50系客車改造のキハ141系 今後どうなる? 室蘭本線737系化で間もなく引退

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キハ141系 まもなく引退 室蘭本線の737系化で

JR北海道では、2023年5月20日より室蘭本線苫小牧―東室蘭―室蘭に新型車両737系が運用を開始します。

この区間は交流電化区間ですが、区間内完結列車も含めて一部にディーゼルカーが使用される架線下DC区間となっています。737系の投入数は2連×13本で、これにより苫小牧―室蘭を走る普通列車のうち、8割程度が737系での運行となり、ディーゼルカーによる運行で残されるのは、非電化区間との直通列車に限定られることとなります。

737系電車
2023年5月20日より運用を開始する737系 JR北海道初のワンマン対応の電車で、軽量化のため735系での結果を踏まえてアルミ製車体を採用した Wikipedia(JR北海道737系電車)より @Mt.Asahidake

また、ディーゼルカーでの運行で残される列車も、H100形に統一され、この区間で使用されているキハ141系が運用を離脱します。

キハ141系は、JR東日本に売却された『SL銀河』用の700番台も2023年6月で運行終了が予告されているため、その去就に注目が集まっています。

キハ141系とは? 50系改造の異色の存在

キハ141系は、当時非電化ながら乗客が急増していた学園都市線で使用するため、JR北海道が導入したディーゼルカーです。

1990年から投入されたキハ141形、キハ142形と、1994年に投入された出力増強型のキハ143形、それに動力を持たない付随車のキサハ144形の4形式44両が製造されました。

キハ141系の最大の特徴は、新製車両ではなく函館本線の電車化で余剰となった50系客車からの改造車ということでした。

北海道では、1986年改正で道内各地に配置されていた50系客車を札幌に集約、これにより旧型客車で運行されていた札幌圏の客車普通列車が50系による運行に統一されました。全国的には、余剰となった急行型車両により客車列車の削減が進む中、札幌圏では適当な置き換え車両もなく50系による運行を残したまま民営化を迎えることとなりました(よろしければ「まだ50系客車列車が健在だった 時刻表復刻版1988年3月号 北海道札幌都市圏編」もご覧ください)。

ED76+50系51形
北海道向けの50系客車は、2重窓など酷寒冷地向けとして51型として区分され、1978年から1982年にかけて130両が投入された 当初は道内各地に分散配置されたが、札幌圏の旧型客車置き換えのため当時の空知運転所に集約、1986年改正で札幌圏から旧型客車が一掃された その後は721系が増備され、空知運転所は50系の廃車により車両基地ごと廃止となった Wikipedia(国鉄50系客車)より @spaceaero2

その後函館本線では、721系の投入により次第に50系は余剰となり、1994年改正で姿を消すこととなります。キハ141系は、この余剰車の有効活用を図ったものでした。

この時点で客車改造によるディーゼルカーとしては、1988年にJR西日本が製造したキハ33系が存在していました。しかし、乗務員スペースのないオハ50形を種車とした結果、運転室の設置に当たり扉の移設など大掛かりな工事が必要となり、余剰車の有効活用としてはコストが高くつきすぎることや、機関出力が低く性能的にも満足いくものではなかったことから、改造数は2両にとどまりました。

津山まなびの鉄道館に保存されている、キハ33-1001 キハ33は2両が50系客車から改造されたが、種車のオハ50同様にトイレがないため単独運用はされず、キハ47などとペアを組んで使用された 改造コストが高く2両のみの製造に終わり、2010年までに廃車となった 撮影:鉄道模型モール制作室

一方、キハ141系の改造に当たっては、種車をすべてオハフ51形とし、乗務員室を運転室として活用することで極力改造個所を減らすこと、キハ142形は2エンジン搭載として編成出力を向上させるなどして、改造コストの引き下げと重量当たりの出力向上が図られています。

キハ143
Wikpedia(JR北海道キハ141系気動車)より @出々 吾壱
オハフ50
キハ143と、種車となったオハフ51の本州向けオハフ50 前面は当時北海道に投入されたキハ54に酷似するが、側面は50系時代とほとんど変わりがない なお、本州向けの50系は2段窓に対し、北海道向けの51型は酷寒冷地仕様として、本州向けの基本形式に比べ窓が小さく、構造も1段上昇窓となっている Wikipeida(国鉄50系客車)より @永尾信幸

キハ143形では、さらに出力向上が図られ、当時新製されていたキハ150系と同じエンジンを搭載、最高速力もキハ141形、キハ142形の95㎞/hに対して110㎞/hとなり、余裕ある出力のおかげでキサハ144形もキハ143形とペアを組むようになりました。また、キハ143形は1996年までに、キサハ144形は2001年までに全車両が冷房化されています。

学園都市線時代には、在来車との共通運用が組まれ、キハ141系同士ではなくキハ40やキハ48と併結して運転される姿もよく見られました。

2012年の学園都市線電化までに、冷房を搭載しないキハ141形14両とキハ142形15両、それにキサハ144形4両のキハ143形以外の全車両とキハ143形1両が運用から離脱、残ったキハ143形10両は2連×5両に整理されてワンマン改造の上、室蘭本線・千歳線へと転属となり、現在に至っています。

なお、運用を離脱したキハ141系のうち、4両がJR東日本へと売却され700番台となり、『SL銀河』用の客車として使用されています。これは、『SL銀河』を牽引するC58の性能上釜石線の単独牽引が難しいため、上り勾配で機関車を補佐するため動力性能が残されており、C58との協調運転が行われています。JR北海道のキハ141系の運用離脱後も運用が公表されていますが、こちらも老朽化により2023年6月をもって引退することが発表されました。

また、22両がミャンマー国鉄へと譲渡され、現地で運行を開始。当初はJR北海道時代の塗装のままでしたが、後にオリジナル塗装へと変更されている模様です。2020年頃までは使用されていた様子が確認できますが、その後の動向は不明です。

今後どうなる? キハ141系の運用は?

間もなく定期運用を失うキハ141系ですが、JR北海道は今後について、別の使い方を検討するとしており、全車両が直ちに廃車されることはなさそうです。

キハ143形
学園都市線時代の、キサハ144形を挟んだキハ141系の3両編成 オハフ51は68両が製造されたうち、過半数の44両がキハ141系へと改造された 写真のうち先頭車のキハ143-101は、1981年製造の元オハフ51-36で、1994年にキハ143‐101として改造された 50系時代が12年に対し、気動車化後はすでに29年が経過した Wikipedia(JR北海道キハ141系気動車)より

現在残っているキハ141系はすべてキハ143形で、キハ54に匹敵するパワーを持つ出力強化型です。また、過去にはキハ141系は臨時列車として道内各地を運転した実績もあり、引き続きイベント列車として使用される可能性もあります。

いずれにしても、JR北海道からの公式の発表はなく、続報が待たれます。

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