『やくも』に273系を投入 381系を置き換えへ

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2024年度以降 『やくも』に273系新型車両を投入 

JR西日本は、381系を使用して伯備線で運行している特急『やくも』について、2024年度以降に新型車両を投入する計画であることを発表しました。

投入されるのは273系電車と呼ばれ、国内初となる「車上型の制御付き自然振り子方式」を採用。曲線区間に入るタイミングであらかじめ車体を傾斜させて滑らかに遠心力を打ち消すことで、乗り心地が大きく改善されるということです。

車内には防犯カメラが各車両に設置されてセキュリティが向上、車体構造の強化や機器類の二重構造化により安全・安心性の強化が図られます。

座席は現在の381系よりシートピッチが拡大され、座り心地を改善した座席となり、車内Wi-Fiの導入や全席へコンセントを設置など、接客設備も向上が図られます。

新型の273系は2024年度春より順次投入される予定で、最終的には4連11本の合計44両が製造され、381系を置き換えるとしています。

なお、詳細な仕様やデザインは、2022年度前半に発表するということです。

表示されない場合: 2022 年2月社長会見

40年以上にわたり381系が使用された『やくも』

特急『やくも』は、1972年(昭和47年)の山陽新幹線岡山開業により、これに接続して岡山と山陰地方を結ぶ特急列車として登場しました。それまでローカル線に過ぎなかった伯備線は、新幹線開業と『やくも』の新設により山陽と山陰を結ぶ重要な陰陽連絡線となりました。

急峻な中国山地を縦断する路線のため、当初は大出力のキハ181系が投入されました。今年2022年は、『やくも』運行開始から50年を迎えることとなります。

キハ181 やくも
キハ181系時代の『やくも』 この時代には、浜田や益田まで足を延ばす列車もあったが、電化により整理された 『やくも』は登場時より、キハ181系、381系、そして今回の273系と、常に新製配置となる Wikipediaより

1982年には、『やくも』は伯備線電化により電車化されることとなりますが、急カーブが続くという路線の特性上、振り子式機能を搭載した381系が投入されることとなりました。『やくも』は、これ以来40年にわたり381系による運行が続けられています。

日本初の振り子式電車381系 『やくも』が最後の活躍の場に

381系は、1973年(昭和48年)から投入された特急型電車です。

国土の大半が山地の日本では、鉄道は急カーブ・急こう配から逃れることができず、特に急カーブの存在は、車両の性能を上げても速度向上や所要時間短縮には必ずしも結びつかない原因となっていました。

そこで、カーブの通過速度を速めることでスピードアップと所要時間の短縮を図るため、振り子式を採用した車両を製造することとなりました。

まず、1970年(昭和45年)に試作車量となる591系が製造され、東北本線を中心に試験運転が行われました。最終的には、キハ181系で運転されていた中央西線の特急『しなの』を、電化を期に振り子式車両で置き換えることとなり、試作車両の結果をもとに製造されたのが381系でした。

物体が曲線を通過する際は、通過速度に応じて遠心力が働き、物体は外へ放り出されそうになります。このため、安全に車両が曲線を通過するためには、曲線に応じて一定の速度以下で通過する必要があります。381系は、この遠心力を利用して車体を内側に傾斜させ、遠心力を打ち消す振り子式を採用したことで、曲線通過速度を向上させました。

曲線通過時に車体を内側に傾けることで、通過速度の向上を図った381系 写真でも、線路の傾き以上に車体が傾いているのがわかる 速度向上に効果はあったが、内側に傾ける力を遠心力に頼ったため、曲線に差し掛かると突然車体の傾斜が始まり、乗り心地はあまり良いものではなかった 酔う人も多かったのか、洗面所には「ご気分の悪い方はご使用ください」と書かれたエチケット袋まで装備されていた Wikipediaより

591系では、営業用車両としては過剰なものや複雑な機能があったため、381系の設計に当たって採用された構造や機能は極めて無難な性能となっている一方、振り子式機能のおかげで曲線通過時には+20㎞/hと大幅な速度アップが可能になりました。

車体は485系や183系とよく似た外観を持っていますが、遠心力軽減のため従来屋根上に設置されていた空調室外機などはすべて床下に搭載され、パンタグラフ以外の構造物がなくすっきりとしています。

屋根上に空調機器のない381系
曲線通過性能を上げるため、低重心構造となった381系では、空調室外機が床下に設置されているため屋根上が非常にすっきりしている 車体を傾斜させた際に車体寸法が逸脱しないよう、裾絞りも大きい Wikipediaより

塗装は国鉄標準の特急色でありながら、車体は軽量化のためアルミニウムを採用。このため、同じくアルミニウム製の301系に続き形式の百位が3となりました。

1973年(昭和48年)改正で『しなの』に、1978年(昭和53年)には同じく急曲線の多い『くろしお』、そして1982年に『やくも』に投入されました。いずれも大幅な所要時間短縮を実現しましたが、機能が複雑でアルミニウム製の381系は製造コストも高く、財政難に悩む国鉄ではそれ以上の投入に消極的となり、次に振り子式の新型車両が製造されたのは、JR四国が1989年に製造した2000系となりました。

『しなの』に運用されていた381系は、1996年までに383系に置き換えられて運用を離脱。定期運用がなくなった後も波動用として運用されていましたが、2006年までに全車両が廃車となりました。

また、『くろしお』で運用されていた381系は、283系の投入や『くろしお』自体の運用減少で廃車や他線への転属も行われ、一時は福知山線系統の特急としても使用されていました。しかし、『くろしお』への287系の投入と、北陸新幹線開業により余剰となった681系、683系改造の289系の投入で、2016年までに全車が廃車されました。

2022年現在、『やくも』は381系を使用した最後の定期列車となっていますが、こちらもいよいよ引退が近づいているようです。

なお、『やくも』の運転開始50周年を記念し、1編成を国鉄特急色として「国鉄色リバイバル運転」が予定されています。運転されるのは『やくも』の8・9・24・25号で、2022年3月19日より運転されます。

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