どうなる留萌本線 全線廃止か部分存続か 存続問題で瀬戸際続く

社会
スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

留萌本線 存続巡り協議会 全線存続は絶望的

2021年2月2日、JR北海道と留萌本線の沿線4市町が留萌本線の存続問題を巡って協議会を開き、この席上でJR北海道は沿線市町が求める部分存続について難しい方針であることを正式に伝えました。

JR北海道は、2016年8月に「持続可能な交通体系のあり方について」を公表、この中で利用の少ない路線についての整理を進めていくことを発表していました。さらに2016年11月、留萌本線のうち、2021年初頭でも存続しているしてる深川―留萌について、輸送密度200人未満の「単独では維持困難な路線」の一つとして言及、「極端にご利用が少ない線区」として沿線自治体に対してバス転換を検討していることを正式に伝えていました。

この発表がなされた2016年以降、留萌本線の存続を巡り、北海道や沿線自治体、JR北海道を交えた協議が進められてきました。JR北海道は、単独での維持は不可能で、存続させる場合は自治体の支援が不可欠としており、その負担額は沿線4市町で年間合計9億円、さらに今後20年程度の設備投資としてこれとは別に30億円程度が必要になると算出していました。このうち負担額が最も大きくなる留萌市は、国・北海道の支援のない単独負担は非常に厳しく、当初より廃止に賛成する立場をにじませており、2020年8月、沿線4市町でつくるJR留萌本線沿線自治体会議で、沿線自治体としては沼田町内と深川の間を鉄道として存続させ、沼田町から留萌市にかけては廃線とすることで合意しました。

今回の協議はこうした経緯を踏まえ、2月2日に沿線市町とJR北海道を交えて協議が行われたものでした。なお、既に廃止で合意している留萌市は、この協議から離脱することとなり、留萌本線の存続については、全線存続の可能性はなくなり、全線廃止か部分存続のどちらかに焦点が絞られそうです。

留萌本線 2019年度は6億6000万円の赤字

留萌本線は、北海道の深川―留萌を結ぶ50.1㎞の路線です。2018年12月に留萌―増毛16.7kmが廃止され、本線と名がつく路線の中では日本最短の路線となりました。

1日当たりの運行本数は下り8本、上り9本という閑散路線で、2019年度の輸送密度は145人、民営化直後の1987年(昭和62年)度の435人と比較しても、30年余りで1/3にまで落ち込みました。2019年度の営業収入3800万円に対して営業費用は6億9900万円で、100円の収入を得るために経費がいくらかかるかを示す営業係数は1821となっています。

NHKの番組でSL撮影が行われた縁で、留萌本線では2000年~2006年にかけてC11がけん引する観光列車が運転された だが、わずかばかりの観光利用では路線の維持には結びつかなかった

また、沿線は降雪量の多い地域でもあり、除雪に多額の費用が必要となる他、雪による被害もたびたび発生、2000年代以降は、長期間に及ぶ列車の運休も発生しました。

このような状況を受け、JR北海道は留萌本線についてバス転換が適当と判断、以来協議が続いていました。

留萌本線 沿線3市町は深川―石狩沼田の存続を目指す JRは否定的

留萌本線峠下駅 周辺には人家もほとんどなく、2017~2019年の調査によれば、1日あたりの利用客数は0.8人という

JR北海道や沿線自治体のデータによると、留萌本線11駅のうち1日3人以上の利用客があるのは秩父別、石狩沼田、留萌の3駅のみで、残りは年間を通じてほとんど利用がない状態です。また、留萌本線の定期券発売数は月100枚程度で、そのほとんどが石狩沼田、秩父別を発着するもので、留萌は6枚程度しかなく、留萌市内発着はわずかな観光客を除くとほとんど日常利用はないものと判断されています。

留萌本線沿線は、日本海岸式気候に属し冬の降雪量が多い ただでさえ少ない収入を、除雪費用が圧迫してしまう かつて「鉄道は雪に強い」が定説だったが、近年は道路の改良も進み、費用対効果の面から鉄道が運休となることも多くなった

こうした状況を受け、沿線自治体としても高校生の通学利用などを考慮して、2020年8月の協議では、石狩沼田―深川の存続を目指すこととなりました。JR北海道からは、「全線廃止が最適な公共交通のまちづくりの姿」として部分存続に否定的な立場ながら、この場合沿線自治体の負担は年間3億5000万円程度、さらに石狩沼田での折り返し設備設置のため4000万円程度が必要との試算が示されていました。また、沼田町は独自に恵比島-石狩沼田の存続を目指すことを発表していました。

しかし、今回の協議でJR北海道は改めて部分存続について否定的である立場であることを発表しました。今後はさらに協議が進められることとなりますが、留萌本線の存続はまさに瀬戸際の状態となっています。

タイトルとURLをコピーしました