銚子電鉄 新しい古い電車は南海2200系

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銚子電鉄の導入する中古車両 南海2200系と発表

銚子電鉄は、新たに導入する中古車両について、南海2200系を譲り受けたと発表しました。

これは、2023年8月17日付で銚子電鉄と南海電鉄のWebサイトに掲載されたもので、銚子電鉄のサイトには「“なんかいい”ちょうしに! 銚子電気鉄道は、南海電気鉄道の2200系車両を譲受しました」とさっそく得意の自ギャグも飛び出しています。同時に譲渡元である南海電鉄のWebサイトにも、同日付で銚子電鉄の発表のまま掲載されています。

銚子電鉄は、老朽化した車両の置き換えとしてかねてから新しい中古車両の導入を発表していましたが、導入元や車両に関しては竹本社長がヒントを出すにとどまり、どこから来るのかはファンの間でも注目が集まっていました(「種車はどこから? 銚子電鉄が新型の古い車両を導入で1編成を置き換えへ」もよろしければご覧ください)。

候補に挙がっていたうちで有力視されていたのは、京王5000系を種車とする北陸鉄道8000形や、アルピコ交通3000系、静岡鉄道1000形などで、南海2200系は一部で候補として挙がっていたものの優先順位としては高くはありませんでした。

12年も若返り! 新車は約8年ぶり、中古の中古以外では約30年ぶり

銚子電鉄と南海電鉄の発表によれば、今回譲渡される(譲受とありますが、銚子電鉄によれば導入費用が5000万円という発表もあり、これが車体本体価格を含むのか、あるいは改造費のことなのか現時点では分かりません)のは2200系のうちモハ2202-モハ2252の2両で、いずれも1969年(昭和44年)製となっています。銚子電鉄としては約8年ぶりの「新車」となり、中古の中古ではない車両としては約30年ぶりとなります。

また、置き換えが想定されている1957年(昭和32年)製の2000形デハ2001-デハ2002編成と比べ、12年若返ることとなります。

運転開始時期は、当初の発表では2023年度中とされていましたが、「走行に必要な改造工事を施工した後に運用開始いたしますが、開始時期については未定」となっています。

南海2200系は、2000年頃にワンマン改造を受けており、以前に伊予鉄から車両を購入した際のような多額のワンマン改造費は必要ありませんが、南海高野線で使用されていた直流1500Vの機器を銚子電鉄の直流600Vへ合わせる必要があり、こちらの工事に時間と費用が必要となることが予想されます。

導入される南海2200系とは? 高野線山岳区間対応の高性能車両

南海2200系は、1969年から導入された、高野線用の車両です。関西以外の方にはなじみが少ないかもしれませんが、高野線は「たかのせん」ではなく「こうやせん」です。全国的にも有名な高野山への参拝客輸送を目的として、私鉄としてはかなり古い部類となる1898年(明治31年)に最初の区間が完成、1929年(昭和4年)に現在の終点となる極楽橋駅までが開通しました。

南海高野線は、大阪の中心街難波駅と高野山のふもと極楽寺駅を結ぶ路線ですが、大きく分けて難波ー橋本と橋本ー極楽寺では性格が異なるという特殊な路線で、市街地で平坦区間が中心の前者に比べ、後者は最大勾配50‰という急勾配や急カーブの続く本格的な山岳区間となっています。このため、通称「大運転」と呼ばれる全線直通で運行される列車には、両区間に対応するため車体長が17m、平坦区間の高速走行と勾配区間での牽引力の両方を備えた専用車両が用いられています。

これらは1958年(昭和33年)に投入された21001系(後に21000系)以降伝統的に「ズームカー」と呼ばれ、2200系はこの21001系の増備を兼ねて22000系として1969年から製造されました。

南海22000系
22000系時代の南海2200系 2扉17m車体は、ズームカー規格として最新の2300系も同じ ちなみになぜズームカーと呼ばれるのかは、ズームレンズのように平坦・山岳を切り替え可能という説と、勾配を軽々と駆け上がる様を航空機の急上昇(ズーム上昇)にたとえたという説など諸説ある Wikipedia(南海22000系電車)より @浪速丹治

平坦区間での利用増加に対応するため、21001系のクロスシート(後期車はロングシート)に対してロングシートを採用、半流線形の非貫通だった21001系に対して、22000系は増解結に対応した貫通型のデザインとなりました。丸みを帯びた21001系「ズームカー」に対し、「通勤ズームカー」「角ズームカー」などの異名も持っています。

南海21000系
1958年(昭和33年)より製造された「ズームカー」21001系 当時はやりの湘南型非貫通スタイルが特徴 この車両の特急仕様が20000系で、「デラックスズームカー」と呼ばれた Wikipedia(南海21000系電車)より @Cassiopeia sweet.

性能は両形式ともほぼ共通で、最大50‰の勾配を走行するため、全車電動車方式を採用。一方で平坦区間では最高速度100㎞/hでの運用も可能で、平坦区間用の車両とそん色ない性能を持っているのが特徴です。ただし、22000系が製造された頃には、高野線の600Vから1500Vへの昇圧が決定していたため、当初は600V専用だった21001系に対し22000系は複電圧仕様となっていましたが、この機能が現在まで残されているかどうかは不明です。

1990年代以降は、更新工事により形式が変更され、引き続き本線用の2200系、支線用の2230系と貴志川線用の2270系に分かれることとなりました。このうち、2270系は貴志川線が和歌山電鐵として分離されたため、全車両が和歌山電鐵へと譲渡されています。

この頃から後継となる2000系が製造されたこともあり、2000年頃からは2200系も支線運用へと転じるとともに、更新対象から漏れた車両の廃車も進行。2023年8月現在は譲渡対象となる1編成を含め2連×6本が在籍し、汐見橋線で使用されているほか、そのうち1編成は観光列車『天空』に改造され、橋本ー極楽橋で使用されています。

また、21000系の一部は大井川鉄道や一畑電車(廃車済み)、2200系の一部は熊本電鉄へ譲渡されています。

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