EF510を九州地区へ投入 JR貨物「2021年度事業計画」
JR貨物は、2021年3月31日に発表した「2021年度事業計画」において、九州地区にEF510を投入する計画であることを発表しました。同時に老朽車両の置き換えについても言及しており、九州地区で運用中のEF81やED76が近い将来置き換え対象となることが予想されます。
これは、「2021年度事業計画」のうち「貨物鉄道事業の役割発揮とさらなる収益性の向上」として「安全輸送の確保」の中で述べられているもので、ここでは「故障による輸送障害を未然に防止するため老朽車両の取替を計画的に進め」ること、「九州地区については取替後に EF510 形式機関車を導入する」と記載されています。
さらに、導入にあたって「九州用に仕様変更した EF510 形式の走行試験を行う」ことが述べられています。
これが新たに九州仕様のEF510の新製を意味するのか、あるいは仕様変更の上転属させるのかは分かりません。また、具体的な置き換え対象や時期には触れられていませんが、関門海峡用のEF81や九州内のED76は、一部を除き車齢が40年程度に達しており、置き換え対象である可能性が高そうです。
日本海縦貫線の主役EF510と、関門でも活躍するEH500
EF510は、2001年から投入された貨物用の交直両用電気機関車です。異なる3電源を採用する日本海縦貫線で使用されてきたEF81を置き換える目的で、2012年までに基本番台として23両が製造されました。これとは別に、東北本線の寝台特急牽引用として2009年までにJR東日本が15両を製造、総数は38両となりました。
500番台については、当初は予定通り『北斗星』などの牽引に当たっていましたが、寝台特急の廃止により2016年までに全車両がJR貨物へ売却され、基本番台が配置されている富山機関区へと配属しました。2021年3月現在は番台による区別はなく日本海縦貫線を中心に活躍しています。
また、関門トンネルから九州にかけては、2007年以降EH500が投入され、これにより老朽化したED76の置き換えが行われています。なお、EH500は鹿児島本線熊本駅まで試運転で入線した実績がありますが、営業運転は行われていません。
EH500もEF510も、車輪1軸当たりの重量(軸重)は16.8tであり、線路規格の低い日豊本線大分以南、鹿児島本線八代以南、長崎本線には本来入線できません。しかし、EF81も軸重は16.8tあり、入線条件は同じですが、最高速度を抑えるなどして日豊本線南延岡まで、鹿児島本線鹿児島まで運用を拡大しており、今後ED76の置き換えが進めば、九州全域でEF510またはEH500の運用が見られるようになるかも知れません。