氷見線・城端線が経営移管で大筋合意 あいの風とやま鉄道が出した5つの条件とは?

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氷見線、城端線 あいの風とやま鉄道への経営移管でおおむね合意

富山県内を走る城端線・氷見線の今後についてを検討する「城端線・氷見線再構築検討会」は2023年9月6日に第二回目の会合を開き、両線についてJR西日本からあいの風とやま鉄道へ経営移管を進めることで関係者がおおむね合意したと発表しました。

検討会は富山県と沿線4市町の首長と現在の事業主体であるJR西日本で構成され、2023年7月に第一回会合を開催。その席上で沿線自治体から「今後の事業主体として検討会に加わってほしい」との要請を受けたあいの風とやま鉄道が今回から加わっていました。

今回の検討会では、城端線、氷見線の今後の事業主体について、あいの風とやま鉄道から「将来的に城端・氷見線の運営を引き継いで現在の路線と一体的に運営することになれば、新しい第三セクターを設立するよりも合理的」として、条件付きながら経営の引継ぎに前向きな意向を示したということです。また、沿線自治体やJR西日本もあいの風とやま鉄道の出した条件に対して前向きに検討する姿勢で、両線の経営移管はほぼ確実なものとなりそうです。

移管の時期などはまだ発表されていませんが、1カ月後にも開かれる次回の検討会で事業主体や利便性の向上などについて一定の結論を出す方針で、年内には再構築計画を完成させたいとしています。

国鉄の廃止対象を辛うじて免れた氷見線・城端線

氷見線と城端線は、北陸新幹線やあいの風とやま鉄道と接続する高岡駅から、それぞれ氷見駅、城端駅を結ぶ16.5㎞、29.9㎞の路線です。もともとは北陸本線と接続する路線でしたが、2015年の北陸新幹線金沢開業に伴い、北陸本線は並行在来線としてあいの風とやま鉄道に経営移管されました。

ただし、氷見線、城端線については、「並行在来線には当たらない」として引き続きJR西日本が運営することとなりました。両線とも高岡駅と反対側の終着駅では他の路線と接続しないいわゆる盲腸線で、JR西日本から見れば完全に飛び地路線となっています。

両線とも国鉄時代には辛うじて廃止対象を免れたものの、その後の沿線人口の減少などもあり利用は減少の一途をたどり、2021年度の輸送密度は城端線が約2300人、氷見線が2000人と、JR西日本発足時から比べほぼ半減していました。

氷見線
連なる山々をバックに、雨晴海岸を走る氷見線 ネットや雑誌でもよく見かけるおなじみの光景で、氷見線最大のハイライトともいえる 経営移管となれば、国鉄型車両がここを走る姿も見られなくなるだろう Wikipedia(氷見線)より @MaedaAkihiko

これに加え、北陸本線の経営移管により飛び地路線となることから経営の非効率さが指摘されたこと、また両線で使用される車両が老朽化し近い将来置き換えが必要となることから、両線の将来を巡って沿線自治体やJR西日本の間で協議が続いていました。

LRT化が検討されるも、費用対効果で断念していた

こうした中、2006年には同じ富山県内の富山港線がLRT化の上富山ライトレールへ経営移管。さらに2020年には富山地方鉄道の富山市内線と線路がつながり、大きな成功を収めました。この成功を受け、「城端線・氷見線LRT化検討会」が結成され、両線の今後についてLRT化を含めて協議が行われてきました。

富山地方鉄道0600形
もともと一ローカル線に過ぎなかった富山港線は、2006年にLRT化され富山ライトレールとして生まれ変わった 利便性の向上で富山港線時代と比べ大幅に乗客は増加し、LRT化は氷見線・城端線も活性化策の一つとして候補に挙げられた ただし、もともと電化設備を有し、7㎞余りに過ぎない富山港線に対し、氷見線、城端線は電気設備を新設する必要があり、路線長も長く多額の改修費用が必要で、初期コストや維持費の面で導入が見送られた Wikipedia(富山地方鉄道)より @MaedaAkihiko 

LRT化検討会では、両線をLRT化した場合やBRT化、あるいは既存施設を活かして新型車両を投入した場合の3パターンが検討され、その結果2023年3月までに、LRT化は初期コストが膨大となること、工事のための運休期間が長くなることなどから断念、あいの風とやま鉄道への乗り入れも可能で、冬季の運休リスクも少なく、費用対効果に優れた新型車両の投入による改良を行うことを決定していました。

あいの風とやま鉄道が示した、経営移管の5つの条件とは?

経営移管がほぼ決定した氷見線、城端線ですが、あいの風とやま鉄道からは、次の5つの条件が出されました。

  1. 現在運行している路線の経営に支障が出ないよう、氷見線・城端線の赤字が補填されること
  2. 人材確保のため、JR西日本の社員が一定期間出向すること
  3. 経営移管前に、線路などの再整備をJR西日本が行うこと
  4. 運営費用とは別に施設投資が必要な場合は、その財源を確保すること
  5. 直通運転の実施に当たり、JR西日本が全面的な技術支援を行うこと

あいの風とやま鉄道では、氷見線・城端線が経営移管された場合、現在保有する路線とは別に収支を把握するとしており、現路線の沿線自治体が出資している経営基金なども新路線には適用しない方針です。このため、氷見線、城端線の沿線自治体に対し新たな経営基金の新設が必要になると思われます。

あいの風とやま鉄道は、現在のところ旅客用としては電車しか保有していない 検討会では合計26両の製造費として131億円の経費(直通運転を実施する場合はさらに30億円)が見込まれており、経営移管となれば新型車両が投入されるのだろうが、朱色のキハ40もぜひ残してほしいものだ 存続が決まったことは嬉しいが、SNS上では青春18きっぷの扱いがどうなるのか話題となっているようだ Wikipedia(あいの風とやま鉄道)より @MaedaAkihiko

また、状況によっては氷見線・城端線と現路線の乗り入れも当然視野に入ると思われますが、あいの風とやま鉄道によれば、直通運転は高度な技術が必要なため、その技術支援をJR西日本に求めています。

これらの条件に対し、JR西日本は人員や資金面で一定の負担をする姿勢を見せたたほか、沿線自治体も次回の検討会までに内容について検討するとしています。

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