若桜鉄道で現役復帰?のDD16とはどんな機関車? DD10とよく似ているけどどこが違うの?

車両のはなし
本記事のポイント
鳥取県の若桜鉄道が、同鉄道の保有するDD16と12系客車を使用して観光列車を運行する構想を明らかにしました。DD16とはあまり聞かない機関車で、外観はDE10とよく似ていますが、どのような機関車なのかを解説しています。また、今後の運転計画はどうなるのでしょうか。
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若桜鉄道 DD16を観光列車として活用へ 調査費を盛り込む

鳥取県を走る若桜鉄道は、同社の保有するDD16形ディーゼル機関車について、観光列車として活用する構想を明らかにしました。構想では、同様に保有する12系客車3両を使用し、レトロ列車として運行するもので、2023年度3月の補正予算で調査費が盛り込まれます。

DD16形とはあまり聞かない機関車ですが、どのような機関車なのでしょうか? また、なぜ若桜鉄道にこのようなディーゼル機関車が存在し、現状はどのようになっているのでしょうか?

DD16とは? DE10よりも一回り小型 低規格路線向け機関車

DD16形ディーゼル機関車は、1971年(昭和46年)から1975年(昭和50年)にかけて製造された、国鉄のディーゼル機関車です。

JR線で最後の1両となったDD16-11 DE10に比べて全長が短くなり、機器類の小型化でDE10の65tに比べ48tと軽量化を実現した このため4軸ながら軸重は12tとなり、DE10の5軸で軸重13tよりも軽く、低規格路線での運用が可能になった Wikipedia(国鉄DD16形ディーゼル機関車)より @Rs1421

当時の国鉄は、蒸気機関車を全廃するいわゆる無煙化計画を全国で進めていました。非電化路線ではディーゼル機関車・ディーゼルカーの投入が続き、1970年前半は無煙化計画の最後の仕上げというべき時期に差し掛かっていました。

ディーゼル機関車としては、すでに幹線用のDD51、さらに亜幹線用としてDD51より軸重の軽いDE10の量産が続いていました。しかし、簡易線や丙線などと呼ばれる低規格線では、軸重が13tのDE10でさえ入線できず、適当な置き換え車両も存在していないことから、引き続きC12やC56といった小型の蒸気機関車が使用されていました。

そこで、DD51やDE10といったディーゼル機関車が運用できない簡易線向けの機関車として製造されたのがDD16でした。

外観は、DD51やDE10とよく似ているものの、DE10と比べてさらに小型化され、軸重を12tに抑えています。このため、DE10でも入線できなかった路線にでも使用できるようになり、これらの路線で運行されていた蒸気機関車を置き換えました。

また、生産コストの削減や操作性の向上を狙って、DD51やDE10と共通となっている個所も数多く存在しています。

ただし、当時の旅客需要と運行形態から客車列車の牽引は想定されておらず、客車向けの暖房装置は搭載していません。また、輸送量の少ない線区での運用が想定されていたことから、重連運行にも対応していませんでした。

DD16は65両が製造され、需要に合わせて全国各地に配置されました。また、4両が新製されたラッセルヘッドを取り付けられるよう改造され、こちらは300番台として区分されています。

DD16 300番台
ラッセルヘッドを装備したDD16 こちらは300番台に区分され、4両が改造された 量産化されたDE15のラッセルヘッドは軸重が13tあるため、DE15の入線できない路線の除雪用ととして活躍した Wikipedia(国鉄DD16形ディーゼル機関車)より @Cassiopeia sweet

無煙化計画の一端を担ったDD16でしたが、その活躍は短く地味なものとなりました。

DD16の投入以降、国鉄では貨物輸送の大幅な縮小により、ローカル線での貨物列車は廃止されるケースが相次ぎました。また、1980年(昭和55年)には国鉄再建法が成立、これに基づきローカル線の整理が始まると、DD16が必要とされる路線そのものがなくなることもあり、活躍の場は少なくなりました。

1985年(昭和60年)には、車齢10年の51号機がDD16として初の廃車となり、翌1986年(昭和61年)には一気に34両が廃車となっています。さらに国鉄分割民営化の際に廃車が進められ、一般型6両と300番台4両の10両のみがJR各社に引き継がれました。

とはいっても、すでにDD16が運用されるような線区では貨物輸送もなく、年を追うごとに廃車が続きました。このうち300番台は大糸線などで除雪、あるいは臨時列車用として使用されましたが、大糸線でもDE10が使用できるようになったことから、あえてDD16を存続させる理由もなく、最後の稼働車となっていた304号機も2015年に廃車となっています。

最後まで車籍を有していたJR東日本の11号機も、2021年に廃車となったため、JR各社からは形式消滅となりました。

なお、2009年に八戸臨海鉄道へ303号機が譲渡され、JRから全廃となった後も稼働していましたが、こちらも2022年6月で定期運用を離脱、今後は運転会などで使用されるということです。

若桜鉄道のDD16はどこから? 今後の予定はどうなっている?

若桜鉄道 DD16
若桜鉄道の保有するDD16-7 2024年3月現在車籍はなく、動態保存の扱いだが、運転会などにも使用され保存状況は良好という Wikipedia(国鉄DD16形ディーゼル機関車)より @Rick330

若桜鉄道に在籍するDD16は7号機で、1972年(昭和47年)に製造されました。長野地区へ投入され、線路規格の低い飯山線などで使用され、1987年(昭和62年)3月に廃車となりました。その後は東京都国立市にある鉄道総合技術研究所に移籍。ここで試験車両や実験車両の牽引に使用されていました。2012年には若桜鉄道へ譲渡され、陸送で若桜駅構内へ搬入されています。

若桜鉄道移籍後は、若桜駅構内で動態保存車として展示され、同様に保存されている蒸気機関車C12とともに有料の体験運転などに使用されていますが、2011年にはJR四国から12系客車4両が若桜鉄道へ譲渡され、機関車とともにいずれはイベント列車としての活躍が期待されていました。

若桜鉄道 12系
DD16と同じく、若桜駅構内で保存されている12系客車 元はJR四国の保有していた車両で、『ムーンライト高知』『ムーンライト松山』で使用されていたグリーン車である 各車とも車番はそのままだが、再塗装の際にグリーン車マークは消されているようだ 中央のオロ12-9はカーペット仕様で、窓形状が異なっている なお、JR四国から譲渡された12系は4両で、もう1両のオロ12-6は隼駅で宿泊施設として使用されてきたが、2024年3月現在は休業中 Wikipedia(国鉄12系客車)より @Rick330

報道では、若桜鉄道では2027年度にも、若桜―郡家で2027年度にもDD16と12系客車3両を用いた観光列車の運行を検討しているということです。

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