JR北海道が無人駅42駅の廃止を検討 北海道新聞が報じる
JR北海道が、管内の無人駅42駅の廃止を検討していることが分かりました。
これは、2023年6月17日付の北海道新聞が報じたもので、このうち4駅は2024年改正ですでに廃止か、自治体に運営を移管することで調整が進んでいます。
JR北海道からの公式発表はなく、あくまで検討が報じられた、という段階で、直ちに廃駅が進むわけではなさそうですが、42駅という数字は2023年4月現在JR北海道が営業する334駅のうちの1割以上となり、地域輸送が成立しないような区間も現れることになります。
廃止が検討されている42駅はどこ? 宗谷本線名寄以北は平均駅間が20㎞超えに
北海道新聞によれば、JR北海道が廃止対象としているのは下記の42駅です。
- 宗谷本線
- 瑞穂、日進、智北、初野、恩根内、天塩川温泉、咲来、筬島、佐久、問寒別、糠南、雄信内、南幌延、下沼、兜沼、抜海
- 石北本線
- 愛山、瀬戸瀬、緋牛内
- 釧網本線
- 茅沼、美留和、緑
- 根室本線
- 東滝川、厚内、尾幌、別当賀、昆布盛
- 富良野線
- 鹿討
- 函館本線
- 仁山、赤井川、山越、山崎、黒岩、国縫、中ノ沢、二股、目名、比羅夫
- 室蘭本線
- 静狩、礼文、大岸
- 石勝線
- 滝ノ上
太字で記載している駅は、2024年度に廃止が予定されている駅で、場合によっては自治体管理駅として存続する可能性もあります。
特に目を引くのが宗谷本線で、起終点の旭川、稚内を含めて42駅のうち16駅が廃止候補に挙がっています。さらにそのうち15駅が名寄より北に位置し、この15駅が廃止された場合には名寄―稚内約200㎞には両端の駅を含め10駅しか残らないことになり、平均駅間距離が20㎞以上となります。
このうち、特急の非停車駅は智恵文駅、勇知駅のみで、報道の通り廃駅が進められた場合、宗谷本線は「特急しか走らない路線」となり、都市間輸送はともかく、地域輸送が消滅することとなります。
また、鉄道ファンからは「青春18きっぷ」ユーザーはどうなる、と早くも懸念する声が上がっています。
JR北海道 なぜ無人駅を廃止に? 廃止の基準は?
JR北海道はこれまでも、経営効率化のため利用の少ない無人駅の廃止を進めており、路線の廃止を伴わない廃駅は100駅を超えています
この理由は経営の効率化で、特に利用の有無にかかわらず冬季間の除雪費用が高額となること、さらにこうした作業に従事していた人の高齢化で人員確保が難しくなってきたことなどが理由として挙げられています。
こうしたことから、JR北海道はさらに廃駅を進める方針とみられ、北海道新聞によれば、今回廃止対象となるのは、過去5年間で1日の利用客が3人以下の駅と報じられています。
ただし、無人駅の管理コストは1駅あたり年間100万円程度とも言われており、廃止対象となったすべての駅を廃止にしても年間4000万円余りの経費削減に過ぎず、JR北海道の経営再建には程遠い状況で、廃駅による利便性の低下とそれで得られるコスト削減が釣り合うかどうかは微妙なところです。
また、これらの駅の廃止が決定したわけではなく、現段階では検討段階であることが報じられただけで、すぐに廃駅に結び付くわけではありません。今回対象として挙げられた42駅のうち、16駅はすでに廃止対象として自治体に打診されたり、自治体の費用によって運営されたりしている駅も含まれており、今後協議が進んだとしても管理者を変えて残る駅もありそうです。