阪急の有料座席は「PRiVACE(プライベース)」に  同じサービスでも東西の違いとは

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阪急の有料座席指定サービス 名称は「PRiVACE(プライベース)」

阪急電鉄は2023年11月21日、かねてから発表されていた2024年度の京都線への有料座席指定サービスについて、名称を「PRiVACE(プライベース)」とすること、さらに車両について発表しました。

「PRiVACE(プライベース)」という言葉は、プライベートとスペースをかけ合わせた造語で、阪急電鉄によると「日常の“移動時間”を、プライベートな空間で過ごす“自分時間”へ」がコンセプトとなります。

連結位置は、すでに発表されていた通り8両編成のうち大阪方から4両目で、車両は新たに専用車両が製造されます。

運行開始は2024年夏頃ということで、専用のWebからの予約となる模様です。また、サービス開始日や料金については、後日発表ということです。

表示されない場合: 当社初の座席指定サービスの名称を『PRiVACE(プライベース)』に決定! 2024 年夏頃に、京都線に導入します

「PRiVACE(プライベース)」専用車両 まさかの中扉構造に

さてその専用車両ですが、外観は阪急マルーンとアイボリー帯を引き継ぎながら、まさかの中扉レイアウトとなります。

阪急のデザインはそのままに、座席ごとに配置された小窓が並ぶ様子は、どこか旧型客車の1等車のようなイメージを漂わせています。

出入り口にはデッキが設置され、扉を挟んで2室のレイアウトとなり、イメージ画像ではデッキ扉が車内中心からずれていることから、1+2列の座席配置となることが予想されます。扉直近の窓には方向幕が表示されていますが、画像からは京阪電鉄のプレミアムカーで採用されている窓ガラス一体の液晶ディスプレイとなる可能性が高そうです。

車内は、木目調が中心の内装となりそうなものの、伝統のマホガニー調とは若干異なるイメージで描かれており、新しい阪急のイメージとなる可能性があります。

9300系は一時的に6編成に導入 将来的には2300系で統一へ

阪急の有料座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」は、2024年夏のサービス開始時には同時期に運行を開始する新型車両2300系1編成と9300系のうち6編成での提供となり、毎時2~3本程度になるということです。その後車両の増備に伴い、2025年には毎時4~6本程度になる予定です。

また、一部の報道によれば、9300系への組み込みは一時的なもので、将来的に座席指定サービスを提供するのは2300系だけになる予定ということで、これが特急がすべて2300系に置き換えられるということなのか、あるいはあくまで座席指定サービスを行うのは一部の列車に留まり、当面は2300系と9300系が併用されるということなのかは分かりません。

首都圏と関西圏 同じ有料座席指定サービスでも方向性の違いが

私鉄の有料座席指定サービスは、日常的に専用の有料特急を運転している会社は別として、近年増加傾向にあります。

その理由としては、今後人口減少社会を迎える中で利用数の伸びが期待できないことから、乗客1人当たりの単価を上げたい鉄道会社の思惑があります。

また、そうした社会の中で利用してもらうためには自社沿線のブランド力を高めることも重要で、「着席できる」という安心感を利用者に与えることは、自社の魅力アップの大きな材料となっています。

このような思惑の中で、首都圏と関西圏で増加しつつある有料座席指定サービスですが、その性格は大きく異なる方向へ進んでいます。

首都圏では、主に混雑時間帯の「座席の確保」という目的が大きく、運転は朝夕(それも混雑方向)に偏る傾向があります。今日のいわゆる「ライナー」形態としての先駆けとなったのは、1992年に京浜急行で運行が始まった『京急ウィング』で、平日夕方に品川→京急久里浜に8本が設定されたのが始まりです。

モデルとなったのは1986年(昭和61年)に運行を始めた国鉄の「ホームライナー」であったことは容易に想像がつきますが、さらに元をたどれば、近鉄特急が短距離の通勤に利用されていたことにヒントを得たとも言われています。

着席サービスの元祖といえば、国鉄の「ホームライナー」が挙げられる 本来は、夕方以降に都心から郊外へ向かう回送列車を有効活用したものだが、後に専用車両が登場するなど当初の目的は薄れ、着席サービスが定着するきっかけとなった Wikipedia(ライナー列車)より @MaedaAkihiko

どちらにせよ、1990年代は今よりもラッシュの混雑がずっと激しく、「お金を払ってでも快適に通勤したい」という需要は大きなもので、国鉄の「ホームライナー」は大きな人気を集めることとなり、京急の『京急ウイング』も形を変えつつ運行が継続されてきました。

2000年代以降になると、先に述べたような理由により、それまで有料列車を運行してこなかった会社や路線でも、座席指定サービスが提供されるようになります。先駆けとなったのは東武の『TJライナー』で、2020年前後から京王の「京王ライナー」や西武の「S-TRAIN」「拝島ライナー」、東急の「Qシート」などに拡大しました。

これらの列車は、有料サービスとはいえ通常使用される車両と大差なく、多くはロングシート車両を有料車両として使う場合のみクロスシートへと変更できるデュアル車両が用いられます。

一方関西圏では、ラッシュの混雑も首都圏ほどではなく、さらにもともと使用車両のグレードが高いということもあり、有料サービスは座席確保にとどまらず「ハイグレードなサービス」の提供という側面が強くなっています。

リニューアルされた京阪8000系の車内 比較的乗車時間の長い京阪間では、車内設備の競争も古くから激しく、料金不要の列車でも、クロスシートや間接照明は標準装備 かつては京阪間ノンストップが主流で、京阪・阪急・国鉄とも2扉車が使用されたが、近年は停車駅の増加で必ずしも実情に合わなくなる例もあり、阪急・JRは3扉車が使用される 2扉車8000系も、車端部のロングシート化やつり革の設置が行われた 写真ACより @photoB

かつては国鉄の京阪神快速の一部にグリーン車が連結されていたものの、利用不振により1980年代に姿を消していますが、これも並行私鉄や新快速といった上位列車と比べ料金のわりに設備が貧弱であると利用客に判断されていたためで、以降はそれなりのサービスを「追加料金不要」で提供することが、ある意味関西でのスタンダードとなっていました。

阪急電車のイス自動方向転換
クロスシートが主体の路線では、座席が進行方向を向くように折り返し時に一斉転換も行われる 阪急や京阪ユーザーには、おなじみの光景 

こうした状況を変えたのが、京阪に導入された「プレミアムカー」で、通常車両とは全く異なるハイグレード車両が製造されました。当初は一部の列車にのみ連結されていましたが、利用客の人気にこたえる形でのちに全列車に連結されるようになりました。平均乗車率は8割に達するということで、2025年度をめどに一部の編成では「プレミアムカー」を現行の1両から2両へと増結する予定です。

JR西日本の新快速に連結される「Aシート」も、運行時間は朝夕に偏りがちながらも、日中や土休日にも運行され、必ずしも混雑時間帯の座席確保に徹していません。また、車両も2扉改造された専用車両が使用され、特急列車とほぼ同等の設備となっています。

阪急の「PRiVACE(プライベース)」も座席確保というよりは、京阪やAシートのようなワンランク上のサービス提供という意味合いが強く出ているもので、首都圏と関西圏では同じ有料座席指定サービスでも全く違う方向へ進んでいきそうです。

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