山陰本線 豪雨被害で不通の長門市ー小串の復旧を検討へ
JR西日本は2024年1月29日、豪雨被害で運休となっている山陰本線長門市―小串について、被災状況と復旧計画を発表しました。
河川を管理する山口県との調整の結果、当初の想定より工期、工費とも大幅な短縮が可能となったということで、今後復旧へ向けての本格的な検討を始めるとしています。
山陰本線は、豪雨による不通以来、約7か月ぶりに運行再開へ向けて動き出すこととなりそうです。
最大の被害は「粟野川橋梁」で工期は1年半 部分復旧も検討
山陰本線の長門市―小串は、2023年6月末から7月の豪雨により大きな被害を受け、JR西日本の発表によれば、この区間の被災個所は69か所に及び、2024年1月末現在もバスによる代行運転が続いています。
その中でも最大の被害ともいえるのが、長門粟野ー阿川にかかる粟野川橋梁で、橋脚の一部が下流側に1.4mほど移動し、写真からは鉄橋が傾斜している様子が確認できます。
JR西日本によれば、大雨による水位上昇と、それによる激しい水流により橋脚基礎部の浸食を防止する矢板が損傷し、このため橋脚を支持する地盤が流出して橋脚が沈下・傾斜したものとされ、傾斜した橋脚については、基礎部が大きく損なわれており使用に耐えないと判断されることから、橋脚の改築が必要ということです。また、これ以外の橋脚、橋桁などにも損傷が見られるということです。
このため、河川管理者である山口県との間で復旧工事について協議したところ、通年工事の実施などで工期、工費とも圧縮が可能とみられることから、今後の復旧について具体的な検討を始めるということです。
工費については発表はありませんが、工期については着工後1年半程度とされています。
なお、今回の不通区間の復旧に当たっては、粟野川橋梁が最も工期を必要とする見込みであることから、JR西日本では部分的に一部区間を先行して復旧させることも検討するということです。
復旧は検討するも「持続可能性」を求める 美祢線不通は長期化か
JR西日本の発表によると、不通となっている山陰本線の長門市―小串は、2022年度の輸送密度が273人、これに連続する山陰本線の益田―長門市も231人となっています。これは同様に不通となっている美祢線の377人や、盲腸線の越美北線の318人よりも低い数値で、本線とは名ばかりの、事実上は超閑散線区と言っても差し支えありません。このため、今回は復旧に向けて動き出すもののJR西日本からは「鉄道としての持続可能性を確保するため、沿線の自治体の方々と相談させていただきたい」との考えを同時に示しています。
また、同様に不通となっている美祢線については、2010年にも今回同様厚狭川の氾濫により被害を受けたことから、「災害に対するリスクが非常に高い線区で厚狭川の河川改修計画も10年程度かかることをあわせて考えるとすぐに復旧について検討するということにはなかなか至らない」としており、こちらは運休が長期間に及ぶ可能性が高くなっています。