鉄道駅標高よもやま話 最も標高の高い駅、標高の低い駅はどこ?

野辺山駅海外
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鉄道が身近な国、日本 山間部にも平野部にも駅がある

日本の鉄道の営業距離は、2021年現在約27,000㎞。データの取り方にもよりますが、営業距離だけで見ると世界でもベスト10に入る鉄道王国です。日本においては鉄道は身近な存在で、都市部や平野部だけでなく、国土の7割を占める山間部でも、世界的には比較的密に路線が敷かれていて、当然駅も様々な場所に存在することになります。

その中で、今回は「標高」に注目し、高いところにある駅、低いところにある駅を集めてみました。

普通鉄道で最も標高の高い駅 小海線野辺山駅

普通鉄道で最も標高が高い位置にあるのは、JR小海線野辺山駅(長野県)です。

標高2,800mを超える八ヶ岳山麓の野辺山高原に位置し、野辺山駅の標高は1,345mとなっています。8月でも平均気温は19℃程度で、私も夏に訪れたことがありますが、自転車に乗っても汗をかかない心地よい高原でした。

ちなみに、次の清里駅との間にJRとしての最高標高地点があり、こちらは1,375mとなっています。

小海線 JR最高標高地点
普通鉄道としては日本最高標高点を走る小海線 Wikipediaより

「鉄道駅」として最も標高の高い駅 室堂駅

鉄道としての最高標高となる駅は、富山県の室堂駅です。あまり聞かない駅かもしれませんが、富山県から長野県へとつながる立山黒部アルペンルートの中心ともなる駅で、立山トロリーバスが発着します。富山県の主峰立山の麓にあり、標高は2,450mとなります。

トロリーバスは、架線に流れる電力を動力として走るバスのことで、外見はバスそのものですが、法律上は鉄道として扱われます。このため、日本一標高の高い鉄道駅となると、室堂駅が1位となります。

立山トロリーバス
トンネル内で行違う立山トロリーバス 1971年の開業時には通常のディーゼルエンジンによるバスで運行されたが、全線トンネルという特殊な環境下で排ガスが問題となり、1996年にトロリーバス化され、日本国内では32年ぶりのトロリーバスの新設となった 2019年より同じ立山黒部アルペンルートの関電トンネルトロリーバスが電気バスへ転換されたため、2021年現在は国内に存在する唯一のトロリーバスとなっている 見た目はバスのそのものだが、無軌条電車と呼ばれる通り法律上はれっきとした鉄道で、運転には路線バスを運転する大型二種免許と電車の2種類の免許が必要となる 道路交通法に基づく交通ルールに従う必要があり、かつて大都市に存在したトロリーバスもバスと同じようにあつかわれたが、立山トロリーバスは全線が専用道であり、鉄道に近い閉塞方式がとられている Wikipediaより

なお、資料によっては、鉄道事業法に分類されるロープウェイを鉄道とみなして、駒ケ岳ロープウェイの千畳敷駅(長野県、標高2,611m)を最高とするものもありますが、同法ではロープウェイは「索道」として鉄道とは区別されているため、本稿では取り扱わないことにします。

地下鉄として最も標高の高い駅 谷上駅

地下鉄として最高標高点にある駅は、近年目まぐるしく順位が変わりました。

長い間1位にあったのが神戸市営地下鉄の総合運動公園駅(標高103m)で、1985年の開業から30年間「地下鉄として日本一標高の高い駅」となっていました。この記録を塗り替えたのが、仙台市営地下鉄の東西線で、2015年に八木山動物公園駅が開業すると、こちらに1位の座を譲りました。

しかし、2020年に神戸市営地下鉄と接続する北神急行電鉄が神戸市へと経営移管されることとなり、2021年現在、北神急行電鉄の終点であった標高244mの谷上駅が、地下鉄としては最も標高の高い駅となっています。

日本一標高の低い駅 吉岡海底駅を改め…

変わって、今度は標高の低い駅はどこでしょうか?

多くの書籍などでは、最も標高の低い駅として言われるのは津軽海峡線の吉岡海底駅で、その標高はマイナス149.5mとなります。ただし、当初から避難施設を活用してツアーやイベントに使用されるのみで、通常の駅とは大きく異なるものでした。北海道新幹線の建設に当たり資材置き場を確保するため、吉岡海底駅は隣の竜飛海底駅(マイナス135m)とともに2014年に駅としては廃止となり、現在は避難設備などを整えた吉岡定点、竜飛定点と呼ばれています。なお、竜飛海底駅は駅としての使命を終えましたが、観光施設としての機能は残っており、青函トンネル記念館から延びるケーブルカーの終点「体験坑道駅」が設置されています。こちらは標高マイナス140mで、現在のところここが世界で最も標高の低い駅となっています。

これらの特殊な駅を除き、一般的にもっとも低い駅として紹介されることがあるのが都営地下鉄大江戸線の六本木駅で、確かに地下42mの地点にホームがあるのですが、地上の標高が30mあるため、標高としてはあまり低くありません。ちなみに地下鉄の中でもっとも標高が低い位置にあるのは、東京メトロ半蔵門線の住吉駅で、マイナス33mとなります。

