のと鉄道、七尾線で大きな被害を確認　令和6年能登半島地震　復旧には相当の時間

スポンサーリンク

アマゾン　タイムセール

人気の商品が毎日登場。

タイムセール実施中

令和6年能登半島地震　鉄道にも大きな被害が発生

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、発生から1週間以上が経過しましたが、津波や道路の寸断により今なお被害の全貌が掴めていません。

また、さすがに回数は減ったものの、震度5を超える余震もたびたび起きており、依然として予断を許さない状況が続いています。

鉄道にも大きな被害が出ている模様で、特に震源に近い能登半島を走るJR西日本の七尾線やのと鉄道では、線路の破断や湾曲、さらに建築物までが被害を受けている様子が報告されており、復旧までには相当の時間を要することが予想されます。

一時は新幹線も不通に　1月6日ごろまでには一部を除き概ね復旧

地震発生当初は、北陸新幹線・上越新幹線を含め北陸地方の路線は軒並み運休となっていましたが、新幹線各線は翌日午後までに段階的に復旧し、在来線や北陸鉄道などの私鉄もおおむね1月6日ごろまでに運転を再開しました。

帰省ラッシュを直撃したことで旅客には大きな混乱が見られ、各地では立往生や列車ホテルが発生する状態となっていました。一方で大半の貨物列車は年末年始の運休中で、物流に大きな影響が出ることは避けられた模様です。

このうち、能登半島を走る七尾線とのと鉄道については被害が大きく、七尾線は1月5日に津幡―高松が運転を再開したものの残る高松ー和倉温泉、のと鉄道全線については復旧のめどはたっていません。

JR七尾線　軌道変異や道床流出など　被害個所は増える恐れ

JR西日本によると、七尾線では敷浪ー和倉温泉だけでも8か所の被害が確認され、道床流出や軌道変異の他、橋梁のずれや駅施設の損壊が確認されています。なお、損傷個所は現在も調査中だということで、復旧の見込みは立っていないということです。

また、高松ー羽咋については早期に運行再開を目指すとしていますが、余震による新たな損傷が発生するなど、1月5日時点で2週間以上かかる見込みとしています。

表示されない場合: 七尾線　１月５日以降の運転列車及び、被災状況

この影響により、七尾線は金沢―高松で臨時ダイヤによる折り返し運転を実施中で、『サンダーバード』は七尾線区間が部分運休、『特急花嫁のれん』は全区間で当面の間運休ということです。

のと鉄道七尾線　被害状況はFacebookに　駅舎の破損や線路の破断など全貌はつかめず

のと鉄道では、全線にわたり大きな被害が出ている模様で、復旧のめどはたっていないということです。

のと鉄道では、駅のホームが損傷したり、線路に土砂が流入したりている他、線路下の土が崩れたりしている区間や、軌道のずれが確認されている個所があり、1月8日になっても被害の全容がつかめていません。

のと鉄道　Facebookより

https://www.instagram.com/nototetsudou/p/C1snDRxviv6/?img_index=1

また、余震でのと穴水駅の天井が崩落するなど、被害はさらに拡大する恐れがあります。

1月9日からは、のと鉄道の要請により国土交通省所管の独立行政法人「鉄道・運輸機構」が現地入りして調査を行い、被災状況の把握を行うとともに、調査結果は復旧方法や復旧金額の算定に利用されるということです。

のと鉄道　国鉄七尾線と能登線を引き継ぎ開業　最盛期は114㎞の路線を誇る

のと鉄道はもともと国鉄再建法で廃止となる予定だった国鉄能登線と、地元の要望で七尾線の一部を引き継いで開業した第三セクター鉄道です。

本来特定地方交通線として廃止対象となったのは能登線だけで、こちらは1988年（昭和63年）3月にJR西日本からのと鉄道へと転換しましたが、石川県からの要望により七尾線の一部区間についても転換対象として望む要請があったため、七尾線の一部として穴水－輪島についても、1991年9月1日にJR西日本からのと鉄道へと転換されました。

これにより、のと鉄道が運営する路線は七尾線七尾―輪島と能登線穴水―蛸島の2路線となり、営業キロは114.7㎞となっていました。

なお、転換された路線のうち、七尾―穴水の線路を所有するのは引き続きJR西日本で、のと鉄道はJRから線路を借りて運行する第二種鉄道事業者となっています。のと鉄道が所有する七尾線の穴水―輪島と穴水―蛸島はいずれも廃止となったため、2024年現在のと鉄道は自社で保有する線路のない鉄道会社となっています。

