駅舎のデザインから見た、地方の将来設計 その2 地方交通の主役、高校生の満足度を上げよう

  前回からの続きです。

  

   高齢者を中心に据えたリノベーション計画に、川西さんは反対します。

   現地を見た川西さんは、列車の利用者のほとんどが高校生であること、本線が少なく1時間以上待ち時間があることも珍しくないこと、にもかかわらず待合室には彼等の居場所がないことに気づいたそうです。長い待ち時間、風の吹き抜ける駅構内で、床に荷物を置いて勉強している高校生の姿を見て、この駅の主役は彼等で、若者が列車を待って苦痛でない空間にしよう、と考えたそうです。

待合合室内部
撮影:鉄道模型モール制作室
待合室内部
撮影:鉄道模型モール制作室

 その結果、駅の待合室は自習室として使えるよう、椅子と机が設置されました。待合室は、その本来の役割に戻ったのです。

 

 地方都市のどこもがそうであるように、四万十市も若者の減少が続いているといいます。

 地方は不便だ、田舎は不便だ、という認識が広く広まっている結果、多くの若者は大都市圏へ流れてしまい、地方には帰ってきません。

 でもそれは当然です。自分たちが生活していて不便を感じていたところへ、生活の拠点をうつしてくれるでしょうか? 子育てをしに帰ってくるでしょうか? 

 町おこしというと、箱モノを作り、イベントをし、道路を作りと、とかく大人目線で考えがちですが、実際近い将来を担ってくれるのは若者です。彼らが、「ここは田舎だったけど、別に不便は感じていなかった」と思ってもらえるような町づくりこそ、地方再生につながるのではないでしょうか。

 

 デザインの美しさ、きれいさはもちろんですが、その裏に隠されたテーマ、発想までを含めて、私は川西さんのデザインのファインになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

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