DEC741とはどんな車両? JR西日本の総合検測車

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総合検測車DEC741 JR西日本が導入

JR西日本は2021年10月27日、架線の検測を行う電気検測用車両として、総合試験車DEC741型車両を導入したこと発表しました。

JR西日本では、経営計画の一環として鉄道システムの再構築を掲げており、現在人力に頼っている電気設備や線路設備のを車上からの点検に置き換えることが検討されています。DEC741型は、従来電気架線関連施設の点検を行ってきた443系の後継車両として製造されたもので、今回は2両1編成が製造されました。

443系
1975年に製造された電気検測車443系 同時期に製造されたキヤ191系同様、485系や183系に似たデザインで、車体色は457系を始めとした交直両用急行電車に近い 写真手前のクモヤ443が架線検測車、奥のクモヤ442が信号検測車で、クモヤ443系は架線が目視できるようパンタグラフ直後に突き出し窓がある 2編成が製造され、第一編成は勝田電車区(現勝田車両センター)、第二編成は向日町運転所(現吹田総合車両所京都支所)に配置され、交直両用の性能を活かして日本全国で使用された 第一編成は、2003年に廃車となっている Wikipediaより

2021年11月より試験運用を開始し、2025年度より本格運用を開始。2030年度には、現在目視により行っている業務の1割を削減したい考えです。

なお、この車両の落成に先立ち、従来架線検測を行っていた443系は、2021年8月付で廃車となっています。

どんな車両?  DEC741系の車両概要

DEC741型は、電気検測車と呼ばれる443系の後継車として製造されました。

編成はDEC741-1+DEC741-101の2両編成で、動力はDEC741-1に搭載。発電機で発電し、その力でモーターを駆動させる方法はDEC700型と同様で、将来的には蓄電池による走行も可能な設計となっています。

車体幅は205系と同じ2800㎜で、E233系や225系の2950㎜よりコンパクトですが、車体長が21mと若干長いため、車両限界に触れないよう若干の裾絞り断面が採用されました。

車体もDEC700型を基本としながら、重量の重い検査機器を搭載するためや、将来的には大型機械の入れ替え時に車体を切断する可能性もあることから、加工の難しいステンレス車体を避けて普通鋼製となりました。普通鋼製となったことで、車体は青色+警戒色の黄色とし、143系などの事業用車を思わせる塗装となりました。

DEC741 何をする車両なの? 電気検測車・総合検測車とは?

DEC741型は、JR西日本によると総合検測車と名付けられていますが、当面は電気検測車として運用される見込みです。

電気検測車とは、実際に走行しながら架線などの電気関係の施設を点検する車両です。DEC741型では、「電気設備撮像装置」「電気設備測定装置」と、新規開発の「画像解析装置」を組み合わせることにより、走行しながら周囲のデータを採取、その情報を「電気設備診断システム」のAIが解析することで電気設備の点検を行います。AIは撮影された画像の良・不良を自動的に判別、最も撮影状況の良い画像を抽出することができ、そこから設備の良否判定を行うことができます。

電気設備撮像装置はDEC741-1に搭載され、架線柱や信号機といった車体周りの装置を50台のカメラで撮影、また電気設備測定装置はDEC741-101に搭載され、4台のカメラで架線やその周囲を撮影します。これらは夜間でも撮影でき、取得できるデータは100種類にも及ぶということです。

また、DEC741-101には443系から取り外された架線の消耗具合を検測する装置が搭載されており、こちらは既に実績があることからすぐにでも使用可能ということです。

これらの装置とシステムの導入により、従来地上から係員が目視で行っていた点検作業や、営業線上での危険な作業を減らすことができ、作業環境の向上につながるとしています。

なお、JR西日本はすでに軌道・信号設備検測車両としてキヤ141系を2両2編成所有していますが、検測対象が異なるためどちらかが一方を置き換えることはないということです。当初はこのキヤ141系に電気検測車を組み込み3両編成とする案もあったそうですが、その任にはDEC741が当たることとなりました。

キヤ141系
JR西日本が所有する軌道・信号検測車キヤ141系 写真手前のキヤ141が軌道検測車で、レールのゆがみなどの検測を行う 写真奥のキクヤ141には信号・通信関係の測定器が搭載されている 2編成が在籍し、JR西日本だけでなくJR四国やJR九州、第三セクター鉄道などでも運用される Wikipediaより

DEC741 今後の運用は? 将来は軌道検測機能も

DEC741の搭載する装置やシステムは、443系から移植したものを除くと国内初のものであることから、しばらくは試験運用が続けられる見込みで、実用化は2025年度が予定されています。

また、電気式気動車である利点を生かし、JR西日本の全線はもちろん、443系の入選実績のあるJR四国・JR九州全線の他、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道、肥薩おれんじ鉄道、京都丹後鉄道などでの使用も想定されているということです。

将来的には、レール表面や締結具合などを測定する線路設備診断システムも搭載が予定されており、これらによって文字通り「総合検測車」としての運用が期待されています。

JR西日本によれば、この総合検測車導入による各種点検業務の自動化・車上化により、2030年度までに作業量を約1割削減するほか、装置導入によるランニングコスト軽減などにより、年間約16億円のコスト削減が図れるとしています。

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