332号機+327号機は最後まで稼働した2両で、2015年に運用離脱、廃車となり、現存するのは310号機のみとなっている
Wikipediaより
特急列車密度の高い上越線や信越本線で除雪時間短縮のため、DD14の反省を活かしてハイパワーなロータリー式除雪車として製造されたDD53 別に推進機関車を必要とせず、新潟特有の湿った重い雪を想定して除雪能力も高い(推進機関車を連結し、フルパワーを除雪に向けることも可能) しかしハイパワーすぎることが仇となり、他の路線に活躍の場もなく、3両が製造されただけで終わった 1980年代以降は降雪量も次第に少なくなり、DD14で十分対応できたため稼働率も下がり、1986年に1号機、2001年に3号機が廃車、残った2号機も2007年に廃車となった ロータリーヘッドを外せば本務機として使用でき、イベント列車として時折使用されたこともある
Wikipediaより

また、運転に免許や大きな検査の必要のない除雪用機械(モーターカー)の性能の向上により、必ずしも大型の除雪機関車も必要としなくなったため、JR化後はDD51改造のDD17(後のDD19)を除いては本格的なマックレー車、ロータリー車とも製造されていません。現在日本に残るロータリー車は、モーターカーを除くとJR東日本の保有するDD14が1両のみ(保留車)となっています。こうした環境の変化から、今後もキマロキ編成のような大迫力な除雪車両の登場する可能性はほとんどなさそうです。

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