七尾線のJR区間の電化により、関西圏や中京圏からの特急列車が和倉温泉駅まで特急列車が直通するようになり、これを受ける形でのと鉄道でも優等列車や観光列車が設定されていました。また、優等列車だけではなく、転換と同時に普通列車も大幅に増発し、利用客を大きく増やしたことで「第三セクターの優等生」と呼ばれた時期もありました。

しかし、能登半島で道路整備が進んだことや、沿線の過疎化の進展により利用客は頭打ちとなり、最盛期の1992年には360万人あった年間の利用客は、2000年には200万人に落ち込み、経営不振と赤字問題が取り沙汰されるようになりました。

こうした流れを受け、2001年には七尾線穴水―輪島0、2005年には能登線穴水―蛸島がそれぞれ廃止となり、能登半島を隅々まで結んだ鉄道は姿を消すこととなりました。

能登半島は日本でも有数の地震の多い地域で、2007年の能登半島沖地震でも約1ヶ月にわたり運休を強いられました。その際は復旧されましたが、今回は被害もけた違いに多く、路線の存続が危ぶまれる事態となっています。

時刻表復刻版　1988年3月号　七尾線　能登線時刻表

それでは、JTBから出版されている時刻表復刻版から、1988年3月改正時の能登半島を走る鉄道時刻表を見てみましょう。七尾線とそれに接続するのと鉄道能登線の時刻表です。

JRグループのダイヤ改正は3月13日でしたが、能登線がのと鉄道に転換されたのは3月25日のことで、記載の時刻は転換後のダイヤです。

のと鉄道発足と同時に、穴水駅のうちのと鉄道使用部分がのと穴水駅に改称されていますが、実質的には同じ駅で、七尾線の七尾―穴水が転換された際に穴水駅へと再び統合されています。

のと鉄道への転換時にダイヤ改正が行われており、例えば宇出津ー珠洲で国鉄時代には下り13本、上り12本だったものが、転換後は上下とも15本（プラス急行と『のと恋路』）に増発されています。ただし、国鉄時代には存在した、穴水駅で輪島・珠洲発の列車を連結する光景は見られなくなりました。

なお、時刻表復刻版に関してはこちらからどうぞ。

1988年3月　のと鉄道能登線発足時　金沢→穴水→輪島・珠洲/蛸島　七尾線・能登線　時刻表

1988年3月　のと鉄道能登線発足時　蛸島/珠洲・輪島→穴水→金沢　七尾線・能登線　時刻表

七尾線の津幡―和倉温泉が電化されるのは1991年のことで、この時点では津幡以北はすべて非電化でした。主力列車は急行『能登路』で、7往復もある贅沢ぶりでした。巻末の編成表に記載はなく、1988年当時はキハ58系を使用した2両程度の編成であったようです。また、大半の列車は急行区間は金沢―七尾のみで、末端区間は普通列車として運行される場合も多くみられました。

異彩を放つのは『ゆぅトピア和倉』（表ではY和倉と記載）で、キハ65形を改造した専用車両が充当されていました。

これは、当時能登半島の観光開発が進み、関西圏や中京圏からの観光客は増加していたものの、七尾線直通の優等列車は廃止されて久しく、鉄道としての利用促進につながっていないとの国鉄の判断から、鉄道需要の喚起を狙って関西圏からの直通列車を設定したものです。

大阪―金沢は『雷鳥』の最後尾に連結され、無動力の付随車として牽引されるという異色の運行方法で、かつ自車の電源は自車で賄うというものでした。金沢からは単独で走行し、関西圏と非電化の能登半島の直通運転を、車両以外にほとんど手を加えることをなく実現しました。

運行開始は国鉄時代の1986年（昭和61年）12月で、七尾線の電化までの短い間でしたが目立つ存在ではありました。また、この列車の小さな成功が、七尾線の電化を促進するきっかけともなりました。

ローカル輸送についても、穴水でほぼ分断される国鉄時代の運行体系を引き継いでおり、輪島・珠洲方面と穴水以南の列車がおおむね接続しています。気になるのは、七尾発金沢方面の早朝で、かなり列車密度が高いのみならず、始発列車は4:30という早さです。需要があったから設定されていたのでしょうが、いったいどのような需要だったのでしょうか。あるいは、地域的に行商列車として利用されていた可能性もありますね。