普通鉄道として最も標高の低いところにあるのは東京駅の京葉線ホームで、標高はマイナス29.2mとなります。長い乗り換え通路やエスカレータも、なるほどという感じですね。少し年配の方なら「馬喰町駅じゃないの?」と思われるかもしれませんが、当初マイナス30mと言われていた標高が再計測の結果マイナス27mとなったため、1位の座を明け渡しました。

東京駅京葉線への通路
京葉線へと向かう東京駅の通路 同じ東京駅構内とは思えない遠さだが、普通鉄道として日本一深いところにあると言われれば納得できよう Wikipediaより

海外ではどうなっている? もっとも世界で標高の高い駅とは

世界に目を向けてみると、日本とは比較にならない大きなスケールの記録があります。

世界で最も標高の高い駅があるのは中国で、チベットを走る青蔵鉄道のタングラ(唐古垃)駅の標高は5,068mにもなります。日本で一番高い富士山でさえ3,776mですから、この標高は日本には存在していません。

青蔵鉄道タングラ駅
中国チベット自治区にあるタングラ駅 駅名標にも海抜表記がある 5,000mを超える高山地帯のため、周囲には人家はもちろん高い木さえ見当たらない なお、多くの列車は通過となるが、一部停車する列車でも扉は開かない 5,000mでは酸素は地上の半分程度となり、気密の保たれた車内から直接出れば最悪命の危険があるという このため、2006年の開業以来乗降客は0である Wikipediaより

青蔵鉄道はチベットと中国内陸部を結ぶ路線として建設され、路線長1,956㎞のうち900㎞以上が標高4,000m以上という世界でも類を見ない鉄道です。日常の交通手段としては航空機のほうが安くて速いことから、もっぱら観光利用が中心で、北京から終点のラサまでの所要時間は40時間以上、2泊3日を車内で過ごすこととなります。高山地帯の風景を手軽に楽しめるということで国際的にも人気の列車で、景色の良い区間をあえて昼行とするダイヤが組まれているのも特徴です。

地上と比べ空気の希薄な区間を走るため、車内は航空機と同様の気密構造となっています。しかし、それでも富士山と同じ標高3,000m程度と、酸素量が地上の80%しかないため、体調不良に備えて医師と看護師が同乗している他、酸素吸入器なども装備されています。

ちなみにタングラ駅を南に向けて発車した列車は標高5,072mのタングラ峠に差し掛かりますが、これが世界の鉄道の最高標高点となります。

世界で最も高いところを走る地下鉄 メキシコシティ

地下鉄に限ってみると、世界で最も標高の高い点を走るのは南米メキシコシティの地下鉄となります。

メキシコシティには現在12の路線があり、総延長は約230kmで、アメリカ大陸ではニューヨークに次ぐ規模を誇っています。しかも運賃が5ペソ均一(日本円で約11円)で、メキシコシティ市民はもちろん観光客の重要な足となっています。

個々の駅の標高を示したデータが見つからないのですが、メキシコシティ自体が標高2,240mにあるため、この前後の標高であることは間違いなく、世界一標高の高い地下鉄となります。

地下深くを走る旧共産圏の地下鉄 もしかして秘密路線があるかも?

ロシアを中心とした旧共産圏では、地下鉄のトンネルが非常に深く建設されているのが特徴です。

これは、モスクワに地下鉄を建設する際、永久凍土を採掘するわけにはいかず、これを避けた結果必然的に深くなってしまったためでしたが、第二次世界大戦後には核戦争に備えて地下鉄を核シェルターとして準備しておくこととなり、深いところでは地下100m前後にトンネルが建設されています。

公表されている中で最も深いところにある地下鉄駅は、ウクライナの首都、キエフ地下鉄スヴャトーシノ・ブロヴァールスィカ線にあるアルセナーリナ駅で、地下105.5mのところにあり、地上からは2つのエスカレーターを乗り継いで5分ほどかかります。ただし、キエフ自体が標高150mほどのところにあるため、駅の標高自体は低くありません。また、モスクワ地下鉄も最深で地下84mの地点を通っているとされていますが、こちらもモスクワの標高が150mほどあるため、駅の標高自体は低くないものと思われます。

ウクライナ キエフ地下鉄アルセナーリナ駅
旧共産圏では、地下深くに地下鉄が建設される例も多く、乗客はエスカレーターで地上からホームへ向かう 写真はアルセナーリナ駅のもので、長いエスカレーターは旧共産圏の地下鉄駅でよくみられる光景 Wikipediaより

ただ、旧共産圏の地下鉄は軍事機密として情報が公開されていない例もあるとみられ、世界中のデータがそろっているわけではありません。北朝鮮の平壌地下鉄は、やはり核シェルターを兼ねているとされ最も深いところで地下150m前後に線路があるといわれていますが、詳しい情報はありません。

モスクワには、一般人には存在が明かされていない「メトロ-2」と呼ばれる秘密路線が存在し、有事の際に要人の移動や脱出の準備がされていると言われていますが、こちらも詳細は不明です。もしかするとさらに深いところにトンネルや駅が存在するかもしれません。

以上、駅の標高にまつわるよもやま話でした。

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