留萌本線から考える交通体系の未来 鉄道の廃線は過疎化スパイラルを加速させる

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7月27日付乗り物ニュースより

「増毛廃止後」も存続危うし! JR北海道、普段の留萌本線に乗ってみた



 本線と名乗るものの、その営業距離は50㎞ほどしかない。本数は1日8.5往復。それが、北海道の深川駅と留萌駅を結ぶのが留萌本線です。

たびたびニュースでも取り上げられている通り、現在留萌本線は、廃線の危機に瀕しています。

すでに2016年には、特に利用客の少なかった留萌-増毛が廃線となりました。そして残る深川-留萌も、JR北海道はバス転換する方針を打ち出しています。2017年度の現存区間の輸送密度は157人、JR発足当初の1/3となり、100円の収入を得るためにいくらの経費がかかるかを示す営業係数も1970となっています。赤字額は年間7億円に達します。

JR北海道は民間会社ですから、赤字事業を辞めたいのは当然です。そもそも、収支の見込めないローカル線を民営としてしまったことが間違いだと私は思っていますから、JR北海道が悪いとは思いません。

沿線の4市町にしても、この先劇的に利用改善の見込みも薄く、これから先ずっと税金で穴埋めするとなると、それなりの負担になることは間違いありません。

じゃあ、廃線しか道はないんでしょうか?

この記事では、少なくとも通学の高校生が利用する姿が書かれています。

たとえ1日数本でも、彼らにとってはかけがえのない通学の足なのです。

今の大人たちはクルマに乗るでしょうから、正直なところ、ほとんどの人には他人事で、税金の使い道として鉄道の維持にはNoを回答するでしょう。

しかし、実際の利用者は子供たちです。廃線で自分が不便を感じていたところへ、将来子育てで戻ってきてくれるでしょうか。

東京なり札幌なりに1度出てしまえは、多くはそれっきりでしょう。

さらに驚きなのは、JRの路線が維持できないようなところへ、高速道路の建設が進んでいることです(正しくは高速道路ではない場合もありますが、便宜上こう呼びます)。留萌本線と並行する留萌道の建設費は、最初に開通した7kmで270億円。単純計算で、総延長50㎞なら1500億円以上がつぎ込まれたことになります。さらに、維持費として年間数十億円が必要だそうです。

鉄道は収支で考えられますが、道路の収支を気にする人はほとんどいませんよね。私は本来は同じもの、直接の収支ではなく、社会全体に与える影響までを考えるべきだと思っています。

もちろん、高速道路が必要ないとか、趣味的な見地だけで廃線はやめるべきだとか言っているわけではありません。資金がふんだんにあり、いくらでも作れるのならどれも必要なものです。今が高度経済成長の時代なら、将来回収できるかもしれません。

しかし、すでに鉄道の廃止論が出ているように、もう地方の交通も財政もギリギリなのです。そんな中、いかにして将来の負担を軽く、そして効果的に交通機関を残していくか、しっかりと考えるべきではないでしょうか。

このままでは、鉄道の廃線→若者の流出→過疎化の加速のスパイラルそのままに、沿線経済は縮小の一途をたどるでしょう。せっかく高速道路を作っても、使う人口が将来残っているでしょうか。

しばらくは地方鉄道の廃止議論が続くと思いますが、その次に来るのは、高速道路の廃止議論だと思います。過疎化で高速道路の維持費を支えられない自治体が出てくるのではないでしょうか。

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