本州―九州 関門トンネル直通列車が多数設定されていた 時刻表復刻版1988年3月号

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2022年9月改正 関門トンネルを通過する本州と九州の直通列車が激減

JTBパブリッシングから発行の時刻表完全復刻版1988年3月号で当時を振り返るこの話題、しばらく間隔があいてしまいましたが、今回は関門トンネルの話題です。まずは最新のダイヤから見てみましょう。

2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴い、JR九州はダイヤ改正を実施しました。

長崎本線の主役であった『かもめ』は新幹線に引き継がれ、『リレーかもめ』『かささぎ』など新たな特急列車が設定されました。新たな観光列車の設定を含め、長崎本線・佐世保線など長崎方面の話題が大きく取り上げられましたが、それ以外でも地味ながら変化が見られます。

関門トンネルの下関側の出入り口 太平洋戦争に合わせて突貫工事が行われ、新技術をぶっつけ本番でためしながら1942年(昭和17年)に単線開業、1944年(昭和19年)に複線営業を開始した 旅客流動はもちろん、戦争のための貨物輸送でも重要な役割を果たしていたため、アメリカ軍はトンネルの破壊を試みたが、実施される前に終戦となった もし戦争が長引いて破壊されていたら、戦後の物資不足の折、九州各地で産出された石炭を日本国内に運ぶことは困難で、日本の復興はずっと遅れたかもしれない Wikipediaより

今回取り上げる関門トンネルでも、列車の運行本数などは大きく変わっていないものの、ある変化がありました。それが、九州内直通列車の大幅減少です。

改正前にはかろうじて存続していた、下関発の鹿児島本線直通列車の1本、鹿児島本線から下関への直通列車2本(1本は直方から直通)が姿を消し、本州と鹿児島本線を直通する普通列車は消滅しました。

さらに日豊本線との直通列車も激減しました。改正前は下関発の日豊本線直通列車は朝3本、夕方以降6本の計9本、逆に日豊本線から下関への直通列車は朝6本、夕方以降5本の計11本から、上り下り合わせて早朝の3本のみとなり、本州と関門トンネル以遠を直通する普通列車は、半減どころかもはや廃止寸前という状況になってしまいました。

2022年9月改正後、下関と九州内を直通運転されている列車は、以下の通りです。

  • 下り(下関発九州方面)
    • 下関6:16→門司6:23/6:24→小倉6:31/6:43→大分9:23
  • 上り(九州発下関方面)
    • 柳ヶ浦4:49→小倉6:17/6:23→門司6:30/6:32→下関6:39
    • 行橋5:57→小倉6:29/6:32→門司6:39/6:44→下関6:50

