JR西日本が京阪神で運賃値上げ 私鉄との「逆転現象」に変化

社会
スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

スポンサーリンク

アマゾン タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

JR西日本 2023年春に京阪神で運賃値上げへ

JR西日本は2022年3月29日、京阪神地区の普通運賃と通勤定期を値上げすると発表しました。対象となるのは、対キロ制の運賃ではなく、私鉄との競合などで特に割引率の高い特定区間運賃が適用される315区間のうち99区間で、6か月定期の場合、平均で10%程度の値上げとなります。また、34区間では普通運賃も10~40円の値上げとなります。ただし、通学定期に関しては据え置きとなります。

JR西日本では、コロナ禍で旅客が大きく落ち込み収支が悪化しており、2022年3月の決算では1100億円程度の赤字が見込まれています。また、仮にコロナ禍が終息したとしても、以前の利用水準には戻らないと見込んでいるこなどから、今回の値上げへと踏み切りました。

JR西日本が運賃を改定するのは、消費税率の変更に伴う転嫁を除くと、民営化した1987年(昭和62年)以来初めてとなり、国鉄末期の1986年(昭和61年)11月の改定以来、実に37年ぶりの運賃値上げとなります。

JR西日本では、今回の値上げにより年間10億円程度の増収を見込んでいます。

JR西日本の特定区間運賃 値上げの区間は? 大阪ー神戸は450円に

2023年4月の値上げで対象となるのは、京阪神のうち特定区間運賃が適用される99区間です。また、34区間では普通運賃が値上げとなります。

具体例としては、大阪ー神戸の普通運賃は現行の410円が450円に、天王寺ー和歌山は現行870円から890円に値上げされます。

阪神電車と阪急電車が乗り入れる神戸高速鉄道  大阪ー三宮はJRが410円に対し、阪神・阪急は320円だが、阪急は三宮、阪神は元町を境に2社跨ぎとなるため、大阪ー神戸はJRの410円に対し阪急・阪神は450円と割高になる 今回の運賃改定では、こうした私鉄より安い区間が主に対象となる Wikipediaより

普通運賃が据え置かれる区間でも、区間によっては通勤定期が値上げとなります。

大阪ー三ノ宮の場合、6か月通勤定期が60,180円から67,560円に、大阪ー京都の場合、同じく80,780円から85,320円に値上げとなります。

表示されない場合: 京阪神エリアの割安な特定区間運賃の一部見直しについて

ただ、今回の値上げで中心となるのは、並行私鉄と比べて割安となっている区間や運賃が中心で、JR西日本では「値上げで運賃は私鉄と同水準となる」としています。

特定区間運賃とは? 東京・大阪の電車特定区間よりも割安で京阪神から始まる

特定区間運賃とは、一般的に定められた対キロ制の運賃ではなく、並行する私鉄路線などを意識して特別に設定された運賃を指します。もともと東京・大阪圏では、他の地域より割安な電車特定区間が設定されていますが、これをさらに割り引いた運賃が特定区間運賃となります。例えば京都ー大阪の場合、電車特定区間運賃では730円ですが、並行する阪急が400円であることを考えればまったくお話にならないため、特定区間運賃を適用し570円となっています。

かつては、国鉄の運賃は私鉄より割安に設定されていることも多く、1976年(昭和51年)当時の大阪ー三ノ宮の運賃は、阪急・阪神の180円に対して国鉄が170円となっていました。

しかし、このころから国鉄の財政は火の車となり、1976年11月には国鉄の運賃改定が行われました。この時の改定は運賃・料金平均50%値上げというもので、初乗り運賃が30円から60円と2倍になり、大阪ー三ノ宮は100円値上げの270円となりました。

国鉄の運賃値上げは翌1978年にも行われ、私鉄との運賃格差は開く一方であったことから、この時に京都・西大路ー大阪、大阪ー三ノ宮・元町・神戸を相互に発着する利用に限り特定区間運賃が設定されることとなりました。特定区間運賃はその後1984年(昭和59年)に関東にも適用されるとともに、関西地区でも大幅に拡大されています。

なお、これ以降国鉄の最終年度となった1986年度までの間、値上げが行われなかったのは1983年だけで、国鉄の運賃値上げは「春の風物詩」などと言われる有様でした。

大阪ー高槻は280円に 阪急との「逆転現象」が解消

京阪神地区では、JRと私鉄の運賃逆転現象がかつて話題となりました。

国鉄時代の度重なる運賃値上げにより、従来は私鉄と同じ水準だった国鉄の運賃は高騰し、私鉄との運賃格差が大きく広がりました。特に京阪神では、速度では国鉄が優位に立っていたものの、運賃では私鉄に軍配が上がることとなり、利用者の間では「JRは速いが高い、私鉄は安い」というイメージが定着することとなりました。

しかし、民営化後運賃を据え置いたJRに対し、私鉄では複数回の運賃改定が行われたため、一部には私鉄の方が高いケースも現れました。2社直通運賃となる大阪ー神戸などはともかく、大きな話題となったのは大阪ー高槻で、1989年時点でJR250円、阪急230円となっていたところ、1991年の改定で阪急が250円と同額となり、1997年の阪急の運賃改定でJR250円、阪急270円となったことから、当時のマスコミなどでも運賃の「逆転現象」と大きく取り上げられました(その後消費税率改定により、2022年4月現在はそれぞれ10円増額となっています)。

もっとも、JRの大阪―高槻は特定割引運賃となっており、通常の電車特定区間運賃を適用すると当時の金額でも370円となります(ほぼ同じ距離の高槻―京都は、阪急と線路が離れていることもあり、特定割引区間の対象外で370円となっていました)。

1990年代以降、阪急は京阪間直通、中間都市輸送のどちらもJRに対して苦戦を強いられることとなり、1997年改正では京阪間ノンストップが看板だった特急が高槻市に停車するようになりました。さらに2001年改正では、直通需要をある程度犠牲する形で停車駅の根本的な見直しが行われました。

阪急電鉄は、当面の間運賃の改定を行わないことを表明しており、今回のJRの運賃改定で以前話題となった「逆転現象」は、同額とはいえひとまず解消ということになりそうです。

※いつもご愛読いただきありがとうございます。次回の更新はゴールデンウィーク明けの5月10日ごろを予定しています。

タイトルとURLをコピーしました