甲種輸送とは何? 鉄道趣味誌での情報掲載が終了 配給列車との違いは? 

社会
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甲種輸送の情報 鉄道趣味誌への掲載が終了

一部の鉄道趣味誌で公開されていた、甲種輸送列車に関する情報がなくなるとして話題となっています。鉄道ダイヤ情報や、月刊トレインでは、概ね翌月の甲種輸送列車の運行情報を掲載していましたが、2月分の掲載をもって終了となります。

鉄道ダイヤ情報では、2023年1月発売の2023年2・3月号において、「今月限りで、甲種鉄道車両輸送の運転計画の本誌掲載を終了」との告知がありました。

また、月刊とれいんの公式サイト上で提供されてきた「eとれプラス“甲種・特大情報”」についても、2023年2月をもってサービスを終了する旨の告知がなされています。

その理由について、鉄道ダイヤ情報では「諸般の事情をご賢察のうえ、ご理解ください」、月刊とれいんでは「JR貨物からの資料提供をこれまでの通りにはいただくことができなくなりました」と述べられています。

両社とも掲載終了の理由をはっきりとは明らかにしていませんが、近年ごく一部のマナーの悪い撮り鉄が世間を騒がせていることから、こうした事情を鑑みたJRや荷主が情報の提供を取りやめた可能性があります。

もしこれら理由ならば、鉄道趣味誌では古くから「こうした運行情報は関係機関の好意によって発表されるもので、迷惑行為が続けば情報が得られなくなってしまう」と注意を呼びかけ続けていましたが、それがまさに具現化したことになり、鉄道ファンとしては実に情けない結果となってしまいました。

甲種輸送とは? 鉄道車両を運搬する方法の一つ

鉄道における甲種輸送とは、鉄道車両を運搬する方法の一つの呼び方です。人によっては甲種回送と呼ばれる場合もありますが、「甲種鉄道車両輸送」が正式な名称です。これは国鉄時代から使われている呼び名で、JR貨物となった後も引き続き使用され、一般的には略して甲種輸送、または甲種輸送列車と呼ばれることが多いようです。

車両メーカーの工場で新造された車両や、他の鉄道事業者に譲渡される車両は、その車両を引き取る鉄道会社のところまで運搬する必要がありますが、甲種輸送とはこのうち車両自体を貨車と見立て、自らに装着された車輪で走行して運搬する方法のことを指します。多くの場合、普段はその地域を走ることがない車両が輸送されるため、ファンの間でも注目度が高い輸送方法です。

あくまで貨物列車としての運行なので、無動力で多くの場合は機関車に牽引されて運行されます。また、軌間が異なる場合は、仮の台車を履いて運行されます。

都営三田線6500形の甲種輸送
東京都交通局6500形の甲種輸送の様子 製造は近畿車両(大阪府)で行われ、埼玉県の越谷貨物ターミナルまで甲種輸送が行われた後、陸送で搬入が行われている 輸送中は車体の汚れを防ぐため、写真のように養生されていることも多い 

甲種輸送の際には、編成単位で輸送される場合もあれば、車両単位で輸送される場合もあります。また、車両限界に抵触しない限り新幹線車両を輸送することも可能で、2004年頃までは東海道新幹線浜松工場への搬入に在来線を利用していたこともありました。

これらの輸送は、長距離の場合はJR貨物によって運行される場合がほとんどで、甲種輸送といえばこの姿を想像する方も多いと思います。このため、甲種輸送が行われるのはJR貨物が営業している路線に限られます。また、私鉄区間ではその会社の所有する機関車により牽引が行われる場合もあります。

甲種輸送があるなら乙種輸送もあるの?

さて、この輸送方法が「甲種」輸送ということはわかりましたが、甲種というからには乙種輸送も存在するのでしょうか。

結論から言えば、乙種輸送はかつて存在していました。

鉄道輸送における甲種輸送とは、自らの車輪で線路の上を走行し、貨車として運搬する方法と述べましたが、それに対し、乙種輸送とはそれ以外の方法で車両を輸送する方法のことを言います。実際に行われていたのは、対象車両を別の貨車(大物車や長物車など)に積み込んで輸送する方式です。

ただし貨車に積載するためには、当然対象車両はそれより一回り小さい必要があるため、乙種輸送は路面電車や軽便鉄道など小型の車両に限られていました。

乙種輸送は、1992年に廃車されたシ1形を最後に対応する貨車が存在しておらず、2023年現在輸送種別として名称は存在しているもののすでに廃止となっています。

乙種輸送に使われたシ1形シ8
かつて乙種輸送に使用されていたシ1形 1921年(大正10年)から1922年(大正11年)にかけて製造されたホシウ70形から称号改正で区分された6両と、1953年(昭和28年)から1957年(昭和32年)にかけて製造された3両の2グループが存在する ボギー車の輸送に備え、床下機器が抵触しないよう、中央部が1段低くなっている 写真のシ8は戦後製造グループで、1953年にナニワ工機(現在のアルナ車両)によって製造された  私有貨車 シ7とともにJR貨物に継承された2両のうちの1両で、1992年に廃車となった これによりシ1形とともに乙種輸送そのものが消滅した Wikipediaより

なお、甲種輸送、乙種輸送の名称は、ともに国鉄とそれを継承したJR貨物が車両を輸送する際の部内での呼び方であり、一般的な呼び方ではありません。一部では、トレーラーで陸送する場合や、船舶で航送する場合を乙種輸送または丙種輸送とする記述もありますが、JR貨物が関与しない輸送には関係ありません。

甲種輸送とよく似ているけれど 配給列車とはどう違う?

EF64-1030+E131系の配給列車
EF64-1030によるE131系の配給列車 一見すると甲種輸送列車と同じに見えるが、その違いは本文中にある通り

さて上の写真は、総合車両製作所新津事業所で製造されたE131系を配置先である幕張車両センターまで輸送する様子ですが、こちらは甲種輸送列車ではなく、配給列車と呼ばれるものです。

配給列車とは、特殊列車と呼ばれる列車の一種(特殊列車としては、ほかに試運転列車や除雪列車、団体列車など)で、鉄道会社の社内品の輸送を行うために運転される列車です。社内品と一口に言っても、書類など事務用品から、車両修理用の部品、大型機械、そして車両そのものの輸送までその内容は様々です。そして、工場で生産された車両を配置先まで輸送するためにも配給列車が運転されます。

では、甲種輸送と配給列車の違いは何なのか? それは、誰のための輸送であるかの違いです。

甲種輸送は、JR貨物が車両メーカー、受取先の鉄道会社(つまりJR貨物からすればお客)から運送委託を受けて運転する貨物列車なのに対し、配給列車はその鉄道会社が自社のために運転する列車となります。

写真のE131系の輸送の場合、製造する工場はJR東日本の系列会社であり、配置先もJR東日本、そして経由する路線もJR東日本、牽引しているEF64-1030もJR東日本の所有する機関車で、すべてがJR東日本自社内で完結しています。このため、姿は甲種輸送列車と同じになりますが、この場合は配給列車となります。

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