1988年3月改正 山陽本線 下関―門司―小倉 関門トンネル時刻表

それでは、いつものように1988年3月改正時の時刻表を振り返ってみましょう。

ちょうど民営化から1年に当たり、青函トンネルや瀬戸大橋の開業に沸いていた頃ですが、関門トンネルは大きな変化は見られていないようです。

1988年3月改正 山陽本線下関駅 門司・小倉・九州方面 時刻表

4★※(彗星81新大阪→宮崎) ※(なは新大阪→西鹿児島) ★※(明星新大阪→西鹿児島) 42彗星新大阪→都城) 48あかつき新大阪→長崎/佐世保)
536あかつき81新大阪→長崎) 53(厚狭→小倉) ★57さんべ81米子→博多)
633(長門市→門司) 48さくら東京→長崎/佐世保) 
701(下関→新田原) 07(下関→小倉) 14はやぶさ東京→西鹿児島) 33(小郡→熊本) 39(下関→柳ヶ浦) 
802(下関→新飯塚) 05(厚東→荒尾) 10みずほ東京→熊本) 33(下関→熊本) 39富士東京→宮崎) 52(下関→直方) 56(小串→門司)
913(下関→久留米) 30(下関→博多) 35あさかぜ1東京→博多) 52(下関→大牟田)
1012(下関→宇佐) 18あさかぜ81東京→博多) 31にちりん15下関→大分) 39(下関→荒尾) 43ながと浜田→小倉) 
1100(下関→荒木) 15(下関→久留米) 34(下関→中津) 48(小郡→荒尾)
1219(下関→荒木) 36(下関→博多) 51(下関→行橋)
1312(下関→久留米) 32(下関→博多) 53(下関→行橋)
1420(下関→荒木) 52(下関→行橋)
1515(下関→八代) 45(下関→熊本) 54(下関→新田原)
1622(下関→博多) 43(下関→荒尾) 58(下関→門司)
1709(下関→門司) 25(下関→久留米) 37(下関→荒木) 54(下関→門司)
1801いそかぜ米子→博多) 05(下関→久留米) 14(長門市→門司) 38にちりん47下関→大分) 42(下関→肥前山口)
1901(下関→門司) 27(下関→熊本) 46(下関→小倉)
2011(下関→文字) 27(下関→荒尾) 54(下関→門司)
2123(下関→門司)
2201(下関→二日市) 21(下関→門司) 56(下関→福間)
2349(下関→小倉)
★:臨時列車 ※:通過列車 太字:ディーゼルカー 斜体:客車列車 赤掛け:特急 黄掛け:急行

1988年3月改正 山陽本線門司駅 下関・本州方面 時刻表

558(小倉→厚東)
631(小倉→長門市) 40(田川後藤寺→下関) 48(折尾→下関)
715(門司→長門市) 21(柳ヶ浦→下関) 36(新田原→小郡) 45(添田→下関)
808(久留米→小郡) 30(小倉→下関) 37(佐賀→宇部線経由小郡) 
900(荒尾→下関) ※(いそかぜ博多→米子) 26(門司→下関) 36(荒尾→小郡) 49にちりん8大分→下関)
1000(幸崎→下関) 22(熊本→下関) 39(南福岡→下関) 
1102(柳ヶ浦→下関) 17(八代→下関) 24(小倉→下関) 38(南福岡→下関)
1200(南福岡→宇部新川) 22(熊本→下関) 36(行橋→下関) 59(南福岡→下関)
1320(久留米→下関) 40(行橋→下関)
1403(荒尾→下関) 39(行橋→下関)
1501(荒尾→下関) 23(荒木→下関) 35(行橋→下関)
1601(荒尾→下関) 22(荒木→下関) 39(行橋→下関) 55(荒木→下関)
1708(博多→下関) 22(門司→下関) 35(門司→下関) 50にちりん40大分→下関) 54(久留米→下関)
1808(門司→小郡) 25(熊本→下関) 37(門司→滝部) 45あさかぜ4博多→東京)
1907(久留米→下関) 15富士宮崎→東京) 27はやぶさ西鹿児島→東京) 32(博多→下関) ★38あさかぜ81博多→東京) 
2008(博多→下関) 25(門司→長門市) 32みずほ熊本/長崎→東京) 38(門司→下関) 43(小倉→小郡) 52さくら長崎/佐世保→東京)
2108(門司→下関) 37(久留米→下関) 
2203(門司→下関) 32(小倉→小郡) ★42あかつき82長崎→新大阪) 
2311さんべ82博多→米子) 19(荒木→下関) 26彗星都城→新大阪) 37あかつき長崎/佐世保→新大阪) ★44明星西鹿児島→新大阪)
0
116なは西鹿児島→新大阪) ★※(彗星82宮崎→新大阪)
★:臨時列車 ※:通過列車 太字:ディーゼルカー 斜体:客車 赤掛け:特急 黄掛け:急行

1988年当時は、本州側では下関を超え小郡や厚狭まで直通する列車も多数設定されていました。山陽本線だけでなく、宇部線経由の列車まで設定されていたことが驚きです。JR九州所有の415系がかなり本州内へ広域に乗り入れていたことが分かります。

また、山陰本線へ直通する列車も見られます。気動車が中心ですが、朝の1往復は50系による客車列車で運転されていました。これは、国鉄末期に長距離普通列車として有名になった824列車(門司→福知山)の残骸ともいうべき列車です。

