『ドリームにちりん』旅行商品で1夜限りの復活運転へ
JR九州は2021年10月26日、かつて日豊本線を走っていた夜行列車『ドリームにちりん』を10年ぶりに復活運行させることを発表しました。運転日は往路が11月26日発、復路が11月27日発で、783系を使用して運転されます。このうち夜行運転となるのは往路の11月26日発(始発駅基準…この表記も懐かしいですね)で、JR九州が企画・募集する「783 系ハイパーサルーンで行くリバイバルドリーム
にちりんツアー」として発売されます。参加費用は普通席往復で2席あたり44,000円で、片道のみの参加も可能です。
表示されない場合: 10 年越しの特別運行‼JR九州オリジナルツアー 783 系ハイパーサルーンで行く!リバイバルドリームにちりんツアー旅行商品発売のお知らせ
復活の『ドリームにちりん』 運行時刻とツアー概要
2021年10月27日現在の発表では、 「783 系ハイパーサルーンで行くリバイバルドリーム
にちりんツアー」 での運行時刻は以下の通りとなっています。
- 往路(始発駅基準11/26)
- 博多22:50頃→小倉→大分01:37頃/02:40頃→宮崎→南宮崎07:43頃
- 復路(11/27)
- 宮崎11:07頃→小倉19:09頃/19:27頃→博多21:15頃
往路は、大分駅での長時間停車まで再現されているのが憎いところです。また、列車の到着に合わせて軽食類の販売が行われるということです。
旅行商品としての販売となるので、乗車にはツアーへの申し込みが必須となります。また、オプショナルとし折り返しまでのホテル滞在プランや、朝食・昼食プランも用意されています。
復路の昼行運転はともかく、日豊本線に夜行列車が走るのは2011年3月改正で『ドリームにちりん』が廃止されて以来で、783系が『にちりん』に使用されるのも2021年3月改正で撤退して以来となります。
現役時代の『ドリームにちりん』と前身の急行『日南』
『ドリームにちりん』は、かつて博多ー宮崎を日豊本線経由で結んでいた夜行特急列車です。
現在、日豊本線は大分で系統分割され、博多ー大分が『ソニック』、大分ー宮崎が『にちりん』となっていますが、もともと『にちりん』の名称は、日豊本線の特急列車全般に与えられていたもので、1990年代までは大分発着列車もすべて『にちりん』でした。
博多ー宮崎は所要時間が長いこともあり、古くから夜行列車も運転されていて、1993年改正までは急行『日南』が毎日1往復していました。『日南』は24系寝台車+12系座席車の編成で、博多ー宮崎ー鹿児島の運転でしたが、宮崎以南は普通列車として運転されていました。
また、春休みとゴールデンウィークには、臨時の『日南』83号が運転されていました。こちらは全車座席車での運転で、復路は『日南』82号として宮崎1218→小倉19:36の昼行運転でした。ただし、運転日は82号のほうが少なくなっていました。
1988年3月改正 急行日南 時刻表
日南 | ◆ 日南83号 | 日南 | ||
博多 | 2213 | 西鹿児島 | 2012 | |
小倉 | 2320 2327 | 2340 | 都城 | 2159 2200 |
別府 | 0128 0129 | 0138 0146 | 宮崎 | 2303 2315 |
大分 | 0143 0154 | 0200 0215 | 日向市 | 0020 |
延岡 | 0422 0448 | 0454 0501 | 延岡 | 0051 0052 |
日向市 | 0512 | 0525 | 大分 | 0311 0328 |
宮崎 | 0614 0621 | 0635 = | 別府 | 0339 0340 |
都城 | 0733 0734 | 小倉 | 0530 0550 | |
西鹿児島 | 0925 | 博多 | 0659 |
1988年3月改正 急行日南 編成表
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
B | B | 指 | 自 | 自 | 自 | 自 |
1993年改正では、『日南』は787系化の上特急となり、新たに『ドリームにちりん』の名称が与えられました。寝台設備はありませんでしたが、夜行列車が次々と削減される中、最後の座席夜行列車として2011年3月改正まで設定されていました。2000年3月改正からは車両が783系となり、以後廃止まで使用されました。
2011年3月最終時点 ドリームにちりん 時刻表
博多 | 2252 | 南宮崎 | 2343 |
小倉 | 2352 | 宮崎 | 2347 |
別府 | 0118 | 日向市 | 0031 |
大分 | 0130 0325 | 延岡 | 0054 |
延岡 | 0518 | 大分 | 0246 0352 |
日向市 | 0537 | 別府 | 0400 |
宮崎 | 0625 | 小倉 | 0521 |
南宮崎 | 0630 | 博多 | 0620 |
宮崎空港 | 0635 |
上り下りとも大分駅で長時間停車がとられており、終着到着時刻の調整が行われていました。
また、博多ー大分、延岡ー宮崎ではそれぞれ最終、始発特急としての役割も持っていました。2018年改正まで存在した柳ヶ浦4:38→博多6:19のソニック102号や大分4:43→博多7:16のソニック2号、博多23:00→大分1:20のソニック61号は、この『ドリームにちりん』の代替列車として設定されたものでした。
2011年3月最終時点 ドリームにちりん 編成表
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
G|指 | 女指|指 | 自|自 | 自|自 | 自|自 |
車体の中央に扉があり、客室を2分できる783系の車体を活かし、細かな編成配置となっているのが特徴です。グリーン車は、2+1列のゆったりした内装でした。
2004年の九州新幹線新八代―鹿児島中央開業により、鹿児島本線で急行『かいもん』を受け継いだ夜行列車『ドリームつばめ』が廃止となり、さらに2009年改正で『はやぶさ・富士』が廃止されたことにより九州内を走る最後の定期夜行列車となっていました。
2011年3月改正により、一部区間を昼行特急に置き換える形で廃止となり、九州内から夜行列車が姿を消しました。