『やまぐち号』、2023年春も『DLやまぐち号』として運転
JR西日本は2022年12月23日、2023年春の『やまぐち号』の運行計画を発表しました。
運行日は連休となる3月18日~21日とゴールデンウィークの4月28日、29日、5月3日~7日の11日間で、新山口―津和野で1日1往復運行されます。
しかし、いずれの日もDD51またはDE10の牽引による『DLやまぐち号』として運転される予定で、蒸気機関車による運行はまだしばらく先になりそうです。
JR西日本の発表によれば、2023年3月~5月の『やまぐち号』運行日のうち、
- 3月18日~21日 DE10の重連
- 4月28・29日 DD51
- 5月3~7日 DE10の重連
で運行されるということです。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/221223_00_press_yamaguchi.pdf
C57-1 久しぶりに先頭側から展示も修理の見込み立たず
『やまぐち号』の本務機であるC57-1は、2020年10月10日の運行中に不具合が発生、10月20日に梅小路機関区へ戻され、調査の結果圧力を保つ部品が損傷していることが分かりました。翌2021年は修理のため運用を外れ、当初は2021年9月にも復帰できる可能性も示されていましたが、修理作業が長期化しており2023年1月現在も本線復帰のめどが立っていないようです(よろしければ「故障で長期離脱中のC57‐1号機の現状は? 修理はどうなっているの?」もご覧ください)。
また、それどころかほとんど修理作業が行われる気配もなく、「修理中」を表す後部側を扇の中心に向ける形で、他の静態保存車両に交じって扇形機関庫で展示されている状況です。
D51-200 検修庫で2023年の元旦を迎える
一方、もう1両の動態保存機であるD51-200についても、2022年5月3日の運行中に津和野駅での入換作業中に不具合が発見されました。こちらは炭水車の台車に亀裂が発生したためで、当日の復路から運用離脱。当初は2022年6月にも運用に復帰するとされていましたが、D51-200の修理も長期化しており、結局2022年中に本線復帰することはありませんでした。
D51-200についても、C57‐1同様に「修理中」を示す逆向けで扇形機関庫に長い間展示されていましたが、2022年の年末ごろにC62‐2と入れ替わる形で検修庫に運び込まれた模様です。
相次ぐ蒸気機関車のトラブル ディーゼル機関車牽引の代走続く『やまぐち号』
こうした経緯もあり、2023年も『やまぐち号』はDD51によるディーゼル機関車牽引でのスタートとなることが発表されました。
2020年10月10日にC57-1号機が運用を外れた『やまぐち号』は、直後はDD51による代走が行われましたが、急遽梅小路から回送されてきたD51-200が10月24日から11月22日まで運行を担当、この年の運行を終了しました。
しかし翌2021年はC57-1の修理長期化に加え、D51-200が定期検査のため使用できなかったため、当初より『DLやまぐち号』として計画されていました(よろしければ「『やまぐち号』をディーゼル機関車牽引で運転 最後の晴れ舞台となるか DD51を解説」もご覧ください)。
当初はC57-1が2021年9月にも復帰する見通しも示されていましたが、結局本線復帰はなく、検査と修繕を終えたD51-200による運行が10月23日再開され、2021年の運行を終了しています。
2022年は、1年を通じて当初よりD51-200の牽引で運行される予定でしたが、前述の通り5月3日の運行で不具合が発生。当初は6月にも復帰できるとされていましたが、こちらも2022年の復帰は叶いませんでした。
JR西日本によれば、C57-1は1937年(昭和12年)、D51-200は1938年(昭和13年)の製造で、近年は老朽化も進み、古い部品の修理に時間がかかっているということですが、JR西日本は2014年に「産業革命の原動力となり近代日本の産業遺産の一つであるSLを後世に継承することは当社の社会的使命」と発表した手前、両車とも直ちに廃車という便りは今のところなさそうです。
例年『やまぐち号』では年間スケジュールが発表されることが多いのですが、今回は5月までの予定しか発表されていないことから、6月以降はC57‐1、D51‐200いずれかに復旧の見通しがあるのかもしれません。