九州側も、実に多彩な始発駅または終着駅となっています。鹿児島本線では、博多、荒尾などはもちろん、遠く熊本や八代から(まで)足を延ばす列車も散見されます。さらには、日田彦山線を通って田川後藤寺や添田から来る列車もありました。

この他、長崎本線から直通の佐賀発の列車も、1本ながら存在してます。

1988年時点では、日豊本線直通列車のほうが少なくなっていますが、それでも行橋、中津、柳ヶ浦発着の列車や、大分から先の幸崎から来る列車も1本存在しています。

長距離列車も実に多彩で、朝と夕方以降は首都圏や関西と九州を結ぶ寝台特急が次々と通過していました。

この当時日豊本線にはまだ『ソニック』はなく、『にちりん』が全盛期のころで、博多―宮崎系統と小倉―大分系統がほぼ毎時1本ずつ、合計26往復設定されていて、このうち小倉系統の2往復が1986年改正で下関へ足を延ばすようになっていました。国鉄末期の利用促進策の一環で発着駅の多様化が行われており、新宿発着の『踊り子』や千葉発着の『あずさ』などが登場したのもこの頃でした。しかし、『にちりん』の下関発着は利用が芳しくなかったのか1992年改正で廃止となっています。

山陰本線にも博多―米子を走破する『いそかぜ』が存在しており、キハ181もトンネルを通過して九州と本州を直通していました。

どうなる今後の関門トンネル輸送 分割民営化のお約束はどこへ?

2022年9月改正では、関門トンネルを走行できる交直両用の415系のうち、ステンレス車体の1500番台を残して運用離脱となり、大きく数を減らしてしまいました。

【デッドセクション】門司駅 交直切換器 動作試験
関門トンネルは開業時から直流1500Vで電化されていたのに対し、九州側は交流20KVによる電化となったため、門司駅の下関寄りにデッドセクションが設けられ、関門トンネルを通れるのは気動車か交直両用車両に限られることになった 門司、下関発車前には交直切り替えが作動するかどうかの切り替えテストが行われる 動画は門司駅での切り替え試験の様子で、交流極につながれた端子が直流極に切り替わるかどうかをテストしている ABBは空気遮断器とも呼ばれ、簡単に言えばメインスイッチ 切り替えテスト中は当然端子が外れてオフの状態になっている

JR九州が民営化後製造した一般型電車は、高価な交直両用はなく全て交流用で、またJR西日本も山陽本線系統には直流型しか配置しておらず、このため数の少なくなった415系を関門トンネルに集中配置して効率よく運用するためのダイヤかと思われます。

415系は、1961年(昭和36年)の山陽本線小郡(現新山口)ー下関の直流電化と鹿児島本線門司港ー久留米の交流電化に合わせて投入された421系の発展型として、1971年(昭和46年)から製造された 当初は鋼鉄製で113系や115系と似たスタイルだったが、1986年(昭和61年)製からは211系に似たFRP成型の白色前面にステンレス製の車体となり、1500番台が区分された 鋼鉄製は2022年9月で運用離脱となり、残る415系は1500番台のみとなっている Wikipediaより

しかし、415系1500番台も国鉄分割民営化前に製造されたもので、すでに車齢は35年を超えていることから、いつ淘汰対象になってもおかしくはありません。後継車はJR九州、JR西日本のどちらが用意するのか、あるいは高価な交直両用車両を嫌って気動車によるチョン行輸送が行われるようになるのか、今のところはわかりませんが、415系の車齢から考えてもそう遠くない未来に変化があるものと思われます。

国鉄分割民営化は、国鉄を切り刻むことでかえって不便が生じるのではないかと、国民が非常に不安を感じていた時代でした。その不安を拭い去るため、当時の国鉄分割民営化を伝える新聞広告には約束事として、

  • 会社間をまたがっても乗り換えもなく不便になりません。運賃も高くなりません。
  • ブルートレインなどの長距離列車もなくなりません。
  • ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません。

という文句が並んでいますが、残念ながら関門海峡輸送にとどまらず、日本全国でどれ一つ守られていない気がします。

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