ドイツ全土で交通機関が1か月乗り放題 9ユーロチケットの利用期間や対象列車は?
ドイツ鉄道が、9ユーロで1か月間ドイツ全土の交通機関が乗り放題となる「9ユーロチケット 9-Euro-Ticket」を発売したと話題になっています。
9ユーロは、日本円に換算するとわずか1224円(2022年5月31日現在、1ユーロ136円で換算)。9ユーロチケットは、有効期間は6月~8月で、指定した月末の24時までの1か月間有効となります。
9ユーロチケットで有効となる交通機関は、列車では日本の快速列車に相当するレギオナルエクスプレスRegionalExpress(RE)、普通列車に相当するレギオナルバーンRegionalbahn(RB)のほか、近郊列車Sバーン(S-bahn)、地下鉄(U-bahn)、トラム、バスなど、ドイツ国内のほとんどが対象となります。
ただし、新幹線に相当するICEや特急列車インターシティInterCity(IC)、国際列車ユーロシティEuroCity(EC)などの長距離優等列車、長距離バスは対象外ですが、別途追加料金を払えば利用可能との情報があります。
また、ドイツ国民でなくても、外国人ツーリストも利用可能です。9ユーロチケットは、5月20日に政府の承認を受け、5月23日より発売が始まっています。
購入は上記ののWebサイトからオンライン購入できるほか、Q&Aによれば現地の窓口や券売機でも発見可能なようです。
なぜ乗り放題チケットが? 省エネ推進になるか
もともとドイツでは、環境税が加算されるなどしてガソリン価格は世界でもトップクラスでしたが、ロシアのウクライナ侵攻によりさらに燃料価格が高騰。ガソリン1リットル当たりの価格が日本円で300円に迫る状態となっています。
このため、コロナ禍からの経済回復の勢いを止めないためと、コロナ禍で利用の大きく減った交通機関の需要喚起、それに脱炭素社会や省エネの流れをドイツ国内で加速させるため、今回の施策となりました。
なお、交通機関の減収分を補填するためドイツ連邦政府は25億ユーロ(約3700億円)の支出を決めています。
しかしこの9ユーロチケット、8月末で打ち切りとされており、9月以降には交通機関の値上げなどの反動が来ることも予想されています。一時的な需要喚起ならともかく、将来にわたっての省エネに結び付けるには追加の政策が必要との声もすでに強く、その影響ついては未知数です。
脱酸素社会を目指すヨーロッパでは、公共交通機関無料化が検討されている国も多く、今後の展開が注目されます。