日田彦山線はBRT化で鉄道復旧断念か 沿線自治体が合意

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日田彦山線、BRT化で鉄道復旧断念か

日田彦山線は、2017年7月に発生したいわゆる九州北部豪雨で今も夜明-添田が不通となっていますが、福岡県が5月16日、鉄道による復旧を断念し、BRT(バス・ラピッド・トランジット=バス高速輸送システム)による復旧を沿線自治体である東峰村に提案したことが明らかにしました。BRT化をめぐっては、沿線自治体のうち東峰村は唯一鉄道による存続を求めていましたが、この提案を受けBRT化を容認する方向です。JR九州からの公式発表はありませんが、日田彦山線はその復旧に赤信号が灯ったことになります。

日田彦山線は、日豊本線の城野駅から久大本線に接続する夜明駅を結ぶ全長68.7kmの路線です。ほとんどの列車は日豊本線を通じて小倉、久大本線を通じて日田まで乗り入れる運行形態をとっています。もともとはこの地域でとれる石灰石や石炭を輸送するために建設された路線で、かつては多くの貨物列車が行き交っていました。また、沿線の賑わいも相当なもので、数々の急行列車も設定されていました。

しかし、沿線産業の衰退とともに利用客も減少、1980年(昭和55年)10月改正で急行列車は廃止となり、貨物輸送も民営化を前に大部分が廃止、最後に残った石灰・セメント輸送も1996年に廃止されました。現在は北九州市の近郊輸送と、沿線のローカル輸送が中心ですが、ローカル線には不似合いな各駅の広い構内は、かつての賑わいを彷彿させます。

九州北部豪雨で大きな被害

不通となった日田彦山線 豊前桝田-彦山を行く列車
Wikipediaより

2017年7月5日から6日にかけ九州地方を襲った集中豪雨は、福岡県と大分県に大きな被害を出し、死者・行方不明者は42名という大災害となりました。鉄道では久大本線と日田彦山線が大きな被害を受け、土砂流入や橋脚の流出などが相次ぎました。このうち、久大本線は沿線に観光資源も多いことから、翌年7月に全線で運行を再開したものの、日田彦山線については当初から復旧へ向けての動きが鈍いものでした。

特に被害を受けた添田-夜明を含む南半分は、この区間を含む田川後藤寺-夜明の輸送密度が2016年度で299人と、JR九州内でも5番目に利用客の少ない区間で、当初からJR九州単独での復旧は難しいとされてきました。

その後復旧をめぐる協議の中で、復旧にかかる費用はその他の災害復旧事業とともに国や自治体が負担することで合意がなされましたが、JR九州はその後の維持について地元の負担が前提であるとし、施設を沿線自治体が買い取りJRは運行に専念する上下分離式を提案します。一方、沿線自治体は鉄道での存続を望むものの、大幅な費用負担には難色を示して事態は膠着、この中でJRは、費用負担が解決されない限りは鉄道としての存続は難しく、BRT化による運行も提案しました。

2019年1月の協議では、鉄道として存続させるのであれば年間1億6000万円の地元負担が必要であることがJRから示され、2020年2月には福岡、大分の両県と沿線自治体となる添田町、東峰村、日田市のうち東峰村以外がBRT化を容認しました。東峰村は引き続きJRの負担による鉄道としての存続を求める立場でしたが、今回の福岡県の提案を受け、BRT化を容認することとなりました。

東日本大震災からの復旧でBRTは機能したけれど…

盛駅に停車するBRT
Wikipediaより

BRT化の例としては、東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼線・大船渡線の復旧に当たり、鉄道ではなく線路敷を専用道として利用したものが有名です。気仙沼線では、鉄道時代には1日10本程度の運行でしたが、現在は1日30本程度が運行され、本数の利便性は大きく向上しました。さらに専用道以外では一般道路も走行し、市街地や需要の大きい箇所へ直接乗り入れられるのも特徴です。また、引き続きJR東日本が運営し(運行は地元のバス会社が行う)、青春18きっぷなど企画乗車券は使用できる一方、運賃はBRT区間で独立しており、JR線と乗り継ぐ場合は両者を合算したものとなります。

気仙沼線・大船渡線の場合は、被害を受けた区間が広く、バスが広大なネットワークを組むことにより主要な交通機関として定着した感があります。また、沿線には比較的大きな都市や町もあり、そもそも潜在的な需要も大きかったと思われます。しかし日田彦山線の場合、ローカル線の末端区間であり、果たしてその区間だけBRT化して今後維持していけるのかは未知数です。日田彦山線自体が盲腸線となることも考えると、今後さらに先細りすることは容易に考えられます。

鉄道は、ネットワークを組んでこそその効果が発揮できると思います。もちろん費用負担の問題は大きく、無い袖は振れないこともよく分かりますが、鉄道は「費用が掛かるからやめる」のではなく、「費用が掛かっても存在するほうが利益があるかどうか」という点で、ぜひ考えてほしいと思います。

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