ハワイでLRTの建設進む 実は路面電車大国のアメリカ

海外

※この記事は2019年8月19日に執筆したものです。その後、先行開業が2022年、全線開業が2030年へと変更されています。

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ハワイ・オアフ島で建設進むLRT 先行区間が開業へ

  各種情報によると、かねてから建設中であったハワイ・オアフ島で、鉄道路線「ホノルル・レール・トランジット」全長約32kmのうち、2/3ほどの区間が2020年末に、残る区間が2025年を目途に開業する、というものです。

 全線高架で路面を走る区間はなく、最高速度は88㎞/h(アメリカはマイル表記なので中途半端な数字ですが88㎞/h=55mphです)。日立製の4両編成の電車が自動運転で走るそうです。

 オハフ島は朝夕を中心に道路渋滞が激しく、また観光客も多いため、公共交通機関の建設に至ったそうですが、ハワイにLRT・・・。違和感を抱かれる方も多いかもしれません。何といってもアメリカは自動車天国。アメリカの鉄道といって思い浮かぶのは、たまに映画に出てきて、主人公と悪者を分断する長ーい貨物列車くらいかな? 

 しかし、実はアメリカは、世界の中でも意外なことに路面電車大国なのです。

実は路面電車大国のアメリカ 主要都市で活躍する「LRT」

ロサンゼルス LRT

 もっとも、アメリカの路面電車はLRTと呼ばれ、日本の路面電車とは少しイメージが異なります。中心部では路面区間を走るものの、郊外部では普通の鉄道と同じというものも少なくありません。広島電鉄の宮島線をイメージすれば近いでしょうか。

ボストン LRT

 現在LRTが走るのは、全米で30都市以上。これに加え、導入を検討している都市も30以上に上ります。2010年代以降の路線の総延長は1,300㎞以上に達し、ドイツ、ロシアに次ぐ世界第3位の規模を誇っています。日本の路面電車の総延長は270㎞程度ですから、いかにアメリカが路面電車王国であるかがわかります。

 1920年代から30年代にかけて、アメリカは全土で路面電車や都市間鉄道(インターアーバン)が張り巡らされた鉄道の黄金時代で、特に電気鉄道では世界最高の水準を誇り、当時黎明期であった日本の電気鉄道にも多くのアメリカの技術が導入されています。しかしモータリゼーションの到来は早く、1970年代までにはこうした路線の4割が姿を消しました。 

自動車社会の到来と問題 鉄道を見直すきっかけに

 自動車時代の到来は、都市の構造に大きな問題を投げかけました。多くの人が郊外へ移り住み、ロードサイドの大規模商店が発達した結果、都心部は次第に空洞化、スラム化が進みました。治安の悪化は空洞化に拍車をかけ、自家用車を持たない低所得者救済のためにも、社会政策として自動車以外の交通手段の確保が必要となったのです。さらに、世界一であった路面電車の営業距離が、当時のソ連に抜かれたことも衝撃として受け止められました。

 こうして、都市の再生のための役割を与えられた新しい路面電車LRTは、北米ではまずカナダから始まり、次第にアメリカ全土へ広がりました。やると決めたらビッグスケールで進むのがアメリカンスタイルで、ショッピングセンターの中に堂々と乗り入れたり、政策の一つとして都心部は無料だったりと、日本ではなかなか見られない大胆な路線も見られます。他の交通機関との連携も極めて良好な都市も多いようです。

 かつてアメリカの都市というと、恐ろしいイメージを抱くことも多かったのですが、場所と時間をわきまえれば、日本と大差ない治安に近づきつつあるようです。こうした治安回復にも、LRTの開業による都心部の再生が役立っていることは間違いありません。

 日本でも、都市再生の一つとして路面電車が脚光を浴びるようになりました。

 2020年3月には、富山ライトレールと富山地方鉄道が接続され一体化、2022年には宇都宮市でLRTが開業、岡山電気軌道の岡山駅前乗り入れ、2025年には広島電鉄の広島駅が改良と、日本の路面電車にも明るい話題が続きます。

 少子高齢化、人口減少など悲観的な未来予想もありますが、将来にわたって魅力的な街づくりも続いてほしいものです。

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