ムーンライトながら 2019冬は11日間のみで年始発の運転なくなる 廃止へカウントダウンか 185系の活躍いつまで

『ムーンライトながら』、年始発の設定なくなる 2019冬臨

JRグループから、2019年冬の臨時列車の運転が発表されました。

年末年始や連休を中心に各地で臨時列車が運転される予定ですが、車両が水没するなど大きな被害を受けた北陸新幹線については「未定」となっています。車両不足も当面続く見込みですが、これまでのケースから考えると、鉄道が復旧は現地の回復にも大きな助けになってきました。1日も早く通常に戻ることを祈っています。

さて、そんな中、臨時列車の運転が発表されるたび私がひそかに注目しているのが、夜行列車の動向です。

Jnr 185 C7-B5-9391M 20131226

185系電車 ムーンライトながら
Wikipediaより

今や定期列車としては『サンライズ出雲・瀬戸』1往復だけになってしまい、臨時列車も年を追うごとに規模、本数とも削減が続いています。そして今や伝統の大垣夜行の流れをくむ『ムーンライトながら』でさえ、その去就が注目されるようになってきました。

幸いなことに今冬は運転が継続されるようですが、運転日は下記の通り年末の11日間のみ。昨シーズンからさらに1日減り、特に今冬から年始出発の運転がなくなりました。今シーズンの運転本数は合計37本にとどまり、臨時化された2007年の119本と比べ1/3以下となってしましました。

2019-2020 ムーンライトながら運転日

東京発 12/20-30 大垣発 12/21-31

毎日運転だった当時を知るものとしては、実に寂しい状況となってしまい、いつ廃止されてもおかしくない、まさに風前の灯火とはこのことでしょう。

2021年で185系は引退か その後継車両はあるのか

車両は引き続き185系が使用される模様です。ただ、185系も実に厳しい状態にあることはご存じのとおりです。東京新聞の記事によると、2021年までに全車引退することが報じられています。となると、気になるのは後継車両があるのかどうか、という点になります。

現在波動用として各地で使用されている651系は、保安装置の違いでJR東海への乗り入れができません。もちろん取り付ければできますが、JR東海区間への乗り入れ実績がないため、乗務員訓練を行わなければなりません。年間30本程度の臨時列車、それも青春18きっぷ利用が大半で収益の薄い列車のためにそこまでの手間、経費をかけるとは思えません。

次に候補に挙がるのは、373系でしょうか。かつては『ムーンライトながら』や特急『東海』として東京駅まで乗り入れていましたから、走行実績としては申し分ありません。東海道本線系統の列車の削減で運用にも余裕があり、臨時列車や間合いで普通列車にもよく使用されています。

しかし373系も、JR東日本管内の定期運用がなくなった時点で、保安装置がJR東海専用となってしまったようです。やはりそのままでは乗り入れができません。

ということは、185系全廃の時点で『ムーンライトながら』も廃止、という可能性が残念ながら高いのではないでしょうか。先述のように、収益性はかなり薄いと思われますので、両社とも扱いは低いでしょう。テコ入れをするにしても、2社が足並みをそろえないことには話は動きません。何とか存続してほしいものですが。

また、『 踊り子』用新車のE257系は、もし『 踊り子』の運行区間が変わらなければ、修善寺行きが一部JR東海区間を走る為、当然乗り入れ装備を持つことと思われますが、これが快速列車に使われるかどうかは微妙なところではないでしょうか。

なお、『サンライズ出雲91号・92号』は、例年通り2本の運転です。しかし285系も車齢が20年を超えており、その去就が気になる時期になってきました。

『ムーンライトながら』の歩み

最後に、『ムーンライトながら』の歴史を振り返ってみます。

『ムーンライトながら』は、列車名自体は1996年3月改正で誕生した比較的新しい列車名ですが、その歴史は古いものです。

東京-大阪間は古くから旅客流動の多い区間で、長距離普通列車も数多く設定されおり、例えば1956年(昭和31年)改正の時点では、上下7本の夜行列車が設定されていました。これらの多くは新幹線の開業で廃止となり、最後の1往復も1968年(昭和43年)10月改正(いわゆるヨンサントオ)で廃止される予定でした。しかし廃止が発表されると国鉄当局に存続を求める声が相次いだことから、一転存続されることになります。西側の運転区間を車両基地のある大垣までに短縮したうえで、東京-大垣間の夜行列車として運行され、いつしか『大垣夜行』と呼ばれるようになります。

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165系電車の大垣夜行列車
Wikipediaより

1990年代までは非常に需要の高い列車で、格安航空券や高速バスのなかった時代には、東海道本線を安く移動する方法として広く人気がありました。特に春、夏、冬などの長期休暇期間は、移動費を節約したい学生などで混雑し、全車自由席であったことから始発駅には着席を求めて長い列ができることもよく見られた光景でした。私も学生時代、たびたび長い列に加わったことがありますが、最混雑期間には入線2時間前に行ってもすでに長い列ができていることもしばしばでした。

青春18きっぷの利用期間には、『大垣夜行』の前後に臨時列車が運転されることもありました。予め時刻表に記載された運転日の他、混雑状況などに合わせ突発的に運転されることもあり、『臨時大垣夜行』や『大垣夜行救済臨』とも呼ばれました。

1996年3月の改正で、165系から373系に置き換えた上で全車指定席(当初は東京発の一部が小田原まで自由席というややこしい設定でした)となり、列車名として『ムーンライトながら』が与えられました。臨時大垣夜行は引き続き165系(167系を含む、後に113系も)が使用されていましたが、2003年より『ムーンライトながら91号・92号』として373系へ変更されました。

2000年代以降は、航空運賃・宿泊代の値下がり、格安バスの台頭により利用客が減少、2007年3月改正をもって定期列車としての運転を終了、臨時列車として再スタートを切ります。使用車両も当初373系から183系、189系と変更されたのち、2013年からは185系が使用されるようになりました。臨時化当初は年間に100日以上の設定があったものの、年を追うごとに運転日が減少しているのは前述のとおりです。

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